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マクドナルドさんへ

沖田臥竜の日常エッセイ!『茜いろの日々』第12話

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マクドナルドさんへ


忘れもしない。あれは小学1年生のときだ。父親に連れられて入店したマクドナルドで生まれて初めて食べたポテト。あのときの衝撃は小学1年生の私にとって激震となった。

「なんてうまいのだ!」

感動の渦の中でその時、私は誓った。大きくなったら、このポテトを腹いっぱい食べてやろう、と。
いつしかそれは、幼き私にとって夢となってしまっていた。
ただ儚くもその夢は、夢と呼ぶにはど厚かましいほど、呆気なく叶ってしまったのだが、、、。


それは翌年のこと。小学2年に進級を果たした私は、太いシノギを手に入れてしまったからだ。
小2でシノギとは達者ではないかと誤解を招くかもしれないが、なんのことはない。ただ母の財布からお金をくすねていただけである。
太いどころか実にけしからぬシノギである。代紋を持っていたら処分されていたかもしれない。
流石に母の財布からくすねたお金で食べたポテトの味までは覚えていないが、腹いっぱいポテトを食べて夢を叶えてしまい、軽い喪失感に襲われたのだけは覚えている。


幼き私の夢を叶えしこのマクドナルド。
定番といえば定番だが、関西では『マクド』関東では『マック』の愛称で今もなお、日本国民から親しまれている。
非公式ではあるが、朝マックと言うくらいだからどちらかと言えば、『マック』の方が正しい略し方の気がしないでもないが、それでも関西で『マック』と呼んでる者に遭遇したことがない。
そんなマクドの朝マックに久しぶりに行ってきた。
少々、私は朝マックも侮っていたである。
どうせ3種類くらいしかないのやろうと思っていたところ、なんとメニューが豊富になっているではあるまいか。
入店するまでホットケーキセットにしてやろうと思っていたのだが、増えたメニューの多さに目移りしてしまい、結局エッグマフィンを注文することにしたのだった。
なんとなく語尾とはいえ、ケーキとつくものを食べると軽く胸焼けしそうな気もしたし、かと言って食べたことのないセットを頼む勇気も私にはなかった。

「うそっ!マジで!マクドナルドって人の名前なんっ!!」
と驚いたのは、確か小3になってからであったろうか。勝手に我が国では地域によって、マクドやマックとあだ名されているが、ご本人はこのことを知っているのだろうか。
国道を走る車の群れに目をやりながらハッシュドポテトを頬張り、そんなことをふと思ったのであった。

「OH〜NO〜っ!私のあだ名は、ドナルドでぇ〜すっ!」

と言ったかどうかは、もちろん知らない。


●沖田臥竜(おきた・がりょう) 元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任俠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)。最新刊は『尼崎の一番星たち』(同)