>  > 池田組若頭射殺事件は六神抗争の「終わりの始まり」だ
シリーズ「山口組分裂の真相を追う」

池田組若頭射殺事件は六神抗争の「終わりの始まり」だ

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銃弾の意味は


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写真はイメージです


 六代目山口組は、昨年の分裂騒動以降、結論的には、全国各地で神戸山口組に押され続けた。マスコミ報道でも周知の通り、弘道会会長の全国激励も神戸側の組員に妨害されて頓挫し、各町場の小競り合いには後手後手にまわり、ピンポン破壊事件では業界関係者から眉をひそめられ、あげくの果てに直系組長の謎の死という前代未聞の状況を招いた。三次団体の離脱が相次ぎ、六代目山口組のブランド力は低下した。

 組の内外ともに「どうにかしなければならない」「このままにはできない」という機運がたちこめていたことは言うまでもない。そんな中、六代目山口組内では、ケンカはすべて弘道会が引き受けるとして、各直系団体の組員たちは実質待機状態とされた。伊勢志摩サミットの開催時期もかかわって、そう簡単には暴れられないという理屈も六代目側にはあったのだろう。そして、サミット終了とほぼ同時に、弘道会のヒットマンが神戸山口組の幹部組員を射殺した。

 これで六代目側、弘道会側のメンツはとりあえず保たれたのかもしれない。だが、実際のところはどうだろうか?

 現状を、一発のヒットでひっくり返そうとするのはやや無理があるのではないだろうか?

 六代目側の退潮は、マスコミ報道されてきたものだけではない。オリンピック利権で一時は東京都内に200箇所以上もあった弘道会系の秘密事務所は、現在では半分以下にまで減っている。東京といえば、六代目側の直系団体がふたつもある六代目側の牙城であったはずなのに、である。

 弘道会の本拠地である愛知県を含む東海地域では、弘道会系のフロント企業が神戸側によって徹底的に追い出されて、弘道会系のフロント企業がゼロになった町も多い。京阪神は言うまでもなく神戸側にほぼ占領された。中国地方は、六代目側の看板をあげつつも、精神的には神戸よりで、隠れ神戸側組員が最も多い地域とも目されている。九州地方、東北地方でも神戸側が優勢といわれ、かろうじて四国、北陸、北海道では優位を保っているという。

 弘道会高山組は、日本最大の高校野球賭博の胴元といわれている。毎年、夏になると、弘道会高山組は賭博の儲けでたっぷりと潤う。しかし、昨年の分裂時から続く全国各地の六代目側のやられっぷりは、六代目の代名詞ともいえる弘道会、そして、弘道会の本流とされる弘道会高山組の威厳低下にかかわり、このままでは、今年の高校野球賭博の売り上げ低下につながりかねない。弘道会、とくに、高山組としては各県で夏の甲子園の予選がはじまるここらでひとつ汚名返上のきっかけをつかみたいところであっただろう。暴力団である以上、汚名返上の特効薬は、やはり、抗争相手をヒットすることである。

 そして、このたびの神戸山口組組員射殺事件は、六代目山口組にとって反攻の狼煙になっただろうか? それとも、ただたんに世の中に迷惑をかけただけなのだろうか? 少なくとも一般市民にとっては後者であることは間違いないが。


(取材/文 藤原良)