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ドヤ街からのインタビュー2

独占!西成ドキュメンタリードヤ街の住民たち (後編)

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同じ場所にカメラを据えて、それをドキュメンタリータッチで放送する番組がNHK初め民放でもそれなりの視聴率を稼いでいる。

それを参考に年末、ある地点に拠点を構えそこに巡る様々な人々に色々な事を聞いちゃうドキュメンタリーを書いてみた。

場所は大阪の西成のあいりん地区にあるドヤ。
そのドヤの管理人に頼み込み、そこのロビーにある椅子に12月の寒い中、数時間居座り色々な人々に話を聞いた。


その後も数人に声を掛けたが、中々話を聞かせてくれる人間は少ない。
やっと話を聞けたのが、それから2時間位経った後である。

日雇いで仕事をするDさんである。
ー年齢は今いくつですか?ー
「来年で70や」
ー今でも仕事に行っているのか?ー
「10日位行って後は寝てる」
ー10日でいくら位稼いでいるのか?ー
「7,8万やな。それでここのドヤ代払って後はカスカスや」
ー正月とか帰省しないのか?ー
「帰る家なんかあらへんがな。この街でそんな事考える人間はおらへんやろ」

この話を聞いている最中にドヤの目の前でリヤカーを止めた人間がいた。
筆者はその人間がDさんの顔見知りと聞いて話を聞いた。
ー凄い空き缶ですねー
「そうや、今日は3000円にはなるかな」
ーどこまで集めに行ってたのですか?ー
「今日はミナミ周辺までやな、もう年末やから簡単に集まった」
ーそのアルミ缶を売って生計を立てているのか?ー
「そうや。だから必死やねん」
ーそこに置いて盗まれないですか?ー
「この上に防犯カメラあるやろ。その真下に置いてるから正月期間は平気やろ」
ー普段は毎日アルミ缶を業者に持って行くのか?ー
「毎日は無いな、週に3日やな。毎日歩くのしんどいで」
ーどこまで歩いているのか?ー
「大阪市内やったら平気やで」
ー家族とかはいないのか?ー
「いてたら、こんな事してるか」

ここまで数人に話を聞いたが、みんな家族の事に触れると口をつぐんでしまうのだ。


続いて登場するのはドヤの仲間と帰って来た3人組である。

ー皆さんどの様な仲間ですか?ー
「刑務所仲間や」
ー皆さん同じ刑務所で?ー
「そうや。みんな罪名が違うけどな」
ー良ければ罪名を聞かせてもらえますか?ー
「わしは窃盗や。こいつは覚醒剤取締法違反でこいつが傷害や」
ーそれがここで再会したのか?ー
「偶然やな。初めわしがここで暮らし始めたら噂を聞いてこいつらが集まってきたんや」
ー仕事はしているのか?ー
「そんな事してるかいな。わしら前科者で住所不定やで。どこも雇ってくれるとこあらへんねん」
ーでは全員が生活保護なのか?ー
「そうや、もうこれで生活するしかあらへんやろ」
ー前科者にとってここは住みやすい街なのか?ー
「そうやろな。誰も他人の事を気にしない。喧嘩なんかも止めたら反対にとばっちりが来る様な街やで。何でも見て見ぬ振りが一番や」


その後、暫くして通りかかったのが30代の男である。
筆者は絶対に話を聞いてみたくなり10分位頼み込み話を聞いた。

ーこの街で何をやっているのか?ー
「自分は起業家を目指してるんですよ」
ーほう〜何の起業を?ー
「そこはまだ見つけている最中なんですがね、自分探しの旅ですよ」
ーそれを見つけるのにこの街が必要なのか?ー
「本当は山の中に住みたかったんですよ。だけど山の中だと携帯が通じないでしょ」
ー生まれは関西じゃないですよね?ー
「横浜です」
ー西成に流れ着いた経緯を教えて下さいー
「大学を中退して海外を歩き回っていたんです。貧しい国とかを。そこだと何か新しい事業が出来るのでは無いか、と思って。そこで日本はどこかと調べたらここだったんですよね」
ーまだ何をやるか見つけてないのに、ここに来る事は間違ってないか?ー
「いや、数年後の自分を見て下さい。その時に間違ってなかった、と言わせますよ」
ー今は何をして食っているのか?ー
「パチンコと後はコインランドリーとかの忘れ物をフリマで売っています」


彼の言うフリマとは今、巷で大流行りのメルカリとかラクマでだろう。彼はそこで忘れ物を売っている。
昔は泥棒市というこの手のモノを売るのには最適の場所があったのだが、今は取り締まりが厳しく、朝方の3時から6時頃まで、それも10軒位がブルーシートを敷いてかろうじて生き残っているだけだ。

他に談笑しているグループがいた。

ー正月ここで過ごすのか?ー
「施設で過ごそうと思ったけど毎年抽選に外れとるから、今年もここやな」
「入るのに結核の受診していないとあかんのや、ワシそれをしてないしな」
この地域の結核の感染率は、実はアフリカのジンバブエを超え世界一なのだ。
ー普通のホテルは泊まらないのか?ー
「そんな金あったら博打するわ」
毎日のギャンブルを、ノミヤと呼ばれる競馬、競艇、競輪の全国レースの賭けをする非合法の施設が、まだこの地区にはいくつか点在する。
この様なノミヤが流行っている理由は、負けても購入した金額の数パーセントをバックするからだ。
その為に三角公園のサイコロ賭博とかこの様な施設が摘発、再開を繰り返しながらも存在している。
当然によそ者の筆者に世間話をする訳が無く、元のドヤに戻った。

そこには先ほど話を聞いた人間の他に、数人が酒盛りをしていた。
「おー兄ちゃんこっち来いや」
その言葉で筆者はその場所に行き話を聞いた。

最後にそこで一番印象に残った人間の話を紹介しよう。

ー仕事は何をしているのか?ー
「ここらの元締めだよ」
ー元締めとは?ー
「そこらにホームレスおるやろ。そいつらから毎日ショバ代を1人100円貰ってるんや」
ーカツアゲしているのか?ー
「ちゃうわ、守り代や。やつらに何かあっても警察なんか来ないやろ。そこでワシが行って守ってやるんや」
ーどの位の収入になるのか?ー
「月の上がりは20万やな」
ーここに来るまでは同じ様な事を?ー
「ワシはこう見えても一家を構えてたんや。俗に言う組長やな。だけど上部組織が無くなってワシもそのままカタギになってここに流れ着いたんや」
ーここを縄張りとする組と揉めないのか?ー
「揉める訳ないやろ。みんなワシより貫目が下の人間ばかりやからな」
実際に他の人間から話を聞いても、この人がホームレスからショバ代を貰っているのは事実の様だ。
だが経歴はちょっと?話が大きいな、と考えてしまう事が多いのも事実であった。
そして聞き忘れた事があり、教えてもらった携帯に電話すると
「お客様の都合により・・・」とアナウンスが流れた。

この様にこの街には色々な訳有りの人間も多く居住する。
普段は車椅子に乗って生活保護を受けながらパチンコ屋の前に車椅子を止めて、開店と同時に元気良く店に入る人間。
しかも車椅子に鍵をかけて。そうしないと車椅子も盗まれて売られてしまう街である。
どんな人間の過去も詮索されない街だから、過去を消したい人間にはうってつけの街である。