>  > 義賊か、それとも悪党か。 "しばき隊"とは何だったのか? シリーズ"しばき隊の真実" 第六回
第六回 8・15 在特会/純心同盟・飯田橋集団暴行傷害事件その後について (下)

義賊か、それとも悪党か。 "しばき隊"とは何だったのか? シリーズ"しばき隊の真実" 第六回

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第六回 8・15 在特会/純心同盟・飯田橋集団暴行傷害事件その後について (下)

 2016年11月27日。私は秋葉原の居酒屋でN氏と会う。居酒屋の個室には、私に対して申し訳なさそうにしているN氏がいた。その表情と佇まいに、嘘偽りは感じられなかった。
 もういい、充分だ。私がN氏の酒を注文する。私から杯をN氏のグラスにぶつけた。私はN氏と握手をし、その晩、浴びるように酒を飲んだ。
 N氏は裁判においても、酒の席でも二度と同じ過ちは繰り返さないことを私に約束してくれた。N氏が過去におこなった差別行為を後悔し、償いをし、人生をやり直したいと願うならば私はそのサポートをしようと思った。
 私はN氏と関わり続けていく内に、庇うわけではないがある疑問を感じるようになった。それはN氏は加害者でありながら、同時に被害者の側面も持ち合わせていたのではないかということだ。そう思った経緯は、なぜあのようなことヘイトスピーチをしてしまったのかを聞いていると、私との裁判でもN氏は答えていたのだが、インターネット上で溢れている在日コリアンを差別する悪意のあるデマを真に受けてしまっていたのと、人種差別団体の中で強い影響力を持つ者たちに巧妙に洗脳されていたのが理由だからだ。そして、私を襲撃した飯田橋集団暴行傷害事件に及んだ際も、桜井誠から指示を受けていたという。つまり、カルト宗教に傾倒してしまったような状態であったというわけだ。
 けれども被害者からすれば、加害者にどんな理由があれど関係ない。在日コリアンというだけでN氏から差別を受け、存在を否定され、尊厳を侵された方々の中には、一生許さない人もいるはずだ。N氏は一生消えない十字架を背負って生きていかなければならない。しかし、N氏を利用しコントロールしていた差別主義者の親玉たちにこそ一番の責任があるのは間違いないはずだ。
 実際に、N氏は差別活動を離れてからも、カルト宗教を脱会した信者のように、差別主義者たちから嫌がらせを受けていた。N氏はそれらにもめげずに耐え切った。更生を支えてくれる方々の助けもあったが、自らの揺るぎない意志で完全に人種差別団体から足を洗ったのだ。私はN氏に深く同情をし、差別主義者の親玉たちに強烈な怒りを抱いた。
 やがて私とN氏は、被害者と加害者であった壁を越えて仲良くなっていく。お互い酒好きなことや、共通の趣味もあり意気投合をしていった。そうしてN氏は現在、とても充実した人生を送っているようだ。私はとても嬉しい。殴られた甲斐があった。喜ばしすぎて1人でスナックに酒を飲みに行き、ドラえもんのようなママにぼったくられて、泣きながら夜中に全力疾走をしてしまいそうだ。私はN氏の新しい人生を応援していきたい。今ではN氏は私の大切な友人である。
 だが、これからも私の闘いは続く。現在も民事裁判は継続中だからだ。何ら反省をせず私や在日コリアンに謝罪していない桜井誠、水谷架義、藪根新一、麻生照善と裁判で争っていく。それにしても、自分の身に降りかかってきて思ったが差別主義者のデマはタチが悪すぎる。なぜならば、一切暴力を振るっていない私がインターネット上や彼らの言い分では加害者になってしまっている。在特会の打ち上げを計画的に襲撃し、女性に14針の怪我を負わせ、私が土下座したなど、事実無根な嘘まで流している。卑劣極まりない。
 私は元々、名誉の欠片のこれっぽっちもない男だと思われているかもしれないが、そんなことはない。このことで、今まで以上にイメージが悪くなり仕事、人間関係、生活に支障まで出てしまった。こういう悪意あるデマで、在日コリアンはいつも差別されているんだなと想像できた。理不尽に差別をされる当事者の気持ちを考えるだけで、いたたまれなくなる。
 私は日本社会でマイノリティである在日コリアンではない。なぜならば、私はヘイトスピーチを浴びせられながら袋叩きにされてデマを流されたからだ。この事件の本当の被害者は在日コリアンである。だからこそ、私は悔しくても我慢をして殴り返さないでいた。暴力をひたすら受け続け、逃げずに苦痛に耐え切った。それは微力ではあるが、この先の日本社会において差別で傷つく人が減ることに繋がっただろう。
 正直、私は今回の裁判に膨大な時間と労力を割いているが、引き続き飯田橋集団暴行傷害事件の暴行傷害やデマの流布が人種差別的動機でおこなわれたことを主張し、ヘイトクライムだったとはっきりさせる意気込みでいる。
 そして、いずれこの裁判で桜井誠が出廷する可能性は高いと私は考えている。私の湧き出てくるエネルギーを爆発させて、裁判では良い結果を出してやるつもりだ。


山口祐二郎
1985年、群馬県生まれ。「全日本憂国者連合会議」議長、「憂国我道会」会長。作家・活動家として活躍。
山口祐二郎公式ツイッター  https://twitter.com/yamaguchiyujiro