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神田しんみち

暴力団排除特別強化地域へと検討される尼崎市・神田新道 解説 ・ 沖田臥竜

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暴力団排除特別強化地域へと検討される尼崎市・神田新道 解説 ・ 沖田臥竜


暴力団組員が飲食店などから集めるあいさつ(みかじめ)料について、組員と支払った店側の双方に罰則を設けることを兵庫県警が検討していることが15日、捜査関係者への取材で分かった。指定暴力団山口組から分裂した「神戸山口組」が指定暴力団となって同日で2年。同組は神戸・三宮をはじめ県内の歓楽街で影響力を持ち、あいさつ料を資金源の一つにしているとみられ、県警は取り締まり強化で組織の弱体化を図る。
(神戸新聞)

神田しんみち

近年では暴力団排除特別強化地域において、みかじめ料を受け取った疑いをもたれ、六代目山口組三代目弘道会竹内照明会長が、立て続けに3度逮捕されたことがあった(のちに全て不起訴)。
いよいよ私の地元である尼崎市も特別強化地域にされようとしている。
今ではめっきりと行き交う人々も少なくなってしまい、以前の喧騒がまるでウソかのように静まり帰ってしまっているが、私が10代の頃、神田しんみちと言えば、尼崎随一の繁華街であった。

賑わい過ぎていたお陰で、中学1年生のときには、人生で初の「カツアゲ」という被害にもあったことがあった。脅しとられた金額は忘れてしまったが、大事にしていた小泉今日子のテレフォンカードまで奪われてしまったのを苦い記憶と共に今でも覚えている。

大人になって、ヤクザ渡世に身を賭してからも、所属していた組織が神田しんみちのすぐ近くにあったこと。経営していた飲食店も神田しんみちにあったことなど、私にとって神田しんみちとは、縁もゆかりもある場所なのである。

だからと言う訳ではない。どの地域の繁華街にしてもそうだが、これだけ暴力団排除条例が席巻しているのだ。条例を改正させてまで、特別強化地域にする必要が本当にあるのだろうか。
みかじめ料が俗に言う暴力団の資金源になっているのは私だって知っているし、みかじめ料を受けとった組員に対して、罰則を科すというのも十分理解できる。
だが、と言いたい。暴力団排除特別強化地域となれば、支払っている側も罰則を科すとするのは、少し行き過ぎてはいないか。
よくよく考えてみて欲しい。そうすることによって、金銭を授受した時点で見事に共犯関係が成立してしまうのだぞ。
何らかの腹いせに受け取っている側が、道連れに飲食店からみかじめ料を貰っていたと言い出すことも出来る訳で、痛恨の一撃だって支払っていた側に与えることも可能になってしまわないか。

これだけみかじめ料、撲滅キャンペーンが行われている中で、それでもみかじめ料を現在も払っているところがあるとするならば、それなりの理由がそこに存在するからではないのか。例えば支払う側が違法性がある商売をしているかもしれないし、昔ながらの付き合いを大事にしている人だっているかもしれない。

自ら申告した場合は、罰則の対象から免除される一文も含められるようだが、それならば現行法と何が違うのだ。
ましてや共犯関係が成立してしまう以上、受け取るヤクザ側だけではなく、支払う側もいくら金銭の動きを突きとめられたとしても、それをみかじめ料と認めると思うか。私は余計に認めなくなるのではないか、と思う。

それらを考えると、支払う側にも罰則を科す理由がどうしても理解し難くなってしまうのだ。

その昔、神田しんみちには、やり手のママ連中が、「あんたのこと応援してるから、立派ならなあかんで!」と小遣いをほってくれる風土があった。
これも毎月なら、みかじめ料だったのか。

必要以上の締め付けは、ヤクザ社会に限らずどんな企業においても、必ず歪を生み負の要素を作ってしまう側面がある。その負の要素を超える改正ならば、いくらでも改正した方が良い。
だけど、一般人が息苦しくなる法は、必要ないのではないだろうか。


●沖田臥竜(おきた・がりょう) 元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任俠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)。最新刊は『尼崎の一番星たち』(同)