>  > シリーズ"しばき隊の真実"第三回「新大久保コリアンタウンを守ったのは、しばき隊だったのか」
義賊か、それとも悪党か。 “しばき隊”とは何だったのか?

シリーズ"しばき隊の真実"第三回「新大久保コリアンタウンを守ったのは、しばき隊だったのか」

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差別デモ参加者たちの素顔


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荒巻丈氏と対峙する筆者 筆者提供


 レイシストをしばき隊は、差別主義者を合意の下、飲み屋に連れて行き説教をしたこともあった。私は今でも思い出す。現在は差別デモでほとんど見ることはないが、当時は差別デモの中心的存在であった荒巻丈という人物がいた。レイシストしばき隊は荒巻のお散歩を阻止し、私は初めて荒巻と飲み屋で飲んだ。荒巻はよくマスコミに出ている私のことをすでに知っていた。私も昔、友人が荒巻にヘイトスピーチをされたことがあり、腹立たしい存在だった。飲み屋では、荒巻の隣に私。目の前には野間易通氏と、現在は日本会議の研究本でベストセラー作家になっている菅野完(ノイエホイエ)氏などがいた。話し合いをしていて、荒巻は強がってはいたが、レイシストをしばき隊の考えの方が正しいことに気付いていたのだろう。しばらく経つと、荒巻は酔ってきたのだろうか。次第に仲良くなりたそうにしているのを私は感じた。飲み屋には、荒巻が日頃、存在否定をしている在日コリアンもいた。結局、有意義な飲み会にはならず終わり、その後も荒巻は差別デモを続けた。荒巻はひょっとしたら更生して変わるのではないか。私は説得をするため、実は荒巻とひそかに酒を飲みに行ったりもしていた。2人で飲んでいると、荒巻は日本を想い、涙を流すことがあった。その姿を見る度に、どうして日本を悪くするヘイトスピーチにとり憑かれてしまい、差別主義者になってしまったのかと残念でならない気持ちになった。どうやら荒巻は現在、在特会界隈から離れているようである。

 お散歩を防ぐことに成功したレイシストをしばき隊は、やがて直接、差別デモに抗議をするようになる。在特会がヘイトスピーチをおこなう差別デモに併走しながら、中指を突き立てトラメガ等で罵倒をしまくる。差別反対のプラカードを掲げる『プラカ隊』、巨大なダンマクを広げる『ダンマク隊』なども現れた。差別デモがあるとネット上でカウンターは呼びかけられ沢山の方々が集まるようになる。2013年3月から、レイシストをしばき隊以外のカウンターをする人々は急激に増加し、いつしか在特会の差別デモを上回る人数になっていった。


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差別デモvs.カウンター(新大久保)著者提供


 2013年5月には刺青を出し、凶悪な外見を前面にアピールしながらカウンターをやる『男組』も出現した。男組は組長の高橋直輝氏と私が結成した組織だ。なぜ、反差別運動に悪いイメージが付くリスクを背負ってまで、男組はヒールにこだわったのか。私は元々、いじめられっ子だった。臆病だし喧嘩も強くない。だから、いじめを受けた者にしか感じられない残酷な現実を身を持って知っていた。良心に働きかけていじめをやめさせようとしても駄目なケースがほとんどである。理屈や正論をこねてもいじめっ子には効かないし、説得してもいじめをやめない場合が多数だ。冷静に話をして分かり合えれば一番良いが、そんなことは道徳の教科書だけで理解できている話だ。少なくとも私の経験上、いじめをリアルに解決できた方法は、いじめっ子以上の気迫と暴力を私が身に付け恐怖を味あわせた際だった。良くないことなのは分かっている。でも悲しいけれど、リアルはそうだった。警察だって、逮捕をし檻にぶち込み閉じ込めたりなどの制裁を犯罪者に与えるから、捕まらないようにするし更生しようと思う者も出てくる。極めて一部に、誠心誠意、自身のおこなってきた行為を反省する人間もいたりするが、本当に稀である。男組は『非暴力』を宣言し、威嚇するだけではなく、在日コリアンの壁になったり、攻撃の矛先を変えて差別主義者に殴られたりする役だと私は考えていた。男組がカウンターのイメージを悪くしたという批判は勿論受け入れるが、存在意義は間違いなくあったと思う。