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検察とは何か? ~捕まったらこうなった~【前編】

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 法と正義の番人、検察官。

 高級スーツの胸には秋霜烈日の金バッジ(冷たい霜と暑い日差しを図案化した検察官だけがつけられるバッジ。厳しい環境があることで自然が美しく保たれているように、厳しく捜査することで美しい世界を守りたい、という意味)。

 両手には証拠品の詰まったダンボール箱を持って、「悪の政治家」の事務所や「庶民の生き血をすする企業家」の豪邸からゾロゾロ出てくる彼らの映像は、テレビなどではおなじみのもの。

 とはいえ警察に捕まるなんてありえない、ごく普通の生活を送っている私たちにとってはまるで縁のない、向こう側の人たちですよね──などと考えたりはしていないだろうか?

 だが実際には検察官と私たちの距離は意外も近いもの。運が悪ければ無実の罪で刑務所行き、なんて、ある日いきなりどん底に突き落とされる可能性もないわけではないのだ。

 そこで今回は、どん底に突き落とす側の元検察官X氏と、突き落とされた側のY氏に話をきいてきた。

有罪無罪は検察の気分次第!?

 そもそも検察官の仕事とはなんだろう。

 検察官の仕事は「送致事件」と「認知事件」のふたつ。

「送致事件」とは警察が捜査した殺人や窃盗などの事件の犯人を、起訴して裁判に持ち込むこと。こちらが検察官の仕事の大半を占めている。

 一方、「認知事件」とは検察官が独自に捜査して掘り起こす事件のことで、こちらは検察の中でも地方検察庁特別捜査部(通称・特捜)だけの仕事。近年であればライブドア事件などがそれに当たる。

「堀江さんの事件なんて、今だったら、ただの罰金刑だよ。あれは特捜が目立ちたいからやったスタンドプレイ。本当にかわいそう」と語るのは、かつて自分も検察官だったことのある弁護士、いわゆる「ヤメ検」弁護士のX氏である。

「堀江さんは額面で53億円ほど会社の決算を粉飾、つまり売り上げの水増しをして株価を釣り上げた、という罪で捕まってるんだよね。それで懲役2年6月。せっかく作った会社のライブドアも上場廃止(2006年4月)で、株券も紙クズ。株主も何人か自殺してるよね。事件後になって、あれ、ちょっとやりすぎちゃったよね、かわいそうなことしたよね、堀江には絶対に言えないけどって話になって(笑)、実はひそかに法律も変わったんだ(2006年6月、それまでの証券取引法から金融商品取引法へ変更)。だからそのあと日興コーディアル証券で180億円もの粉飾決算が発覚しようが、罰金を言い渡されただけ。オリンパスの事件なんか粉飾額1100億円なのに、そのまま上場維持だもん(笑)。要するに堀江さんが捕まった理由はただひとつ、検察が堀江さんを捕まえたかったから。ただ、それだけ」(X氏)

 要するに誰であれ、一度目をつけられたら終わり、逮捕を免れることはできない、ということなのだ。とくに社会に対する影響力が大きい人物──邪推するならば、その逮捕劇をマスコミが大きく取りあげて、検察官の「仕事してるぞ!」アピールができる人間──ほど逮捕する価値があるのだろう。

 それにしても検察の宣伝にタダで手を貸しているマスコミこそ、いいツラの皮である。自分たちが検察に使い走りをさせられていることへの自省や疑問を持つマスコミ人はいないのだろうか。

「だって検察とマスコミは癒着してるんだから、そんなの気にするわけがない(笑)。じゃあなんで極秘の中の極秘調査である検察の強制捜索のとき、捜査員よりも先にテレビカメラが何台も入ってるの、って話よ」(X氏)

 つまり、この件に関してマスコミはまったく頼りにならない、ということなのだ。

(以下、後編へ続く


(取材/文=R-ZONE編集部)

東京地検特捜部.jpg

家宅捜索に入る東京地検特捜部(47Newsより引用)