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ポスト振り込め詐欺! 最新 "裏稼業" 事情

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 「最近、流行ってる裏稼業ですか?」

 大手チェーン店だが、カウンターであれば目の前で握ってくれる24時間営業の寿司屋。注文すれば、水槽で泳いでる魚をすくって、その場で捌いてくれるサービスまであり、深夜なのに店内は随分と賑わっていた。

 溝井(35=仮名=)は元ヤクザだが、いまだに当時の「兄貴」と変わらぬ付き合いを持ち、以前とほとんど変わらない仕事をしている。カタギになったのも、その兄貴の要請だと言う。

「これからはヤクザも旨味がない。違うことをやってシノギにしよう、アニキにそう言われたら、わかりましたというしかないですから」(溝井)

 溝井が普段何をシノギにしているのかは知らない。だが、たまに会い、表社会と裏社会の情報交換というか絵合わせのような会合を開いている。このときに溝井が、「そういえば───」と話し始めたのが、このような話だった。

最近の泥棒が捕まらないワケ

 舞台は北関東の某地方都市。

「あるアウトロー宅に泥棒が入りました。その後、引っ越したのですが、新しい家でもまた泥棒に入られました。引っ越しても引っ越しても、泥棒に入られるそうです。犯人はまだ逮捕されていません。多分、逮捕されずに終わると思いますが。なぜだか分かりますか?」(溝井)

 なんとも治安の悪い町である。それにしても、なぜ捕まらないと溝井は断言できるのだろうか? 溝井によれば、少し前にこんなことがあったのだという。

 閉店後の外国人パブで、不良外国人のグループと日本のヤクザが話していた。それは、最近金を稼いでいるらしい、ある敵対する人間宅に「強盗」に入る話だった。日本人のヤクザが段取りして、不良外国人が実行する、というところまではスムースに決まったのだが、分前の額で揉めてしまった。

「家の中にいくら金があるのかは、入ってみなければわからない」と奪った額の歩合で分配を主張する不良外国人。

 一方、日本人からしたら、その主張は飲めないものだった。不良外国人グループが正直に「全部でいくらあった」と申告するわけがないからだ。

 話し合いは平行線をたどったが、日本人のヤクザがある発想を思いつき、状況は劇的に変化することとなる。

「要するに強盗には、儲け以外のメリットもあるということに気づいたんです。日本人ヤクザは、いやがらせしたい相手の住所を教えるから、やるなら勝手にやってくれ、というスタンスになった。一方、不良外国人グループは、強盗をやってもギャラを払わなくてよくなった。お互いにメリットがある話になったんです」(溝井)

強盗ディーラーというシノギ

「それから、こんな話もありますよ。振り込め詐欺の被害者の名簿がありますよね。よく考えればあれって金持ちの名簿でもあるわけです。そこで、さんざん振り込め詐欺で使い倒した名簿を、強盗団に売ることにしたんですよ」(溝井)

 つまり、強盗ディーラー(=仲買人)の誕生である。

「今は、『ハワイに来てます』とか、『○○温泉にいます』とか、ターゲットのほうから不在を教えてくれる時代ですから、昔よりずっと狙いやすいみたいですね」(溝井)

 そんな話をしながら、出されたばかりのウニの軍艦をいかにも美味そうにスマホで撮っている溝井の姿がなんともシュールだった。


(取材/文=李白虎)

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写真はおすしです