>  > 歌舞伎町 〝阿弥陀如来〟藤井学が語る現代ヤクザのシノギ事情 「(薬、金融、売春は)昔ですよ」
阿弥陀如来インタビュー

歌舞伎町 〝阿弥陀如来〟藤井学が語る現代ヤクザのシノギ事情 「(薬、金融、売春は)昔ですよ」

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

不夜城を駆け抜けた男、実録インタビュー
藤井学(ふじい まなぶ)
聞き手/花田歳彦 撮影/三田正明

前回はヤクザのシノギについて軽く触れた。実際のヤクザのシノギはどのようなモノがあるのか、それは藤井氏が語るように、各々に色々なシノギが存在し、小さいシノギから小さな国家の予算を超えるほどの金額を動かしているといわれている人物もおり。千差万別である。

 しかし、ヤクザは隙間産業といわれるほど、シノギを見つけてくるのはうまい、そうでないと金を持つことはできないし、上にあがることもできない。別に金が全ての世界とは違うのだが、金がないと事務所の運営すらできなく、若い衆は寄り付かなくなる。それは昔から当たり前の世界だ。

 ヤクザは見栄を張る世界である。あの人は金を持っている、と名指しされる人物も多い。だが、実際は資産何億、借金何億の世界でやり繰りしている人間も多い。

 カタギになると現役時代に無理をしていた分、ツケが回って来るためにカタギになれない、という人間も存在するのだ。そのような厳しい世界をくぐり抜け選ばれた人間だけが、この世界で生き残ることができる。

 では歌舞伎町の阿弥陀如来こと藤井学のインタビューに入ろう。


amida11-1.jpg


簡単には説明できない現代ヤクザのシノギ事情


──ヤクザだと、抗争だ、待機だ、親分につかなきゃいけない、とか、シノギをする暇がないじゃないですか。自分でちゃんとしたシノギを持ってないと。

「そうです、その通りです」

──そりゃ、若い衆は飛んでいきますよね。

「その通りです。だからそこで人に恵まれてるか恵まれてないか、食うか食われるか、になってきますよね。

 たとえば、花田さんが同じ組で、花田さんが先輩で、俺が後輩で、ここで、花田さんに対して俺が身内として、シノギを言わないのか、もしくはあからさまに話して、一緒に良くなっていくのか、それで全然変わって行くじゃないですか。

 「誰々と誰々、こちらで面倒をみるから、お願いします」「こちらがひとりいくらもらっているから、花田さんいくらでいいですか」って言えば、ちゃんと円滑に回っていく。でもそこで俺が止めちゃえば、おかしくなっていく。それで身体掛けて飛ばないと行けなくなるということもあるし、本当に純粋な気持ちがないかぎり、ヤクザやってんだ俺はよ、銭金なんか関係ねえからって、明日行かなきゃいけねえからって、30年体かかるから、印付けなきゃいけねえから、っていうのが、あるところはある、変な話ですよね。

 だから、本当に純粋に硬い取引もしてるところはしてるだろうし、薬だってしてるだろうし、人をハメようぜ、とか、あいつ叩こうぜ、とか、いろんなことがあるから、ヤクザのシノギってなんなんだ、と。でも、親分とかに会費を払って会社を潰さないようにしよう、って、親を思う気持ち、任侠を志す気持ちの人間がどんだけいるかだし、体掛けてもなんでもいいから、金作ってこい、だけの話じゃないですか。

 なんでもやる、じゃないけど。言われたことはやる。ていう世界じゃないですか。だから我々がそう思っているという世界ほど甘くはない、というか。さっきもいったけど、みんなトバシをもって、番号だけでしか呼び合わないような組織もあれば、真っ当にしゃべるところもあるし。人それぞれですよ。迷惑かけて指叩くのもいるし、ヤクザのシノギで何をやってるんだろう、ってそれはすごく難しいですよね」

──人に言わないですよね。

「まず言わないです」

──一般的なことをいえば、カタギがやらないこと、カタギが手を出せないことをやっている。

「でも、カタギがやれば潰されますよ、俺らの商売だろって。

 例えば、闇金を全然関係ない人が、090(金融)って電柱に貼って、お金出しますってやったらどうなるか、って言えば、地元のヤクザから電話がきて、潰されちゃう。

 風俗もそうです、昔でいうと、女さらって、「おいお前どこだ」と。お前どこでケツ持ってんだと、で、帰してくださいとやったら、「お前、うちのシマで何やってんの」と、「話聞いてないよ」ってやるのがヤクザですよね。それは裏DVD屋でもそうだし。都内はそんなにうるさくないけど、地方に行けば行くほどそういうのがある

──地方のヤクザも結構シノギが潤沢な組と当然きつい組がありますからね。

地方のヤクザって、金持ってるか持ってないかでいえば、金持ってるんですよ。地元に密着してるから。農業は知らないけど、漁業とかやったり。密漁なんてのもヤクザのシノギだから。より密着してるから。金持ってるんだけどね。

 乾燥ナマコとか、金持ってるからいくらで売ってくんねえかなあ、とか銀座とかでいうと、来ますよ。だけど、たかがしれてる。だから、向こうのヤクザの人は、けっこう、現役で(海に)潜ってる人もいるし。船も持っている人も多い、北海道なんかはロシアと話をつけてヤクザの許可を受けた船だけが摘発されないで潤っているなんていうのは良くある話ですよね」

──単純に一般素人目線で、ヤクザのシノギというと、やっぱり薬とか、金融とか、売春とかですよね。

「それは昔ですよ」

──そういうイメージが、今も残っていると思うんですよね。一般の人にとっては。そういうことをやってると言う考えを持っている。

基本的に法に触れるものは全てやってると思ったほうがいいんじゃないですか

──多岐に渡っいるということなのか?

だから、一概にシノギってなんですかといっても、色々あるよと答えるしかない、ということですよね。

 だって、極端なことをいえば、あなたが車を買いました、そこの中古車屋はヤクザがやってます、という感じで、隣にいるわけだから。わかんないように。わかっちゃったらもうできないし。もしかしたら米屋のオヤジもヤクザかもしれないし。でもそんなのはわからない。どっかの相談役になってたりとか。客引きなんかでも看板背負っている奴もいるし、もうそんな感じで線引きはないですよ。登録しちゃってるということです(笑)。

 たとえば「うちでやっちゃいなよ、面倒みてやっから」「登録しとけばなんかあったらさ」ってなるじゃないですか。「繁華街でやっている以上、看板背負ったほうがいいぞ」って。で、うちの後輩たちが渋谷で5〜6人くらいで「どうですか」って「いや、俺いいから」って、言ったら看板名乗ってきたらしいですよ。後輩たちに。「この野郎」って、すぐ電話入れて。そんな状況らしいですよ」


 本年最後のインタビュー記事はこの様な形で終わらせる。次回もう少し掘り下げて始めることにする。

 皆様良いお年を。