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水曜はヤバすぎるアンダーグラウンドエッセイ from 東北

元四次団体組長・張恭市の「塀の中の大運動会(ただし音声だけ)」

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とある大手暴力団(日本でいちばん有名なあそこですね)からスッパリと足を洗い、現在は被災地復興のため日々汗を流す「喜多方の帝王」こと張 恭市。そんな福島在住の張が被災地の現況から刑務所の実態まで、ヤバすぎるリアルな話を大いに語り尽くします!


7回もチャンスがあったのに......


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写真はイメージです


 塀の中でも毎年恒例の運動会がある。

 毎日30分実施される運動の時間に、各種目に出場する選手が、本番に向けて各自自主トレを行う。

 でも、懲役達の本心は運動会が楽しみなのではなく、運動会の時に出される銀シャリ(白飯)のお弁当とお菓子の詰め合わせ、そして冷たいコーラ(コーヒーの場合もあり)が楽しみなのである。

 娑婆にいる時は、どんなに大酒呑みな人間でさえ、受刑生活中には大抵、甘党に変貌してしまうほど甘いものに飢えているので、運動会の時や祝日、正月時の袋菓子の詰め合わせは、まるで子供のように楽しみにして、童心に帰りながら甘いものをむさぼりつく。

 ただでさえ甘党な私は、何が一番辛かったかと言うと、甘いものを好きな時に好きなだけ食べれなかったことだ。

 酒もタバコもやらない私にとって、未決の時のようにせめて自弁で甘いものを好きなだけ買えるのであれば、もう少しは懲役生活を耐えられたであろう(笑)。

 で、肝心な塀の中の運動会の話だけれど......。


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写真はイメージです


 実は私、過去3回、計7年半懲役生活を余儀無くされてきましたが、運動会の時期になると決まって取り調べ、懲罰となっており、一度も塀の中の運動会に参加したことがないのです(笑)。

 グランドから聞こえる歓声を聞きながら、独居房で座りながら、一人お菓子を食べる虚しさ......。

 聞く話によると、リレーや綱引き、100メートル走等、学校で行われている運動会の種目と同じような競技で、各工場で争われるらしい。

 また、噂では各工場の担当刑務官達で賭けをしているらしく、自分たちの工場が総合で1位になったら他の工場担当刑務官達から賞金をもらえるという、ヤクザ顔負けの賭博も行われているそうで、懲罰を終えて工場に配役された時、そこの工場担当刑務官がやたら機嫌が悪かったので何故かと同囚の者に訊いてみると、運動会でその工場はボロ負けだったそうで、賭けに負けたその工場担当刑務官はだいぶ(掛け金を)持っていかれたとの噂があったほどだった。

 ちなみにその年の優勝工場は『炊場』で、いつも一般受刑者達より多く美味いものを食べているので、我々とはスタミナが違うと他の懲役から揶揄されていた(笑)。

 そんなこんなで、数ある刑務所ネタの中で、唯一体験出来なかった塀の中のイベントでした。あしからず。




張 恭市
ちょう きょういち 元、某広域暴力団の三次団体幹部。四次団体組長。前科6犯。20代半ばから30代半ばの大半を、塀の中で過ごす。韓国人の父親、日本人の母親を持つハーフ。7年前に約20年所属していた組織から足を洗い、今は地元で数々の経営に携わり、東日本大震災後、復興支援のチャリティーイベント主催者、ボランティア活動、芸能界とのパイプを利用し、復興ライヴ興行等、幅広く活躍している。