>  > 歌舞伎町 〝阿弥陀如来〟藤井学が語る新しいシノギ 「いま、オレオレからシフトチェンジしてるのが、窃盗です。」
阿弥陀如来インタビュー

歌舞伎町 〝阿弥陀如来〟藤井学が語る新しいシノギ 「いま、オレオレからシフトチェンジしてるのが、窃盗です。」

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不夜城を駆け抜けた男、実録インタビュー
藤井学(ふじい まなぶ)
聞き手/花田歳彦 撮影/三田正明

 ヤクザの語源は何か?

 花札のブタの目の八九三など諸説あるが、筆者は「役に座る」すなわち役座という説を取る。

 街の顔役であり、様々な相談を人々から寄せられてそれを解決する顔役の意味だ。強きをくじき弱きを助けるのが任侠の道とされるが、実際に現実では少ない。強い人間とばかり当たっていれば疲れるし、飯が食えない。理想を書けばそのような経験をしながら、人々を助けて街の顔役となり、ヤクザになって行くのが理想なのだが、現実は厳しい。誰もが「いい車に乗って、いい女を連れて、旨いモノを食って、財布に札束」という夢を抱く。バブルの時代は器量がなくても、そんな事はチンピラでもできた。誰もが金を持っており、借りることができたからだ。

 ヤクザは人気商売である、堅気の人から好かれて飯が食える、支えている人たち、地域によって違うと思うが、関東ではこれをダンベという。しかし、人気商売といえども男芸者ではない、同業者からはある意味、嫌われ、恐れられていないとこれもダメである、あの人は話がわかるいい人というレッテルを貼られるとダメであろう、と考えるのだが。

 では本連載の藤井学氏のインタビューに入る。


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オレオレ詐欺からシフトしているシノギ


──警察とは付き合いがあるところで前回は終わったのですが、いまだにあり、お小遣いをもらっている警察官もいる。東京は組対が3課4課とあって、組対総務というのが半グレ(担当)であって、それぞれメッシュ状に接触しているから、変なことをやっていると「あいつ金取ってるよ」とか、(行動内容が)抜けちゃうので、中途半端なやり方はできないですよね?

やっぱり、いまだに叩き(強盗)とかもあるし、ちょっと羽振りのよさそうなグループ「俺たちオレオレ詐欺やってました」とか、例えばある人、俺が邪険に扱って「藤井金もってるぜ? 叩こうぜ」って世界もいまだにあるし。横の(つながりの)取り子とっちゃってギャングやって、ヤクザ同士のちゃんちゃんにしようぜ、ってのもある。

 今の時代、俺が出てきてびっくりしたのは、嘘つきが多いな、と。言ったことができない、言われたことができない、ヤクザかどうか関係なく」

──叩きは本当にひどいですよね、どんどんエグくなっている。金持っているやつをキャバ嬢に「教えろ」なんて言って、客をつけてってぶん殴って金を取っちゃうとか。

「例えばホストのオーナーだとか、風俗関係のオーナーが、自分のマイナンバーになるからっていって、金稼いだソープ嬢、平気で家に置いている、とかそういうのを全部リークしてチクってますからね(笑)」

──給料日のタイミングで家に行って襲うとか、そんな話ばっかりですよね。

いま、オレオレからシフトチェンジしてるのが、窃盗です。軽いじゃないですか。

 それでこれから流行りそうなのが、衣料品。ものすごい数じゃないですか、中国とかから。それを7掛けとかで取って来るんですよ。それで、向こうで上海とか行った時に、同じ値段で買ってくれるんですけど「おむつが足りないから、じゃあ盗むか」とか。衣料品で「これをこの店で取って来てくれ」とか。最近ちょこちょこ聞きますね」

──1~2年前からおむつとか処方箋、それを売っちゃったり、とか多いですよね。

「いま、赤玉(エリミン)が1錠5千円で知り合いが何千発か抑えてるとか言ってましたね、そう言えば」

──確かにあれ、発売停止になったから。しばらく寝かせてた方がおいしいですよ。

「ただ、取り分が1500円らしいですよ。で、1000発買ったら1200円とか。だから変な話、昔200円だったものが6倍になってるわけですよ。1年で。じゃあ、あと半年間小売してって、100万200万が、何百万になるか、それともジェネリックで違うものが出て、だから中毒者をどれだけ集めるかで、覚せい剤からエリミンにするとか」

──赤玉はジェネリックないでしょ。

「それはそうなんですけど、同じものを中国だったりとかの製薬会社がいくらでも作れるわけじゃないですか。導入剤だから。でも、それを作られて流行ってしまった場合、エリミンをそんだけの値段を出して抱え込んでても、二束三文になっちゃうか、というリスクもありますよね」

──眠剤とか、並行輸入で入れられないんですね。デパスも指定薬物になったんで、病院では出せるんですが。デパスレベルだと並行輸入で海外から入れられたんですよ。でもダメになったんですね。海外から入れるのは、行政が危険ドラッグがトラウマになって厳しいから、なかなか入ってこないんですよね。

「タイのバンコクなんか、ワンシートあげたんですよ。1万円するって言っていたんですよ。びっくりしたましたよ(笑)

 タニヤで買うじゃないですか、赤玉飲むじゃないですか。そうしたらもっと欲しい、って言うんですよ。いいよいいよ、持ってけよ、って。いくらでもこっちにはあるぞ、って。そしたらワンシート8000円から1万円するっていうんですよ。嘘だろって。それからマカオ。みんなエリミンパーティしてるの。けだるく吸って。金持ちがみんな船で出て。エリミンはほんと世界的にすごかったですよ。35年前くらいの薬ですもんね」

──大昔ですもんね。

「僕の先輩たちが16くらいで流行って。コカイン吸って「おい、いいのあるぞ、これさえあれば女ひっかかるぞ」って、クラブとかで」

──本来あれは導入剤なのは当たり前なんですけど、他の導入剤と違って酒と相乗効果高いんですよね、いまだに生き残っている有名な導入剤のマイスリーは酒飲んでも意識は多少残っているけど、ハルシオンは完全に飛んじゃう、まだ販売停止にはなっていませんが、処方する医者が少ないからこれも高値ですね。

「当時、俺がシャバにいる時は、取りに行くのめんどくさいじゃないですか。シャブやるやつも、睡眠薬が欲しいからって、だいたいワンシート2000円でつけてあげてた。1発200円ですよね。でも、某医院とかあの辺に行っちゃうと、1000円で100発くれちゃうわけじゃないですか。ただ行くのが面倒臭いからっていうだけで、やっちゃってるし。

 アップダウンをつけるために、やって、睡眠薬やって、ていうやつは5000円とかでも買っていくらしいですよ。で、シアリスがだいたいワンケース、仕入れで4万5千円くらいですか。10箱で。1ケース4500円くらい。中国製。勃つは勃ちますけどね。勃起剤と睡眠薬とデパスは必需品じゃないですか。売る方にしても、変になっちゃうと困るから、落ち着かせて「とにかく寝ろよ」って。じゃないとコントロールできないから。で、懲役に行かれても売れないし。客の管理もなかなか難しいです」

──そうですね。売人とかも「やりすぎじゃないか」とか平気で注意してましたからね、昔は。「おまえ、今回は売れねえな」とか。

「売って打たれて捕まって謳われたら寒いですからね」

──話は戻りますが、今オレオレから叩きにと言ってましたけど。

オレオレ詐欺をしてる人間たちの、情報を得て叩く。それが不良な人間からか、誰からの情報か、要するに、俺らは仕事の話はケツ割るような人間とは絶対にできないわけですよ」

──オレオレで金を持って、事務所から出たところをバッコーン、っていくらでもあったからね、昔から。

「あります。歌舞伎町なんか頻繁ですよ。フロアで飲んでて「ありがとな〜」なんてやってるところで、ワンボックスが来ていきなりさらわれてるんですよ。

 そういう。俺が26、27とかだから。平気でわーっときて。さらわれてるんですよ。「またさらわれたなあいつ」みたいな。俺は一回もないですけどね(笑)」

──その代わり懲役に落ちてますけどね(笑)

「過去の話ですって(笑)」

──歌舞伎町のキャバで一番お金を落としてたのが、オレオレ詐欺とかをやってた人というのは行く店って決まってたから。で、そっからまた情報が流れて、とか?

「もちろんありますよ。襲撃事件とか。全部情報じゃないですか

 今回は話が少々脱線してしまったが、最後の1行が凄い大事な内容であるのを知ってもらいたい、次回もシノギについて書ける範囲で多少書き記す。