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なんくるないさ

沖田臥竜の日常エッセイ!『茜いろの日々』第13話

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〜なんくるないさ〜


先日、友人の猫組長のご厚意で、沖縄へと行ってきた。本当は去年11月から、家族旅行をしたことのない私に猫組長が、海外旅行を招待してくれていたのだ。
だけど私。こう見えて日々に忙殺されてしまっているため、中々スケジュールを出せずにいたのである。

「だったら、無理に海外に出なくても沖縄でもいいんじゃない。お母さんも誕生日でしょう、一緒に行ってきなよ」

と猫組長が言ってくれ、初の家族旅行に母まで招待してもらうことになったのだ。別で母への誕生日プレゼントを猫組長はつけてくれていた。

那覇空港到着後にまず驚かされることがあった。
報道陣と警察がびっくりするほど詰めかけていたのである。
何事かと思い、ぼっーとしている報道関係者に尋ねてみると「天皇陛下のお帰りです」と言われ、こちらもハハッーとひれ伏してしまう。

しかし沖縄。誰もアロハなんて着ていないではないか。すきあらば、みなアロハを着てるもんだと思っていたのだが、全く誰も着ていないのである。
こっちは沖縄と言えば、アロハと思っていたので、旅行前日に、アロハのちょっとシャレてるやつを買いに行こうと思っていたのだが、本当に買わなくて正解であった。

旅行中のスケジュールは、全て行動範囲が異常に広い「ひか」が全て仕切っていたので、お陰でクタクタになるまで沖縄を堪能することが出来た。

生きていれば様々なことがある。思い通りにいかないことだらけかもしれない。腹の立つこともある。
だけど、沖縄にいてると、なんだかそんなことどうだって良いではないか、慌てることはないのではないか、という風土がそこにはあった。
そう慌てることはないのだ
ー早く原稿を入れてください!ー
と毎日届く編集者のLINEをみながら、オリオンビールを飲み干したのであった。


旅行から帰ってきた数日後、母からメールが届けられた。

ー孫たちと楽しい思い出ができました。ありがとうー

親不孝しかしてこなかった私は、母にーありがとうーと言われたのが多分初めてで、本当に猫組長には感謝しかない。


●沖田臥竜(おきた・がりょう) 元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任俠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)。最新刊は『尼崎の一番星たち』(同)