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夢ある人生

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金はないけど、夢はたっぷり

 やる気になってからあっという間に1年が過ぎた。

 この頃から、オアシスラリーの正式な情報が日本でも入手し易くなり、3人は、ラリー出場のエントリーを行った。

 生活は楽ではなかった。何といっても、無職である。就職してもいいが、来年にはレースの為にその会社を退職しなければならない。

 だから、今で言うアルバイト生活を続けた。参加書類の翻訳の為に翻訳料金もかかった。サハラ砂漠への下見旅行の金もかかった。

 金がなければ出来ない事ばかりだが、金はなかった。

 だが、彼らには夢があった。やる気があった。

 それが金を生み、協力者を生み、決して儲かるわけでもないレース出場へ全身を突き動かした。

 人生とは何か? 

 その答えは「人生は金では買えない」である。

 大卒のエリートや公務員と結婚したい女から言わせれば馬鹿極まりない3人組でしかないが、オイルショック後の不景気な日本で、夢のかけらもなく生きるよりは、一生懸命、明るく生きたい。

目前でレーサーが次々と死んでいく

 ギリギリですべての準備を整え、510ブルーバードと共にジリ貧の船旅を経て、アフリカに上陸。

 ラリー参加者へのテスト走行が認められているその日に、日本の民間人として初めてサハラ砂漠を運転して走った。

 その途中、前を行く外国人企業チームの車が、砂漠の砂に飲まれて消えた。

 見た目は走れそうな砂上だったとしても、実際は、蟻地獄のような柔らかい砂上の場所も点在している。気がつかずにそこを走ってしまうと、車が砂中に吸い込まれてしまう。突然の出来事で、レッカー車や救護隊も追いつかないため、そうなるとほとんどの場合、乗員は死亡する。

 3人の乗ったブルーバードの前方にその場所があり、そこを先に走った車が砂に飲まれて消えた。

 他のチームの車も皆止まった。足場が悪すぎる為、救助も出来なかった。救助しようとすれば、した者も砂の中に消える。

 世界一過酷なレース。まだテストだったとはいえ、3人はその過酷さを痛感した。