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ー山口組に埋め込まれた紙爆弾ー怪文書の変貌ー

菱のカーテンの向こう側 ー山口組に埋め込まれた紙爆弾ー怪文書の変貌ー

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ー山口組に埋め込まれた紙爆弾ー怪文書の変貌ー


時の権力が交代する時などに頻繁に飛び交うものががある。
いわゆる"怪文書"と呼ばれる中傷的、暴露的な内容の匿名の文書だ。


一昨年8月の山口組分裂以降、日本中のヤクザ社会には様々な怪文書が飛び交っているが、任侠山口組結成後は、書面だけではなくSNSで業界関係者の間に拡散されることも多い。


今回編集部が入手した怪文書も、SNSによって流布されたものだ。

あくまで怪文書であり、信憑性については全くもって皆無であることを一部抜粋するにあたり、お断りさせていただく。

『ー井上(神戸山口組組長)に体を懸けるから金の面倒は頼むと約束した織田 (任侠山口組代表)
井上(神戸山口組組長)に金は出すから揉め事の面倒は頼むと約束した池田 (神戸山口組最高顧問)
(中略)

織田(任侠山口組代表)が六代目(山口組)に戻る事を直参たち(六代目山口組直系組長ら)を通して何度も頼むが司(六代目山口組組長)が首を縦に振らないので、高山(六代目山口組若頭)が戻った時点で竹内(六代目山口組若頭補佐三代目弘道会会長)を通して高山(六代目山口組若頭)に話を持って行き、高山(六代目山口組若頭)、竹内(三代目弘道会会長)から六代目(司組長)を説得してもらう(後略)ー』

そもそもこういった怪文書に効力はあるのか。
それについて関係者に話しをうかがった。


「届いても、ほぼ見ることはないですね。そもそも興味がありません。怪文書で騒いだりしては、それこそ相手の思うツボじゃないですか」
と、淡々と取材に応じてくれたのは、六代目山口組の某二次団体幹部だ。


ー怪文書には威力はまったくないのかーという質問に対してはこういった意見を述べている。
「もちろん怪文書の内容にもよるでしょう。最近では鳳事件(京都不動産会社社長失踪事件)に関する怪文書は随分と詳細に記されてました。それも事実かどうかはもちろん分かりません。
内部でしか入手できない事情などを一部記して、信憑性を持たす手法もありますし、その怪文書の存在が上層部の知り得るところになれば、問題視されることもなくはないでしょうけど、所詮その程度のものですよ。実際、誰でも書いて回せますからね」
と一切、意に介さない様子だ。
ただ、この某幹部が言うには、この手の怪文書は荒唐無稽な内容ではなく、内部の人間しか知り得ない内容をあえて一部、書くことで信ぴょう性を持たせようとする手法の文面が多いという。
 
また、別の三次団体元組長(現在は引退)はこう答えている。
「後にも先にもワシの知っとる限り、怪文書が問題視されたのは、後藤の叔父さんの時くらいやないか。いまだ誰が書いたもんかは分かっとらんが、あの時の内容が当時の大粛清の理由になったのは事実やないか」
「後藤の叔父さんの時くらい」とは、2008年頃に山口組関係者などの事務所にFAXで送られたA4版3枚の怪文書のことを指している。
内容は後藤組・後藤忠政組長(当時)をめぐる「処分問題」に関連して、14名の直参組長が連名で(うち1名の名前はマーカーで消されている)山口組執行部を批判・抗議する、というものだった。


この怪文書が流れた直後、名前のあがっていた直参組長のうちの7人が処分を受け、山口組を去っていった(三次団体元組長の言う『大粛清』はこのことを指している)のだが、この一件が現在の分裂に暗い影を落としているのではないか、と指摘するむきもあるようだ。


怪文書については、このように応えてくれた関係者もいた。
「内部を錯乱させるために警察から流されたとしか思えないような怪文書も数多く存在する。その場合、威力うんぬんではなく、とにかく互いを疑心暗鬼にさせるのが狙いではないか。昨今のSNSでまかれる内容は特にその傾向が強いように思える。
どんなものであれ、怪文書の目的はただ一つ。
内部の結束を崩す、というものだ。だから、怪文書が流れた時こそ、ヤクザとして活動している組織、または人物を大事にすることにしている」(神戸山口組某二次団体幹部)
 
繰り返すようだが怪文書を作るのは、それほど難しいことではない。特にSNSが使用されれでば尚更のことといえる。
関係者らが話すように、内情を知り得る者であれば、誰でもできる。
それでも時として、紙爆弾と呼ばれるほどの高い効果を得る可能性もあるのだから、ヤクザ社会に限らず、あらゆる社会で今後も怪文書がなくなることはないだろう。
 
だが、少なくともヤクザ社会の現場では、怪文書はそれほど問題にされていないらしい。


「言いたい者には言わしておけ」そういう剛直な姿勢がヤクザ社会の根本にはあるようだ。


(RーZONE編集部)