>  > 9.5サインくださぁい事件の衝撃度と、いわゆる「弘道会方式」について元ヤクザ組長が解説
元四次団体組長・張恭市が緊急寄稿!!!

9.5サインくださぁい事件の衝撃度と、いわゆる「弘道会方式」について元ヤクザ組長が解説

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写真はイメージです


「サインください」 新神戸駅に怒号、組長挑発か 建造物侵入容疑で神戸系事務所捜索
(前略)騒ぎは5日午前10時半ごろ、神戸市中央区の新神戸駅で起きた。近くの山口組総本部である定例会に出席するため改札を出た篠田組長に、神戸側の組員ら20~30人が色紙やペンを掲げて「サインください」と叫びながら接近。怒号が飛び交い、警戒していた警察官が制止した。篠田組長は無視して通り過ぎた。県警は、抗争状態にある山口組を挑発する狙いだったとみて調べている。ある捜査員は「本格的な抗争に発展する恐れもある。レベルが低すぎる」とあきれる。
毎日新聞2016年9月9日 大阪朝刊(リンク


 9月5日、前代未聞の出来事が起きた。

 神戸市中央区の山陽新幹線神戸駅で5日午前、指定暴力団神戸山口組の組員ら約20人が集結し、六代目山口組のトップ、司忍組長に対し、「サインください!」と逮捕されない範囲での山口組の上層部を挑発する事件が起きた。

 約1年前までは、自分たちが所属していた組織の長である人間に対しての完全に小馬鹿にした挑発行為に、極道としてのidentityを正直疑ってしまう。

 そして、大のヤクザ者が敵対している人間に対して、「サインください」と罵ることしか出来ない行為に、暴対法でがんじがらめになっている現代のヤクザの喧嘩は、このような幼稚な方法でしか出来ないのか?と哀しく思えてならない。

 また、自分の長が馬鹿にされた事を言われているのにも関わらず、近くに警護していた警察官がいようと体をかける六代目側の組員が一人としていなかったこと。

 これも時代の流れなのだろうか?

 神戸山口組としては、六代目体制となってから弘道会方式が始まり本来の山口組の姿が崩壊してしまった事への反発により、分裂したと思われるが、果たしてその『弘道会方式』とは何か?

 私が現役当時、一斉に直参の組長達が処分された(2008年)。同時に私が所属していた組の総長も除籍処分となり、次の総長が決まるまでの間、弘道会の預かりとなっていた。

 その際、私が所属していた組織も全て弘道会方式となり、厳しいルールを強いられる事となった。

「サングラス(メガネ)は色つきのは厳禁」「スーツはシングル二つボタンのみ」「革靴は一枚革の物を履く」「ベルトは真っ黒な無地のものを着用」「ネクタイも柄のものではなく、無地のものを着用」等、事細かに指示が出されたようだ。

 私の所属していた組織が弘道会の預かりとなっていた時、私は懲役3年の実刑判決を喰らっており、リアルにはその厳しいルールを強いられた記憶はないが、社会のルールを守れず、社会からはみ出したもの達が集まったのがヤクザだと思っているので、ルールを守れない者達に対し、まるで中学、高校のような制服の規則、遵守事項を出されても守れる訳がない。

 それはなぜか? ヤクザ者は本来、規則やルールを守れない『outlaw』(はみ出し者)だから。

 ヤクザがヤクザらしい格好をして何が悪い?

 あれはダメこれもダメと厳しいルールを強いられた組織に対し、identityを見出だせなくなり、魅力を無くしていった私は、出所後まもなくしてから足を洗うこととなった。

 私が堅気となったあとも、弘道会方式はさらに厳しくなり、毎月の上納金はもちろんのこと、雑貨の強制購入、組織の遵守事項の強化等、現役組員の負担はさらに増え、嫌気をさしてヤクザから足を洗う人も増えていった。

 その結果、直参組長、組員達の不平不満が増加し、山口組が二つに割れるという前代未聞の結果となってしまったのだと思う。

「山健にあらずは、山口組にあらず」と言われていた時代から、今や「弘道会にあらずは、山口組にあらず」とまで言われている。

 私利私欲に溺れ、どこかに片寄った組織運営をしていれば、必ず他からの不平不満が出て、一枚岩の組織の筈が、そこから亀裂が入る。

 日本一のヤクザ組織、山口組が分裂してしまい、二つに袂を分かつ事となってしまった今、弱きを助け、強きを挫く昔の任侠に生きるような世界は、今のヤクザの世界にはもう皆無なのかも知れない。




張 恭市
ちょう きょういち 元、某広域暴力団の三次団体幹部。四次団体組長。前科6犯。20代半ばから30代半ばの大半を、塀の中で過ごす。韓国人の父親、日本人の母親を持つハーフ。7年前に約20年所属していた組織から足を洗い、今は地元で数々の経営に携わり、東日本大震災後、復興支援のチャリティーイベント主催者、ボランティア活動、芸能界とのパイプを利用し、復興ライヴ興行等、幅広く活躍している。