>  > シリーズ"しばき隊の真実"第一回 「あえて暴力集団の汚名をきて」
義賊か、それとも悪党か。 “しばき隊”とは何だったのか?

シリーズ"しばき隊の真実"第一回 「あえて暴力集団の汚名をきて」

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街頭で排外デモがおこなわれるたび、いずこからか現れる集団がいる。怒声をあげ、中指を突き立てる彼ら/彼女らの姿は、排外デモの言葉による暴力(ヘイトスピーチ)を、あたかも別の暴力で押さえ込もうとしているかのようにも見える。集団に好意を持たない者から"しばき隊"と憎々しげに呼ばれる彼らは、いったい何者なのか。最初期からカウンター活動(排外デモ妨害運動)の最前線に立ち続けた男、山口祐二郎が描く"しばき隊"の真実。はたして"しばき隊"は社会貢献活動か、それとも反社会的勢力なのか。


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著者提供


はじめに ~差別を止められるなら悪党でも構わなかった~


 読者の皆様は『しばき隊』という名称を一度は見聞きしたことがないだろうか。ヘイトスピーチ(差別扇動表現)をおこなう人種差別団体『在日特権を許さない市民の会(在特会)』などに、カウンターと呼ばれる抗議行動をする集団だと把握している方も少なくはないはずだ。

 しかしながら、その実態はきちんと伝えられていないし、余り知られていない。インターネット上でしばき隊と検索すると、数々の暴力事件、逮捕沙汰が出てくる。画像検索では刺青を入れたヤクザ風の人物、モヒカンのいかついパンクス、中指を立てたガラの悪い者たちの写真で溢れている。2ちゃんねるなどの匿名掲示板やそれらのまとめサイト等ではバッシングの嵐だ。私のことも真実とデマが入り混じりながら出てくる。様々なメディアでも取り上げられているが、的を射ていないものばかりなのが現状だと感じている。賛同する者からの過剰な讃美、批判する者からのでたらめな虚構でうんざりする。

 しばき隊という存在の内実は、根拠の曖昧なまま都市伝説のように面白可笑しく広がっていき、反差別を掲げて行動しているのにも関わらず暴力集団、カルト集団、反社会勢力のように認識されていくようになった。私は元々が右翼団体出身で、新聞沙汰の事件も起こしているし社会的には死んだも同然だから気にしていなかった。けれどもそれでは、私は別として、純粋な想いから差別に反対している身奇麗な人たちにはあんまりではないか。

 しばき隊発生の2013年2月までは、差別主義者のヘイトスピーチを誰も止められなかったし、警察も放置をしている状態だった。目の前に差別をされて傷ついている人がいるのにも関わらずだ。一見、在特会としばき隊のぶつかり合いは、世間からすればどっちもどっちのような闘いでも、しばき隊側には確実に正義があった。現在、結果的にしばき隊の行動によって、在特会をはじめとする人種差別団体による差別デモ、演説会の回数は減り、参加者は激減していき、全く勢いはない。2016年6月にはヘイトスピーチを違法とする、ヘイトスピーチ解消法(本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律)が施行された。ヘイトスピーチを社会問題にして、日本社会の差別を許さないという空気も作った。しばき隊は僅か3年程の期間で、ここまで成し遂げたのだ。そのことは揺ぎ無い功績だろう。

 それなのにも関わらず、カウンターをしているだけで、敵対者に身元を割られ個人情報を晒されたり、警察にマークされたり、仕事を失ったり、逮捕をされたりでボロボロとなり社会的に追いこまれていった方もいた。余りにも理不尽過ぎるではないか。だからこそ、しばき隊の真実を書かねばと感じた。