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憂国我道会・山口祐二郎のひとりごと

相次ぐ公園からの締め出し! 追われたホームレスがたどり着いた先は?

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年々、ホームレス排除の向きが強まっている渋谷区の宮下公園(WIKIPEDIAより)

 年末年始、渋谷の宮下公園をはじめとして、いくつかの公園でホームレスの締め出しがおこなわれた。

「東京・渋谷区:宮下公園など3日まで閉鎖 ホームレス締め出し」(毎日新聞)


東京都内最新ドヤ街こと『蒲田』

 おそらく政府や役所等は、2020年に開催が予定されている東京オリンピックを前にして、これからどんどんホームレスを街の景観を害するなど、いちゃもん的に理由をつけて排除していく方針なのだろう。そんな中で、ホームレスがある場所に流れ着いていると聞く。

 そのある場所とは、東京都大田区の蒲田だ。少し前はネット難民が多くなって話題となった蒲田であるが、最近ではどんどんと山谷のようなドヤ街化が進んできている。

 蒲田には、普通ではありえない格安料金の漫画喫茶が連なる。現在もとんでもない不景気からの雇用状況の悪化で、益々のネット難民の巣窟となっているのだ。1時間100円の激安料金の漫画喫茶『いちご』に、日雇い労働者たちがここぞとばかりに集まっているのだ。

 この店以外にも、ネット難民やホームレスを客対象とした店が数多くある。街がホームレスに優しく、あたたかく受け入れるような雰囲気なのだ。そうして多くのホームレスが蒲田に流れてきているのだ。

若者のネットカフェ難民化は増加の一途

 実際に蒲田に行ってみると、そういったネット難民の人間たちが若いことに驚く。年齢は20代~40代が多い。貯金ゼロで所持金が数千円や数万円しかない、その日暮らしの生活をする者たちが漫画喫茶で沢山生活をしているのだ。

 蒲田で生活をして1年になる友人の清水(29歳・仮名)に話を聞いた。
「俺なんて大学出たのに、新卒枠で入った会社を辞めてから転落していったよ。特技もないし、口下手だから面接してもまず受からない。何度かやり直そうとしたけど、仕事で怒鳴られたりがもう嫌なんだよね。
 たまに日雇いの肉体労働をして気楽に住んでるよ。夏は結構、野宿もしてたんだけど雨の日だとか寒くなってくる冬は辛いね。だから、漫画喫茶で優雅に暮らしてるよ。金がちょっと余裕ある時は安い風俗行くしね、仕事に追われてストレス溜めてた時よりかは、本当に幸せだよ」

 そう語る清水はすっきりした笑顔だった。何かを悟ったような表情であった。

若年層がホームレスになる、それぞれの事情

 次に話を聞いたのは、ホームレスの室伏(40歳・仮名)。室伏は身なりもそれなりに綺麗で、ホームレスらしからぬ清潔な印象である。

「俺は広島出身で、夢を追いかけて専門学校に通うため上京したんだ。今なぜここにいるかといえば夢破れたわけなんだよね。フリーターもしていたけど、働いてもろくに生活できないし、親に援助を頼めるような家庭でもないからさ。渋谷でホームレスをしていたんだけど、締め出されて暮らせなくなって蒲田に辿りついたんだ。自分みたいにメンタル弱いと、どうしても働くと体調を崩しちゃってね。だから就職するのなんて無理なんだよね。友達も少ないほうで上京してからは全然いない、誰かと一緒に住むシェアルームとかは肌に合わないし、必然的に俺には居場所がここしかなかったんだよ」

 よく世間ではホームレスが悪だとされる風潮があるが、室伏の話を聞いてみると、それは的を射ていないケースもあるのだと感じた。彼は怠惰ではない。努力もしてきたし、働こうと頑張ってきていた。けれども、心が弱くてむくわれなかった。その結果、真っ当に働いて生きることができなくて、この蒲田を最後の居場所として生活しているのだ。

生きやすい国"日本"を作るために

 室伏は言う。
「とにかく、蒲田の街は暖かいんだ。こんなホームレス生活をしていると、冷たい目で見られて嫌なことされるのが当たり前なんだよ。このダンボールや布だって商店街の人たちから頂いた物なんだ。だからもう、他の街に行こうなんて考えない。出ていかされたなら死にたいよ。蒲田で人生最後まで過ごせたらって思っているよ」

 取材のために著者も蒲田のネットカフェに泊まってみたが、少し酸っぱいニオイがする程度で、とても居心地の良い場所である。感じたのは、「中毒性のあるヤバイ楽園みたいだな」ということである。現代のオアシスといっても過言でないだろう。

 だからこそ、心配になる。蒲田すらホームレスに厳しい街になってしまったらどうなるのかと。ホームレスの人たちだって、望んでホームレスになったわけではない。触れあえば分かるが、たまたま色々な原因でそうなってしまっただけの場合も多々ある。誰しもホームレスに些細なきっかけでなると思う。明日は我が身である。

 最後に、今回の取材でホームレスを蔑む風潮を本当になくしていかなくてはと感じた。日本社会にあるホームレスを蔑む空気から、ホームレスの排除は進んで行くのだろう。僕たちは同じ人間なんだということを忘れはいけない。


(文=山口祐二郎)


山口祐二郎 プロフィール
1985年、群馬県生まれ。歌舞伎町ホストなどを経て、新右翼「統一戦線義勇軍」幹部に。2007年に防衛省襲撃事件を起こし、2012年に脱退。現在は作家・活動家として活躍。 著書に『ハイリスク・ノーリターン』(第三書館)などがある。
山口祐二郎の公式ブログ「火炎人間」http://yamaguchiyujiro4.seesaa.net/