>  > 【宮崎学特別寄稿】「令状なしのGPS捜査」が違法なのは裁判官も承知のはず

【宮崎学特別寄稿】「令状なしのGPS捜査」が違法なのは裁判官も承知のはず

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 11月22日、福井県警が覚醒剤密売の捜査で関係者の車に令状なしにGPS端末を設置していた件で、福井地裁(入子光臣裁判長)はこの捜査による報告書などを証拠として採用することとした。

 弁護側は「違法なGPS捜査によって入手した証拠は採用すべきでない」と主張しており、裁判長は「(最終的には)判決前の論告や弁論を踏まえて判断する」とも述べたが、証拠採用が覆されることはまずない。

 とはいえ、裁判長がこのように含みを持たせたのは、内心では「本来は違法だが、覚醒剤事件の被告人をかばいたくない」と考えているからであろう。

 令状のないGPS捜査については、以前から裁判所によって判断が分かれている。近いうちに最高裁大法廷で初の統一判断が示されるという報道からもわかるとおり、裁判所も「法の原則」と「悪者には何でもアリ」の間で揺れているのだ。

 警察庁の通達(2006年6月30日付警察庁刑事局刑事企画課長名「移動追跡装置運用要領」。詳細は非公開)では、裁判所の令状が不要な場合として、緊急性や危険性が高く、代替の手段がない場合に限って任意でのGPS捜査を認めるとしている。

 だが、報道によれば本件の被告人は中断した期間を含めて13年4月から6月と長期にわたって捜査されており、「緊急性」はない。

 また、前提としてGPS端末を扱う業者は、「無断設置」が明らかな場合は契約しないのが一般的であり、無断で乗用車にGPSを取り付けるために駐車場に立ち入れば、建造物侵入罪になる。これは過去の裁判でも問題になっているのだが、要するに「警察は正義のためにやっているのだから、無断だろうが何だろうが何をしてもよい」ということである。

 そして、そのクルマを使って接触した人間はすべて捜査対象となるが、これは1999年に成立した盗聴法も同様であった。