>  > 尼崎のスケベな男どもの聖域ーかんなみ新地ー 文・沖田臥竜
ー前科8つ目は『食品衛生法違反』で御用!罰金40万円なりー

尼崎のスケベな男どもの聖域ーかんなみ新地ー 文・沖田臥竜

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ー前科8つ目は『食品衛生法違反』で御用!罰金40万円なりー


私の8つを数える前科のなかには、「食品衛生法違反」というのがある。
私をパクッた暴力の刑事いわく「ヤクザをこんな罪名でパクんのはじめてやな〜」だったらパクんな!であるのだが、「だって、署長がうるさいねんもん〜」トホホであるが、それくらい当時としては珍しい事案だった。
さて、事の顛末であるのだが、、、。
 まだ私がヤクザとして駆け出しの時代の話である。私の地元尼崎には万札一枚で堂々と「本チャン」をやらしてくださる、いわゆる"新地"が存在する。スケベな男共には、大変ありがたい聖域なっている。
 しかも、お相手して下さる女性は、年齢詐称のおばはんや妖怪?などではなく、レベルの高い女の子ばかり。そのピンク街の週末の凄まじさといったら、ちょっとしたお祭り以上の騒ぎの様相を呈しており、県外からもスケベ共が大挙して観光がてら抜きにくるほどだった。
 恐喝以外ろくなシノギをもっていなかった当時の私は、その光景を見つつアホなコトをアホな頭で閃いてしまった。
 ここで屋台でもやればウハウハになり、直参だってなれるんじゃなかろうか(なれる訳なかろうが)と。
 早速、当時乗っていたクラウンを売りさばき、屋台用の軽自動車を安値でたたいて買い上げ、商売を始めるコトにしたのだった。
選んだネタは、キャベツに卵をからめてお好み風に焼く「一銭焼き」。当然、電気が必要となったので、近くのラーメン屋のおっちゃんに頼み込むと、タダで電気を使わせてもらえるコトができた。
だが実際、笑けてしまうくらいあまりにも売れなさ過ぎて、当初予定していたウハウハも、直参に駆け上がるコトもできなかったのだ。
それでも雨の日も風の日も当番明けの日も休まず無許可営業を続けたおかげで、様々な人間模様を垣間見るコトができた。
 脇道から顔をマスクで隠しそそくさと店へと入る女の子。
 お金を貯めてアメリカに留学するといいつつ、店がはねれば稼いだ金でホストクラブに通う娘さん。
 ゴキブリが店に出たからと言ってヤクザの私にゴキブリ退治をさせやがった遣り手ババア。
 ここに相談に行けと言われたと言って、族車で営業妨害をしに来た男の子。
 夜中にマヨネーズを差し入れにきてくれた女の子もいた。
 たった7ヶ月(うち6ヶ月間は所轄の暴力(警察)に内偵を入れられていた事がのちに発覚)だったが、そこで知りあった人達の中にはいまだに良い付き合いをしている人達もいる。
願わくば、この先もそんな街の灯を絶やさずにやってほしいと私は思う。スケベ心からだけではない(て言うか私は風俗にいかないし、何故だか呼び込みのオババどもに出入り禁止にされていた)。
世の中がすべて明るく、眩しい場所ばかりになってしまったら私のような人間には少々息苦しいのだ。そもそも裏があるからこそ、世の中には表があるのではあるまいか......。
 しかし全く笑えなかったが、私をパクったあと、ウラをとるために刑事が行った先がスーパーマーケットだったのだ。私の供述通りキャベツが本当に売られているか調べに行ったのだが、そりゃあ売っとるに決まってるだろうがである。

●沖田臥竜(おきた・がりょう) 元山口組二次団体最高幹部。所属していた組織の組長の引退に合わせて、ヤクザ社会から足を洗う。以来、物書きとして活動を始め、著書に『生野が生んだスーパースター 文政』『2年目の再分裂 「任俠団体山口組」の野望』(共にサイゾー)。最新刊は『尼崎の一番星たち』(同)