>  > 義賊か、それとも悪党か。 "しばき隊"とは何だったのか? シリーズ"しばき隊の真実" 第八回 (下)
第八回 ネトウヨとしばき隊は同類だ! 荒井禎雄氏インタビュー (下)

義賊か、それとも悪党か。 "しばき隊"とは何だったのか? シリーズ"しばき隊の真実" 第八回 (下)

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第八回 ネトウヨとしばき隊は同類だ! 荒井禎雄氏インタビュー (下)

 2013年2月から新大久保コリアンタウンに颯爽と登場した『しばき隊』。人種差別団体『在日特権を許さない市民の会(在特会)』に立ち向かい、暴力さえも厭わずに身体を張って抗議をすることでヘイトスピーチ(差別扇動表現)を社会問題化させた。そして「ヘイトスピーチ解消法」という法律の施行まで成し遂げた、しばき隊。
 しかし、しばき隊が現れる以前から、在特会などの差別主義者たちに対峙をする者たちは少人数だったが紛れもなく存在した。何事も、誰よりも早く新しい領域を切り開くに至るのは並み外れた勇気が必要だ。後ノリは本当に楽である。
 今回は、しばき隊発生より遥か前からネトウヨ(ネット右翼)の象徴的人物と言われる『日本第一党』最高顧問の瀬戸弘幸氏と激しい闘いを繰り広げ、その後はしばき隊の野間易通氏と激しい論争を展開してきた孤高の男、荒井禎雄氏(1975年生まれ フリーライターとして、表現問題や地域批評、グルメ記事まで幅広く執筆。また、様々なWEBサイトの立ち上げや運営に参加)にインタビューをお願いした。そうして私、山口祐二郎は、東京都板橋区の大山に呼び出されたのであった......。

※注......しばき隊とは、在特会などの人種差別団体に対し、カウンターと呼ばれる抗議行動をする『レイシストをしばき隊(2013年9月解散)』、『男組』、『C.R.A.C.(クラック)』、『OoA(オーオーエイ)』、『憂国我道会』などのいくつかのグループ、そしてどこの集団にも属さないでいる人々の総称である。

──(山口)私は荒井さんと松沢さんの関係がよく分からないです。が、私自身、しばき隊を批判する荒井さんと、しばき隊で共闘関係にあった松沢さんの板ばさみになって辛かったのは事実です。僭越でありますが、ちょっとしたボタンの掛け違えではないかと思います。双方が、ヘイトスピーチに反対なわけですしね。

荒井 オレはヘイトスピーチ反対ではないよ。ヘイトスピーチしたければすればいい。ただ、言った事に対して相応の責任を負わせられる世の中であれと思う。表現の自由と表現の責任という話。でもこれはこれで「とはいえ私刑はイカン」とか色々と長くなるから今回は割愛する。

で、オレは最初しばき隊には情があったんだよ。新大久保で在特会がヘイトスピーチを撒き散らしていた時に、参加しようかなと考えるぐらい心を寄せていた。あんなに危機的状況にあっても警察が動かないんだから、誰かが盾になって、何だったら嫌でも事件になるような展開に持ち込むしかないじゃない。しばき隊の「悪党と言われて石を投げつけられながらも、差別に立ち向かう壁になる」というスタンスは一定の評価をしてたよ。これしかないなって。東村山でネトウヨ連中がお店に雪崩れ込もうとした時に、元副署長さんが身体を張って盾になったって言ったでしょ。オレは事前にネトウヨ団体はここまで暴走するっていうのを東村山で見ていたから、警察が動かないというならアレをやるしかないと思った。在特会のヘタレ共がどこまでやるか解らないけど、コリアンの焼肉屋の前で壁になってボコられるくらいの事をされて、みんなで被害届けを山ほど持って行けばいいやって。

ただ、スタートと同時に在特会側に一部分の映像を切り取られてネットで拡散されたりと、悪い印象ばかり目立ち始めたよね。そもそもコリアンタウンで数に任せて店員に毒づいて、看板を蹴飛ばしながら歩いてた在特会の側がおかしいのに。あれじゃしばき隊と言われる輩とは別の、プラカ隊とか平和的手段のカウンターの人々も一緒に見えてしまうよ。その見せ方をこうしたらどうかと意見具申したら、野間に嫌われ、野間を尊師と担ぐ謎の宗教団体の信者達(笑)に総攻撃を受けて、しまいには「やはりお前はネトウヨだ、在特会と変わらない」とまで言われた。

今となっては、2chだかmixiだかでの野間のネトウヨ時代の酷いヘイト発言が発掘されたり、自分に意見した在日コリアンに向かって「お前は糞チョソン人だ」と暴言を吐いたりと、どっちがネトウヨなんだよって話だけどね。

──私としては前科もありますし、自分の経歴も酷いものであることを否定しません。右翼なんかは社会から忌み嫌われる存在であると思います。それでも差別主義者にダメージを与えられればいいと考え、カウンターをやってきました。ですが、純粋な想いから沿道に立った人たちが、私のせいで迷惑を受けては欲しくないです。結局、私は元『関東連合』最高幹部の工藤明男氏こと柴田大輔氏との関係を非難され、しばき隊界隈からは腫れ物のような扱いをされるようになりました。

荒井 山口君も悩んで来ただろうけど、何年も前にオレが「キミはこのままじゃ鉄砲玉にされるよ」と言った通りになっただろ。キミや先日亡くなった高橋氏は、鉄砲玉として便利に使われて、用が済んだから切り捨てられたんだ。そもそもアウトローでも反差別ならばいいってのがコンセプトだったんじゃないのか。それが山口が元関東連合の柴田氏が寄稿してるメディアに文章を出したからなんて理由でパージ(排除)って、頭に虫でもわいてるんじゃないのか。本物のアウトローの姿を見せて、在特会の甘ったれどもをビビらせて散らせるって方法論をヨシとしてたのはアイツらじゃないか。どんだけ義理が低いんだよ。光栄の歴史ゲームだったら呂布や松永久秀以下だぞ。

それにさ、しばき隊は組織じゃないとか言ってたくせに、野間や一部の指導者の意向と一体化してるじゃない。オレがそうだったように、野間を批判すれば、反レイシズムを掲げるお仲間全体から総攻撃を受けるだろ。オレは元々、野間の人間性を疑っていたから何度か揉めた事もあったけれど、それでも嫌悪感を飲み込んでしばき隊の理念を支持したんだ。でもやっぱりダメだったね。ここまで話が通じないのなら、立ち上がると同時にカルト宗教的になるようじゃお先真っ暗だと、批判する立場になった。

大体、しばき隊はイシューの変容が酷い。清義明氏も山口君の記事で言っていたけれども、当初のしばき隊は身体を張って在特会を止めましょうという明確なゴール設定がちゃんとあった。実際にヤツらは動員も激減して、すぐにおとなしくなった。でも、しばき隊は快感が忘れられなかったのか運動を目的化してしまった。秘密保護法反対とか、安保法制反対とか、米軍基地反対とか、それは差別と関係ないだろ。何に取り込まれたのか知らんけど、単なる時代遅れのバカサヨクに成り下がったんだよ。

──私もC.R.A.C.に対してはセクト化したと思っています。

荒井 ここからは私怨めいて来るけど、野間は東村山の件でも荒井批判を展開した。オレがネトウヨでやり方が間違っているから在特会らがのさばったと。オレが元総会屋の爺さんにまで頭を下げて瀬戸の背景を暴き立てて追い込んだってのに。瀬戸なんか白黒つけるために直接会おうと思って電話でアポ取ろうとしたら「私はアナタと揉めたいわけじゃない」とかなんとか言って逃げたよ。ぶっちゃけ、野間らが出しゃばって来た時点で、すでに瀬戸はそんな感じで逃げてたし、桜井らも弱ってたじゃないか。

ネトウヨ系団体が本当にマズかったのは、現実の政治と結び付くところまで行きつつあった時期なんだよ。身内に保守系の地方議員とかが大勢いたし。それがチーム関西の暴走で朝鮮学校や県教組を襲っちゃって刑事事件になり、有罪になるバカが現れて、やっとこさプロ右翼も連中のヤバさに気付いて距離を置き出し、政治家も表立って行動を共にする事がなくなり、桜井みたいな素人だけが残り......。オレはその時期は常に前線にいたし、集めた情報をまとめて、事情に疎い出版社や新聞社の記者に解説したりと、表でも裏でも色々な事をやってたよ。関係を切った右翼のオッチャンらに「お前は反目にまわるのか!」なんて脅されたりしながら。それが確か2009年くらいの話だったかな。

それに比べたら、野間なんてその辺の厄介なのが逃げ散った後で、後乗りでやって来ただけだろ。桜井みたいな素人相手にイキがって、単に手柄を横取りしたいだけじゃないか。しかも野間は元々が生粋のネット弁慶だぞ。オレのことをネトウヨとか言っているけれども、アイツに以前言われた言葉をそっくりそのまま返してやるよ。野間は「心の中のネトウヨが隠せてない」んだよ。

野間はネットで一部の人間から教祖的な扱いをされているけど、あんな恥ずかしい釘バットの写真を見たら、世間の多くの人はどう感じると思う。信者達もキメ顔で釘バット持った写真を自慢気にネットにアップするようなオッサンを、よく担ぐ気になれるよ。しかも、そんなオッサンが何故「山口はアウトローだから」なんて理由で排除するのか。釘バットはアウトローじゃないのか。どこまで自分にだけ甘いんだよ。ネトウヨのカリスマが桜井で、しばき隊のカリスマが野間ってだけだろ。同じ人種なんだよアイツらは。

──荒井さんは野間さんと色々あったとは思いますが、はっきり言いますね。東村山で右翼筋の付き合いを切ったのも勇気がいることだったと想像します。

荒井 野間は人間として情がないんだよ。オレだったら、後乗りの分際で先住者に対してクソみたいな批判を投げ付けたりはしないよ。野間の周りも教祖を庇う信者みたいな奴らばかりで、反安倍を唱えていながら、安倍一派と瓜二つじゃないか。反差別を謳っていながら、多種多様な考え方を認めない。教組様の好き嫌いや都合を基準に、敵とみなす人間への憎悪によって組織をまとめているだけ。そんな連中に差別という言葉を軽々しく使って欲しくないし、あいつらのやっている事こそが差別の根源的な部分そのものだろうが。

──特に私が違和感を覚えたのは、オタク叩きです。「はっきり言うと、当時のオタクより今のオタクのほうがはるかに危険で有害で、犯罪者予備軍である確率高いと思います」とC.R.A.C.の公式ツイッターがツイートしていますね。野間さんによるヴィーガンバッシングもそうでした。

荒井 (スマホでJRAのサイトを見ながら)ちょっと待て。馬券が外れた!ふざけんなよしばき隊!野間の話なんかさせるから馬券が外れたじゃねえか!

──とんでもない悪質クレーマーですね。冗談はこれぐらいで荒井さん、最後に今回のインタビューのまとめをお願い致します。

荒井 クレーマーと言うなら、しばき隊こそ目的不明のクレーマー集団なんじゃないの。筋を通さず内ゲバだらけ。矛盾だらけの反差別を騙るだけで、自分達こそが誰よりも酷い差別主義者だという事実を認めない。おまけに内部でカンパ金を着服したただの(後に全額返還)、性犯罪が起きただの、暴力事件を起こしただの。その度に「我々は組織じゃない」と逃げてトカゲのしっぽをザクザク切って、どんどんボロが出て来て。結局、行き着いた先はカビが生えたサヨク活動か、はたまたごく少数の指導者を担ぐカルト宗教かっていう。いったい何がやりたかった人達なんだろうね。

あと、まとめという事で自分より若い人間に言っておきたいんだけど、オレも含めてネットで声の大きいヤツなんか真に受ける必要ないんだよ。安易な「自称正義」に惑わされず、広い視野で自分なりの考え方を持てばいい。で、その自分なりの考え方ってのは、何気ない普段の生活から生まれるの。近所の酒場に入ってみて、この酒が美味しいとか、この時期のこの魚とこの野菜の組み合わせはいいぞとか。飯以外でもこの公園は子供を連れて来るのにいいなとか、そんな小さな経験の積み重ねから自分の形なり引き出しなりが作られて行くの。ネットの声なんかにムキになったって、得られる物なんざ無い。長くネットで仕事してたオレの結論がそれだよ。

それと「嫌い」って感情は在特会やしばき隊みたいに暴走を招くだけだから、「好き」という感情を最優先すべきだよ。嫌悪感ってのは、膨らめば膨らむほど自分が病むだけだし、物事がネガティブな方向にしか進まなくなるし、悪いヤツに利用され易い。だから、嫌悪感を煽るような言動の多い人間は、どれだけ聞こえのいい言葉を吐いていたとしても「何か企んでるぞコイツ」と疑ってかかるべき。間違っても、そんな輩に自分の人生を預けるような決断をすべきじゃない。何かに対して嫌悪感を抱いたら、それを抹殺するまで攻撃しようなんて考えるんじゃなく、そこから離れりゃいいだけなんだよ。そうすれば心までは病まないから。心が平穏無事ならば人生何とかなる。もっと肩の力を抜いて生きてりゃいいんだよ。

そういう視点を伝えたいから、今回のインタビューは大山のグルメレポート主体でまとめて欲しい。

──無茶言うなよ

 私は荒井氏にインタビューをしていて、瀬戸氏の批判以上に野間氏批判が爆発したことが印象的だった。が、その荒井氏でさえ、当初はしばき隊を支持していたのだ。確かに私自身はしばき隊の内部にいて、いつからか差別主義者を退治するというシンプルな集団から変質し、旧来の左翼運動のようになっていったと感じた。そして、同じく反差別の想いを持つ人間がしばき隊の意見にそぐわない、または批判的だと一斉に攻撃をし吊るし上げられるのを何度も見てきた。
 予想するに、今回の荒井氏のインタビューを出せば批判は殺到するだろう。しかし、世間からしばき隊という存在は事実として、暴力集団、カルト集団、反社会勢力のように認識されていったのは否定できない。けれども、私は全てを野間氏のせいにはしたくない。カウンターをする人たちは、金太郎飴のようにまるで同じ思考ではない。野間カルトではなかったはずだ。誰も、的を射たしばき隊の総括をしないのであれば私がやる。しばき隊の過剰な讃美、批判はうんざりだ。
 私はしばき隊の光と影から逃げない。

<荒井あとがき>
↑記事の最後にこんな文章を付け加える山口こそ、もっと肩の力を抜けバカタレ。力めば力むほど視野は狭まるんだよ。

山口祐二郎
1985年、群馬県生まれ。「全日本憂国者連合会議」議長、「憂国我道会」会長。作家・活動家として活躍。
山口祐二郎公式ツイッター  https://twitter.com/yamaguchiyujiro