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男組とは

反差別集団『男組』の活躍を描いたドキュメント「カウンターズ」が韓国で全国上映中!

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 反差別集団『男組』の活躍を描いたドキュメント映画「カウンターズ」が韓国で全国上映中だ。日本では敗戦の日、韓国では光復節(解放記念日)の8月15日から公開スタートをした。「カウンターズ」は韓国国内で話題となり、マスコミからも数多く取り上げられている。
 日本国内でヘイトスピーチ(差別扇動表現)を撒き散らす人種差別団体『在日特権を許さない市民の会(在特会)』に、最前線で対峙をし闘った男組。人種差別団体に『カウンター』と呼ばれる抗議行動をするいくつかのグループ、そしてどこの集団にも属さないでいる人々の中で、凶悪な容姿を前面に出した刺青だらけのメンバーばかりの男組は異色の存在であった。
 そうした男組が、なぜ韓国で映画化となったのか。そして「カウンターズ」を見た韓国の人々は何を感じたのか。私は男組を結成した人間であるし、舞台挨拶で韓国へも行ってきたので書こうと思う。

●男組とは
 元ヤクザ出身の高橋直輝(2018年4月に死亡)が中心となって活動をした男組。2013年に右翼思想を持つ高橋直輝と私が出逢い、「非暴力超圧力」を掲げて結成をした。刺青を見せつけながらカウンターをする男組は、次第にカウンター界隈においても迷惑がられ嫌われていった。
 そして、実際のところ高橋直輝は私とは違い、ヘイトスピーチをおこなう人種差別団体に対して暴力を振るうことを厭わなかった。当たり前だが、人を殴るのは犯罪だ。それは相手が差別主義者であってもだ。男組は度重なる暴力事件を引き起こし、何度も逮捕をされて全国ニュースを賑わすようになる。いつしか男組は私の考えとは全く異なる暴力集団と化し、私は男組内で非暴力を貫く数少ない人間となっていた。
 だが、男組は批判されながらも、人種差別団体に対してはダメージを与えた。デモ後の帰り道を待ち伏せする、自宅に押しかけるなどの手段を選ばない行動で、差別主義者たちを恐怖に震えあがらせ追い詰めていったのだ。

●カウンターの汚れ役
 「カウンターズ」を製作した李一河(イ・イルハ)監督は、どうしてスネに傷ある者たちにまみれた男組にスポットライトを当てたのか。逮捕上等でカウンターをおこなう男組を撮影すれば迫力ある作品になるだろう。でも、きっとそれだけではないはずだ。私が勝手に想像するに、イ・イルハ監督は男組が新しい反差別運動を切り開いたと感じているからではないか。
 なぜかといえば、既存の反差別運動は参加をするハードルがとても高かったからだ。そのことに対して男組は、人間的に問題だらけのメンバーばかりで真逆である。こんな奴らが反差別運動をやるなと言いたくなるレベルだ。
 しかし、男組でしか成しえなかった役目はある。カウンターをしていて、差別主義者から個人情報を晒されたり職場に嫌がらせを受けたりして仕事を失ってしまった人もいる。さらには、カウンター中に警察と揉めたり、差別主義者と小競り合いとなり逮捕をされてしまえば、社会的立場のある人間だったら生活に大きな支障をきたす。男組はそんなことお構いなしのメンバーが大半だった。いくら叩かれても、社会的に死んでいる立場であるアウトローならば関係ないからだ。
 差別に反対しながら、暴力を振るいつつカウンターをかける汚れ役として活躍した男組。差別主義者にダメージを与えるためなら悪逆非道も辞さないという、男組は善悪が混同した集団だった。評価をされ認められることなど皆無な連中であった。
 イ・イルハ監督は、男組をダークヒーロー的に捉えていたのではなかろうか。

●日韓友好の映画に

 昨年2017年9月、韓国のDMZ映画祭で上映された際に私は舞台挨拶をしたが、多くの観客が駆けつけていた。「カウンターズ」はすでにいくつもの賞を取っていて、韓国でとても注目されているようだ。アウトロー集団の男組が差別デモを阻止する運動の最前線に立ち、念願だったヘイトスピーチ解消法施行まで果たしたプロセスが高い評価を受けているらしい。
 そして、私は今月2018年8月17日にも、韓国ソウルの映画館「MAGABOX ARTNINE」で舞台挨拶をおこなったが、何より印象に残ったのは来場者の方々から何度もお礼を言われたことだった。感謝をされたり誉められるつもりでカウンターしてきたわけではなかったので、韓国の方々から握手やサインを求められ困惑し照れてしまった。
 「カウンターズ」が、日韓友好の映画になっているのは嬉しい限りである。今後、日本での上映も期待されているようだ。機会があればR-ZONEの読者の皆様にも、ぜひ反差別集団『男組』の活躍を描いたドキュメント「カウンターズ」を観て欲しい。

■最後に
 「カウンターズ」を観る前、よくある理屈っぽいものや、カウンター讃美の作品になっていたら嫌だなと感じていた。実際に観るとその不安は裏切られて良かった。きちんと私たち男組が、どうしようもない奴らの集まりだと分かる内容で安心た。高橋直輝と私をはじめ、男組はプライベートで人間としてやってはいけない問題行動も起こしてきた。本来であれば、反差別運動に関わらない方が良い人間たちである。
 だからこそ今、男組が解散し類似した組織が必要とされていないことは良い方向に向かっているのだと思う。現在、ヘイトスピーチ解消法が施行され人種差別団体の求心力は著しく低下し壊滅状態だ。しかし、ヘイトスピーチ解消法は罰則規定が無い理念法であるので、抑止力を疑問視する声も多く出ている。なので罰則規定を設けるか、各自治体でヘイトスピーチを対策する条例の制定が進んでいる状態だ。東京都も2020年に開催予定の東京五輪・パラリンピックを控え、あらゆる差別も禁じる「五輪憲章」の理念を実現するヘイトスピーチ対策条例を2019年に成立施行させる予定だ。
 だが、そこに至るまで、私たち男組は確かに路上にいた。それは悲しいが、男組のような不良集団がいなければならないぐらい日本社会がヘイトスピーチを許容し酷かったからだ。そうした好ましくない存在であった男組が、韓国でスポットライトを当てられている。何だか申し訳ない気持ちになるが、男組がどんなに反差別運動以前の最低最悪の悪党連中でも、マイノリティの心をえぐるヘイトを止めようと本気で動いていたことは事実である。

山口祐二郎
1985年、群馬県生まれ。「全日本憂国者連合会議」議長、「憂国我道会」会長。作家・活動家として活躍。
山口祐二郎公式ツイッター  https://twitter.com/yamaguchiyujiro