〈前回までのあらすじ〉
一日も早い釈放の日を望む武二郎のもとに、ついに念願の刑務所収監の日がやってくる。
自分で選んだ道ではあるが、これから先の辛い、長いムショ暮らしを考えると、いささかアンニュイにもなる武二郎だった。
わかっていても不安になる
2012年(平成24年)10月☓日
判決の出た日に即刻提出した上訴権放棄の書類が届いたよ。
これで俺は書類上「一刻も早く刑に服したいと言っている、聞き分けの良い受刑者」となったわけだ。
「刑務所に行っても懲罰を喰わずに(懲役生活を)やりとげたら、この書類が必ず生きる時が来るはずだ」というオヤジの言葉を信じて、頑張ろうとは思うけど、
よく考えたら、懲罰と無縁の懲役なんて今までできた事がない。
本当に大丈夫なのかネ、俺......。
これが本当に役に立ってくれる日は来るのでしょうか......。