渋谷の雑踏で、家出少女を捕獲した。
派手すぎず地味すぎずの適度な露出のお洒落な服装に、黒すぎず明るすぎずと、これまた適度な色味の染め髪。バランス感覚に優れた印象の少女の名は、夏海(なつみ)。まだ、どこかにあどけなさや幼さを感じさせる彼女は何と、まさに家出の真っ最中だった。
家出少女というと、「あそこも頭もゆるい娘が、勢いで乗り出すひと夏の大冒険」といったイメージを抱く人が多いだろう。しかし、現実はちょっとばかり違ったようだ。
昨今流行の家出少女の実態を探るべく、まさに今、家出の最中というこの夏海ちゃんにインタビューを敢行した。
親との些細なケンカから
──これまでにも何度か家出はしてた?
夏海●いや、今回が初めて。
──今日で何日目?
夏海●もうすぐ1週間。
──どこから東京に来たの?
夏海●茨城です。
──家出のきっかけは?
夏海●前日に友達と遊んでて、そのことで当日の朝に怒られて、ケータイを取り上げられたんですよ。でも前日に友達がすごい大変なことになって、それで「友達がヤバいから、慰めてあげないとマズいから」って言ったらケータイ返してくれたんだけど、そのときケータイ投げつけられて。ひどいですよね? それでガマンできなくなって飛び出した。
──書き置きとかは?
夏海●なんにもナシ。
──親の反応はどう?
夏海●電話とメールがすごいですよ。もう1分おきとかに来た。
──心配なんだろうね。
夏海●まあ、最初は全部シカトしてましたけど。
◆家出事件簿・その1◆
大阪ミナミで、無許可のホストクラブ店長(26歳)が、家出中の女子中学生(15歳)を客として店舗に誘い、17歳のホストを使って接待。そのうえでホストがスカウト業者と共謀し、高額な飲食費の代償として、性的類似行為をさせることを知りながら、同女を派遣型ヘルス店に紹介。同女は男性客相手に、性的類似行為をさせられた。
──電話が来たときの気分は?
夏海●最初はビビリましたよ。前に家出未遂をしたことがあって、そのときは親友の家に行ったからすぐバレちゃって連れ戻されちゃったんだけど、ウチに帰ってから4時間くらい説教された。そのときみたいになるかなと思って。
──家は厳しいんだ?
夏海●夜遊びできないんです。親が仕事から帰ってくるまでに、家に戻ってないとダメで。お母さんが6時半ごろに帰ってくるから......。
──事実上、門限6時半だ?
夏海●そう。
──門限を破るとどうなる?
夏海●外出禁止とか。
──門限を破っちゃおうとは思わない?
夏海●ダメですよ。前にケンカしたとき、普通にケータイ取られたんで。ケータイなくて友達と連絡取れなくて、すごい大変なときがあって。もうヤバいなぁって。
携帯電話一つでここまで切れられてしまうとは......。
いや、これがティーンの感覚なのか。親世代もうかうかしてはいられない。
(第2回へ続く)
(取材/文=石原行雄)
石原行雄 プロフィール
闇フーゾクや麻薬密造現場から、北朝鮮やイラクまで、国内外数々のヤバい現場に潜入取材を敢行。著書に『ヤバい現場に取材に行ってきた!』、『アウトローたちの履歴書』、『客には絶対聞かせられない キャバクラ経営者のぶっちゃけ話』など。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/ishihara-yukio/

渋谷の街には少女を惹きつける何かがあるのか?