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生野が生んだスーパースター文政 ──尼崎極道炎上篇──⑳

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 この釈放後に二次団体の若頭を就任するのだが、顔を潰された形となってしまった当局サイドはそこから躍起になって、私の上司であるカシラを逮捕し続けた。

 その数、8回。どうにかしてでも執念でカシラを塀の向こうに送ろうとしているのが回数から見ても伺えた。

 どんな微罪でも、とにかくカシラを引っ張った。でもカシラはその度にパイで釈放されて帰ってきた。

「流石、カシラ。やっぱり知識がちがいまんな」と口にしていた事務所の人間も、それが何度も続き始めると、ミラクルを意識するようになっていた。

 それを決定づけたのが、8度目の逮捕となった時であった。

 この時、カシラは執念の起訴に持ち込まれ、裁判にかけられてしまったのだ。

 そのバトンを警察から託された検察も、カシラの経歴を意識しているかのように、あらゆる外堀を埋めて実刑に持ち込もうと執念を燃やした。

 結果、カシラに言い渡された判決は、無罪でも執行猶予でもなく実刑であった。

 傍聴席に座る私も、流石にミラクルは起きんかったかとため息をついたのだが、実刑を言い渡されたカシラは全く表情を変える事なく淡々としているかのように見えたのだった。

 そして即日、控訴の手続きを取ると裁判の舞台を高裁へと移したのだった。

 裁判は終わっていないとはいえ、一審で実刑が言い渡されてしまった以上、誰しも懲役は避けられぬと諦めていた。

 だがカシラは帰ってきた。執行猶予を高裁で勝ち取って帰ってきたのだ。

 そして私に向かい「ミラクルやろ?」と言いながら、ニヤリと笑ったのだった。

 逮捕されると漏れ無く懲役が必ずついてくる文政は、この事を知ると「ワシもちょっと兄弟のところのカシラにご教示願わないかんわ」と一服したのであった。

 カシラが巻き起こしたミラクルは、今でも関係者の間で語り続けられている。




(イラスト=山下ユタカ 文=沖田臥竜 写真はすべてイメージです)




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