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阿弥陀如来インタビュー

歌舞伎町 〝阿弥陀如来〟藤井学が語る裏ギャンブルの世界 「絶対的なギャンブル好きの数は変わっていないと思います」

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不夜城を駆け抜けた男、実録インタビュー
藤井学(ふじい まなぶ)
聞き手/花田歳彦 撮影/三田正明

 賭け事が好きな人間は世の中に多数存在する。

 公営のギャンブルから闇のギャンブルまで、いや、それ以外でも例えば喫茶店の窓際に座り、次に通過する車の色を当てる、次に歩く人間の性別、服装を当てるなど、賭けの対象は何でもいいのだ。それに付随するわけでもないが、占い、宗教にはまる人間もカタギ、ヤクザに問わず数多くいる。

 普段悪事を働いているやましい心があるのだろうか、良心が咎めるのであろうか、神仏にかなりの時間、お金を費やしている人間は筆者の知っているだけでも両手では足りない。

 閑話休題。

 今回も少し専門的な話になるが藤井学氏のインタビューに入る。


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現代の闇カジノ事情


──野球とか相撲は、店はないわけですよね、つまり闇スロットみたいに店舗は構えていない?

野球賭博というのはもう信頼関係で、ちゃんと月曜日締めで月曜日払い。野球は月曜日とか木曜日休みじゃないですか。ちゃんと清算して、受ける人も中継役も2分もらえたり、胴元でやる人だったり、客紹介すれば2分。そのかわりケツがこっちに来ますよね。「おまえ払いはどうなってるんだ」と。2分抜けるかわりに、ケツは来るし。賭ける方は、信頼がないと、「あそこはちゃんと払ってくれるのかな」と、大体そういうのが確立してるというか、「この人は受けてくれるよ」と。サツにパクられないし、トバシでやってるし、スマホでハンデだけ送って。

 相撲は親が負けやすいから、大体、ラストの結びまでの6番、東か西かでやったり、どっちが多いとかでやったり、ある程度いまはもう、イギリスのブックメーカーでハンデが出てるものは大体受けますよ。客はどうするのかといったら、俺らみたいのに、2分バックしてやるから渡してくんない、というかたち。たとえばある人がどっか受けてくれる所ないかな、とすると、俺が電話で「いいよ、そのかわり俺に2分落としてくださいよ、客紹介するから」と。で、毎日100万回ってくれば2万ずつになる。そういう仲介がいるから」

──競馬は、電話だけですか?

「電話だけだったり、店があったりもしましたね。サテライトってやつです。店は1軒あって」

──テレビ競馬とか、神奈川ではあったんですけど。

「それは神奈川県警とつながってるからです。いまだに、だって福富町なんかもカジノがあるくらい警察の入りは遅いし。県警の上とつながってるからこっちがローズ入れて、そこの組織の執行部とかにサツに電話を入れてもらって、「うちは何時から何時までね」っていう情報で。

 いま箱はあいてます。じゃあはたして俺たちが横浜とか地方に入り込んで、ディーラーは入れられる、トランプも入れられる、道具もある、ただ集客ができない。客がいるんだったらいくらでもやりますよ、だってこっちはパクられてもいい兵隊がいくらでもいるんですもん」

 余談だが、闇のギャンブル場が多数あった大阪市の西成区では私設ギャンブル場、通称ノミ屋は今、表向きひとつもない。

 ここは繁華街と違い、労働者の街であり、その日に得た日雇いの金を労働者たちが落とし、その金は下手をすれば繁華街のシノギを上回る時もあると思われる。

──野球とか競馬とか相撲というのはそれぞれの信頼関係で?

「もちろん。のむ人がいて賭ける人がいて成り立つ世界です」

──回転しやすいのはスロットとかのほうが?

「2分の1か、ハウス構えるか親方の考え方じゃないですか。競馬受けるとか。ただ、競馬を受けてる人っていま少ないですよ」

──競馬は減少傾向とか聞きますよね?

「そうですね。そのかわり闇スロだとかインカジだとか、娯楽ができてるからそっちに流れてるというだけの話だけで、絶対的なギャンブル好きの数は変わっていないと思いますよ

──いまは、機械を使って人件費を掛けない方法もありますよね、ディーラーがいらない、という。ディーラーというのはまったく経験のない人を一から...と言うか。

「一から育てる人もいるし、アングラ箱、ほんとうに20何年前とかの赤坂、六本木だとか、ものすごかったじゃないですか。カジノが。あの頃からディーラー学校というのが、東中野のほうにあったらしく、ディーラーはいくらでもいるし、あとはほんとうにラスベガスとか行っちゃうと、ゼロ、ダブルゼロのサンモン上以外出さないとか、そこに入れられるとか調整するとか、俺はルーレットを持ってるんだけど、木だから、ピンを調整してとかあるけど。

 プレイヤーならプレイヤーに普通は撒くだけだから、決まったカードを撒くだけだから仕込みを入れるんだったら釣る、2枚目のカードを。仕込みカードとか。あとは上に穴をあけて、全部カードを読み取っちゃうとか。ていうメカもあるし。それこそマジシャンも。フェイズがないんだったらピクチャー出せばいい。ピクチャー出しちゃう。ここ一番という時のやり方もあるから、店のやり方ですよ。でも、平に受けておかないと客は絶対に逃げる。基本的に2分の1当たらないといけないわけじゃないですか」

──長くいさせなきゃいけないから、基本24時間営業なんですか。

「それだとやられるから。あとは警視庁管内だったら3~4カ月持てばいいだろう、とか。地方で県警に金を払っておけば、いくらかマシだろう、とかもあるだろうし。もしカジノがサツがうるさくないんだったら、俺は全然カジノをやりたいですね。ディーラーもいるし。

 逆に本当に地方の大都市なんかは老舗で15年20年サツが入ってないとかも、1回2回しかないとかいうところもあるし、実際俺の仲間が現場に入っているし、自動車で有名な地方都市あるじゃないですか、そこなんかは中小企業の人間を相手にした、客が1日に200人とか来るっていうんだね。だからもうコミッションだけで回る。あの世界は大体、1日でコミッションが1割抜ければいい、っていう世界。100万使ってくれたら10万残ってくれればいいという。平でまともに受けてれば」

──日勤、夜勤を繰り返してるから人が多いでしょうね。

「ですね、期間工とかそんなの大勢いるじゃないですか、金はあるけど使う場所がない人達が」

──カジノとか闇スロとかってまあ、ポン中がいればいいお客となるというのは分かったんですけど、職種的にはどんな人が多いんですか。

やっぱり、アングラな人が多いですよね。まともな人は昼間、パチスロ行ったりする。夜の商売で小銭があるから博打に行きたい、小銭があるから欲望に走って、じゃあ果たして素面の奴がやって、3万5万握りしめてきて、先にもらってやって、なくなったら帰る、でも薬が効いている奴は意地でも金作ってくるでしょ、だから、そこの違い。

 ポン中が100人でも200人でも300人でも入り込んでくれば、風俗で働く、ホストをやる、水商売にいる、って、そいつらが仕事終わったら闇スロに入っていって、ていう時代だったから。いまはもうそうでもないじゃないですか。そうなると、集客が減るからやっぱり。時間ずっと回してくれている客がスロットのいい客、やればやるほど負けていくわけだから。

 あとは世界的にブームなんじゃないですか。ヨーロッパも、ラスベガスも空港を降りたらもうスロットがある、スロットが呑み込んでくれる、普通のコミッションをとるよりもいい、クラップスだったり、ブラックジャックだったり、ルーレットだったりバカラだったりポーカーだったりとかよりも、一番呑み込んでくれる、ハイベッターいない時は別に、という感じで」

──要するに日銭を稼ぐ人間が遊んでいる感じですよね、毎月の給料の人間では今日金を使ったら明日はどうしよう、と言う人間ですし、日銭を稼いでいる人間は「今日無くなっても明日金が入る」と言う感覚ですね。

お金を稼ぐって欲望にしかないじゃないですか。所詮金を積まれても武器にしかならない。じゃあ何に使うんだといったら、洋服を買うだとか、女を抱くだとか、薬だとか、娯楽、博打をやるだとか、しかないじゃないですか」

──先ほどの話と被りますが、寿町だとか西成だとか、ノミ屋とかヤクザが多いってのは、日銭が落ちてるから。毎日9000円とか1万円とかもらって、次の日また行けばその金ができるから、奴らは使っちゃう。その繰り返し、悪循環ですね、しかしカジノをやるとなると、細かい客よりは100、200使える人間をどれだけ集められるかがあるから、カジノは自営業とかの太い客ですよね。

「街によりますよ。さっきも言いましたけど、●●市にあるのは自動車メーカーの子会社というか中小企業が多いし、新宿なんかはガチの資産系、なんか。

 でも基本的に俺は日本で打たないから、裏側知っちゃってるし。だからオーストラリアとか韓国行ったり、マカオ行ったり、オーストラリアが一番いいかな、国営でゆっくりしてるし。紅白に出ている大物歌手とかも来るけどVIPルームとか行って、それこそリムジンで迎えに来て、でもそこには泊まらない、ジュピターズホテルっていう、そこなんかはローベットは5000円から、ハイベットは2千万まであるから、1億4千万まで入るから。そこにも酔っぱらったヤクザみたいなのもいるけど。正月とか。お笑いの吉本とか。

 だからそういうことを知らない人たちが、カジノ、こんどはインカジが流行っている、インカジはめくれない、ルールも違う、今度はめくりたい、ていう人たちが多いんじゃないですか。めくりを作っちゃうと今度はサツにやられる。合わないじゃないですか。道具を揃えて家賃を払って」

──3カ月続けばいいという意識なんですか?

「東京ではですね」

──3カ月でいくら作れますか。

「やり方によるんじゃなんですか、一概には言えないです。集客するのによるし、ポンコツ箱だったら客も来ないし、それこそ、ビッグベッターだけ相手に箱を構える人もいるし、今はどうなんだろう、大使館でやる人もいるし、こんだけ仕事が入っているとこだったら、六本木だったらまだ打つでしょうけど、でもまだ50バランスまでだし、本当に好きな人は海外でしか打てないんじゃないですか。本当の人は海外で打っているし。

 ちょっと小銭を持っちゃって、なんかの紹介で飲んだ勢いで行っている、というのがあるんじゃないですか。どん位作る、って3カ月や4カ月やって、最後までケツをふいたところで、持たない。2年あればなんとか平たく打っていて、ゲスト来ました、またお願いしますで接待して、2年遊んでくれるような感じなら。今ただ、サビ撒いて平たくうけて、はいサツが来ましたじゃ、せっかく客を集めたのによ、って。ていう状況ですよね。だったら意味がない、と。メリットがないです。捕まえてください、て言っているようなものですよ。こっちでシノギしていますよ、って」

 今回、前回は博打に素人の方にはよく分からなかった内容であると思うが、あえて藤井学氏の言葉をそのままに書き記した、その方が下手な注釈を入れるよりも説得力はあるからだ。

 次回は少しこの話題から離れて街を中心とした話題に入る。