(前回まで)
門限を破ったことでケータイを取り上げられた夏海は、そこでまさかの逆ギレ&ブチ切れ。いきなり家出をしてしまい、渋谷を徘徊する身となった、という。
厳しい親からの逃避
──ほかに親の厳しいところは?
夏海●バイトさせてくれない。学校に行ってるから夜しかバイトできないのに、「夜のバイトはダメだ」って。化粧も「そんなに濃くするな」とか「学生なんだから化粧なんてしなくていいんだ」とか、超うるさい。
──けっこう親とはケンカする?
夏海●しょっちゅうしますね。親は学歴にうるさいんで、「勉強しろ」ってうるさくて。上の学校も「3流しか行けないなら、おカネ捨てるようなもんだから行かなくていい」とかって。
──じゃあ、そろそろ受験のことでうるさい?
夏海●入学したときからずっとですよ。最近はとくにひどくて、毎日「勉強、勉強」って。海に行ったら「おまえ、来年は受験なのに、なに海になんか行ってるんだ」って。
──親とケンカしはじめたのは?
夏海●中学入ってから。小学校のときは逆らえなかったんですよ。中学に入ってから、だんだん自分の考えができてきて、遊びたいって思うようにもなって。
◆◆◆◆ 家出事件簿・その2 ◆◆◆◆
暴力団幹部(41歳)が、大阪ミナミでスカウトした家出中の女子中学生ら48人を、ヘルス店で稼働させることを知りながら、風俗店を経営する暴力団幹部に紹介。少女らはヘルス嬢として兵庫県内のホテルに派遣され、建設作業員(39歳)らを相手に売春させられた。
──親からの連絡は?
夏海●今もメールはすごいですよ。30分で6通とか来てて。
──内容は?
夏海●最初は怒ってて「警察に連絡する」とか言ってたのに、だんだん優しくなって「明日からどこどこでセールはじまるから連れてってあげようか?」とか(笑)。
──だから帰って来いってか。それもシカト?
夏海●最近は返信してますよ。
──いつ頃から返信してもいいと思いはじめた?
夏海●家出して3日目か4日目くらい。警察の話が出てきて、ちょっとこれはヤバいかもと思って(笑)。
◆◆◆◆ 家出事件簿・その3 ◆◆◆◆
生セラショップ経営者が従業員と共謀し、インターネットやビラで募り、家出中の女子中学生(14歳)を捕獲。セーラー服などを着用させ、店内の個室でマジックミラー越しに、男性客の求めに応じて面前で下着などを脱がせて販売させるなどの業務に従事させていた。
──電話はしてる?
夏海●今は、毎日1回電話してる。
──電話入れるようになって親もひと安心だ?
夏海●うん。とりあえずプチ旅行みたいな感じになりました。
──電話の内容は?
夏海●夜の9時くらいに。最初に電話したときもべつに怒ってなくて、「ちゃんと食べてるの?」とかって。でも、あんま長く話すのが耐えられなくて、「また電話するね」って1~2分ですぐ切った(笑)。
──耐えられないっていうのは?
夏海●せっかく家出してるのに、「なんで親なんかと話さなきゃいけないの?」って。
もはや親などゴミのような扱いである。それにしても少女が一人で、生活は成り立っているのだろうか? まさか路上生活ということもないだろうが、一体どこで寝起きして、毎日何を食べているのか? 夏海の話はまだまだ続く。
(第3回へ続く)
(取材/文=石原行雄)
石原行雄 プロフィール
闇フーゾクや麻薬密造現場から、北朝鮮やイラクまで、国内外数々のヤバい現場に潜入取材を敢行。著書に『ヤバい現場に取材に行ってきた!』、『アウトローたちの履歴書』、『客には絶対聞かせられない キャバクラ経営者のぶっちゃけ話』など。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/ishihara-yukio/

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