>  > 菱のカーテンの向こう側〜エリートコースであった部屋住みに激変〜
激変する部屋住み事情

菱のカーテンの向こう側〜エリートコースであった部屋住みに激変〜

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

激変する部屋住み事情

分裂以前の六代目山口組には、10数名の部屋住みが篠原にある総本部に詰めていたという。
総本部の部屋住みに入るための資格条件は厳しい。20代で前科がなく、身元引き受け人がしっかりしていて、普通免許が必要など、一般企業なみの厳しさだったという。
「まず所属する二次団体の親分から推薦され、ブロック長の面接を受ける。それから本家で採用か不採用が決まる」(六代目二次団体幹部)


その分、そこで、3年の務めを果たしてくれば、「エリート街道に進むことができる」と言われてきたのであるが、最近の部屋住み事情は、以前とは全く異なってきたということが関係者への取材で明らかになった。


「部屋住みには、宝物に接するみたいに触れなあかん時代がきた」(六代目山口組系組長)
その組長によれば、分裂以降、進んで総本部の部屋住みに志願する若い者が激減してしまったという。
また、別の直系組織の幹部は苦笑交じりに、こう語る。
「ウチは部屋住みに対し、もの凄く気を使っていますよ。実際、怒るに怒れませんから。それでその子が飛んでしまっては、『自分とこから部屋住みを出せ』、と言われるのは目に見えています。簡単に誰も入りたがりませんよ、部屋住みなんて。それを知ってるから、ますます部屋住みの子が調子に乗ってしまう。分裂後なんて、特にですよ。なんだったら、向こう(神戸山口組、任侠山口組)に行っていいんですよ、なんて態度を一丁前にとってくる。
 最近なんて、当番の際に、『昼食に弁当をとろう』というと、部屋住みの子に『自分、弁当嫌いなんです』なんて言われるんですから、世も末ですよ」
 ヤキをいれたりしないんですか、という我々取材班の質問に、関係者はびっくりした顔で「警察言われますよ」と漏らしていた。どうやら"部屋住み=ヤクザ修行""という時代は昔のものになってしまったようである。


 五代目時代に総本部の部屋住みを務めあげたという関係者にも話を聞くことができた。
「私らの時代は、まだその雰囲気が残っていました。部屋住み間の人間関係も厳しく、一日でも先に入った人が先輩なんです。最初のうちは、叔父貴の顔とフルネームを覚え、車のナンバーを覚えるところから始まります。最初が一番大変ですね」
 この関係者は、部屋住みをあがる直前には、部屋住み長にまでなり、五代目親分の下足番にまでなっていたという。
「確かに金はたまりましたよ。毎月の給料というか、小遣いなんかも総本部はやっぱりきちっとしていました。半分は、本家が毎月貯金してくれていて、務め上げた時に渡してもらえるんです。
お年玉なんかも、直参の叔父貴らで振り分けていただいてましたので、それだけで100万超えてましたから。
 ただ、金のことを口に出したら笑われる、という空気がありましたし、いただくものは、感謝して受け取っていましたよ。今の若い子には、どうでしょうね」
 もっとも部屋住みの志願者が激減したのは総本部に限った話ではない。捜査関係者の話によれば、常時寝泊まりをさせる部屋住み制度そのものを廃止させてしまった二次団体もあるという。


「総本部(一次団体)、二次団体ですらそうなんやから、三次団体なんかなおさら。夜間は電話を転送にして、事務所を無人にしとるところなんかいくらでもある」(捜査関係者)
 だが一方で、こんなご時世でも、しっかり部屋住みが育っている組もあるいう。


「山健組の部屋住みは、やっぱりみんなピシッとしとるよ。あそこは、ちがう。また、宅見組も面倒見の良さで定評あるしな」(前出の捜査関係者)
 こういうところからも、神戸山口組の強さがうかがえる気がしてならない。


分裂前、総本部で一人の部屋住みに対して多数の部屋住みが暴行を加える、という事件が起こったことがある。その時は、事件に関わった部屋住みを全員、所属している二次団体に戻らせて、急きょ新しい部屋住みを増員したのだが、もしも今、それと同じ事件が起こってしまったらどうなってしまうのであろうか。全員入れ替えられるほど、新しい部屋住みを確保することができるだろうか。
そもそも部屋住みに入ったものの、その部屋住みを派遣した二次団体が神戸山口組、もしくは任侠山口組に移籍してしまう可能性も否定できない。
その場合、総本部にいる部屋住みたちはどうなるのだろうか。
 それを考えれば、総本部といえども部屋住みに志願する若い者が減ってきてしまったのは、やむを得ない事情がある、といえるのかもしれない。


このように山口組の分裂は、上層部だけでなく、末端に至るまで多大な影響を与えているといえる。


(R- ZONE編集部)