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【政治】イタリア・レンツィ首相辞任は世界の右翼化の歯止めか?

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 国会改革を目標とする憲法改正法案を巡り、イタリアで4日に国民投票が行われた。

 これは本来、国民投票を行う必要はなかった。イタリアは日本と同じく二院制なので、下院で法案を通し、上院で法案が通れば可決される仕組みである。日本でいうところの衆議院と参議院のようなものだ。とはいえ、イタリアでは下院と上院が同等の権限を持っている。

 そのため、イタリアの首相であるレンツィ氏は、わざわざ憲法改正について国民投票を行って、国民に是非を問う必要はなかった。だが、レンツィ首相はその憲法改正の国民投票に、「否決されたら辞任する」と宣言し、自分の進退を委ねた。つまり今回の投票は事実上のレンツィ首相に対する信任投票だったのである。

 今回、国民投票にかけられた概略は、まず、下院と同等の権限を持つ上院の定数と権限の縮小し、地方代議者による諮問会議化。さらに、州と国とで権限を分けていた様々な分野の国の権限とすること。さらに、県制度を廃止し、州、大都市、村の二層構造にすることなどがあげられている。これらは法案を素早く通し、コスト削減を目標にしていた。二院制の場合はねじれ国会も日本で起こったが、法案などに時間がかかることが欠点である。しかしこれらの国民投票の概略から言えることは、中央集権化を一気に進める内容だったということだ。

 右か左か、と言われると、道でも聞いているのかと思われそうだが、これは政治思想の比喩である。右翼、左翼と言われるほうが分かりやすいだろう。今は右、左といっても細かく立場や主義が分かれているが、ざっくりいうならば、左は政府批判派。右は保守派と言い、つまり現政府指示派と考えられればそれでよい。

 今回、レンツィ首相の法案が通らなかったことで、現政府の支持率の低さが露呈した、ということで、イタリアは右翼化から遠ざかったといえる。政府の権力が分散しているのは、第二次世界大戦の反省ゆえである。イタリアでは特にファシズムが台頭した。そのため、現在は権力分散型が多い。

 世界の政治的傾向では、国際協調型から自分の国が良ければそれでよい、という右翼が台頭しつつあるように見える。同日に行われたオーストラリアの選挙では右翼政党が政権を獲得した。イギリスは移民が大量に入ってくることを阻止したいという理由もあり、EUを離脱。イギリスがEU離脱の際に与えた経済的影響は日本にまで波及した。また、アメリカでは過激な発言をしていたトランプ氏が大統領選で勝利した。トランプ氏はアメリカが主導していたTPPから離脱する方向を示し、国際協調よりも自分の国が良ければそれでよいというスタンスを崩さない。

 こうした世界の政治的影響を見ていると、自国を強くしたい、という権力集中型をイタリアの国民投票で食い止めたことになる。とはいえ今回の結果は、EUのこれからに影響することは間違いない。これからの進退に注目していきたい。