>  > 池田組若頭射殺事件 出頭したヒットマンがもしも身代わりだったとしたら!?
シリーズ「山口組分裂の真相を追う」

池田組若頭射殺事件 出頭したヒットマンがもしも身代わりだったとしたら!?

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出頭したヒットマンにしかできない役目とは


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「犯人」が出頭した岡山南警察署 wikipediaより引用(リンク


 池田組幹部射殺事件の犯人(弘道会系組員)は、早い段階から「身代わり」と目されている。犯人は捜査本部があった岡山南警察署に出頭(6月5日)したが、射殺に使用した拳銃を持ってはいなかった。射殺事件の場合、使用した「拳銃と犯人の指紋の照合」が重要になる。拳銃の指紋の一致がなかったとしても、せめて、犯行時に着ていた衣服の消炎反応ぐらいは検察としては欲しいところである。本人の供述だけでは、誰でも犯人を名乗れてしまう。客観的に、「この者が犯人である」という証拠が必要となる。それには拳銃という凶器と出頭者の指紋が一致することが最もわかりやすい。しかしこの日、「自分が殺りました」と出頭した人物は、繰り返しになるが使用した拳銃を持ってはいなかった

 暴力団員の拳銃による射殺事件は無期懲役となる。無期懲役とは文字通り服役年数に定めがないが、実際のところは、15年から20年で出所となるケースが多い。出頭した自称・ヒットマンは32歳。彼が仮に20年で出所した場合、52歳で出所することになる。

 発表された防犯カメラの映像は「若い男」とはいえ40歳代にも見え、32歳の若者と断定するのは難しい。こういった点からも、身代わりではないか、と各方面で囁かれている。

 身代わりといえば、誰かをかばって出頭したと考えるのが妥当だが、今回の身代わりは、「誰かの身代わりに、かばって入る」ものというよりも、「警察捜査を攪乱(かくらん)させるためのダミーなのではないか?」と目されているというのだ。

 つまり、この自称・ヒットマンは、捜査が進み、時が経ち、この射殺事件が風化劣化する頃まで捜査の目をひきつけ、物証などの痕跡が消えた頃になって「やっぱり射殺犯は別人でした」となり、そして、いまさら事件を再捜査したところで時が経ち過ぎていて目撃証拠も曖昧となってしまい、物的証拠ももう見つからず、そんなわけでお蔵入り、迷宮入り事件として処理されることを狙った策略的身代わりではないか──という声があがっているというのである。

 こう推測する理由は、こうすれば弘道会側が使用者責任を巧みに逃れられるかもしれないからである。自首した自称・ヒットマンが出頭時の供述通り真犯人だった場合、使用者責任追及により、弘道会会長も六代目山口組組長も逮捕収監される可能性がある。かといって、そのまま事件は迷宮入りになりました、犯人はどこかに逃げましたでは警察からの対弘道会対策が強化されるだけで、弘道会としてはこれもこれで苦しい。であれば、いったん警察にヒットマンを逮捕させればいいのである。これで、世論の騒ぎもいったんは鎮静できる。そして、捜査がある程度進み、事件の印象が薄れた頃、自称・ヒットマンに「ヒーローになりたかった」なんて適当な発言をさせて、真犯人ではなかった、とする。もちろん、その頃にはもう使用した拳銃もなく、犯行時の衣服もなければ、物的証拠も揃わず、客観的に犯人だと断定することもできない。さんざん捜査を攪乱したあたりで、自称・ヒットマンは人違いだったとなり、捜査は振り出しどころか、迷宮入り確実となるだろう。自称・ヒットマンは偽証罪に問われる程度で、殺人事件に比べればはるかに微罪で済む。さらに、捜査に無駄に時間がかかったことで、警察も摩耗し、現場証拠が第一となる射殺事件の物的証拠も見つかりづらくなり、それまでの間にあらゆる証拠隠滅もできる。そして、自称・ヒットマンが別人だったとなれば、心象として、六代目山口組組長と弘道会会長への使用者責任追及も一気に外されるのである。

 もちろん、現時点ではこれは推測にすぎない。すべてが明るみになるまでには、もうしばらくの時間が必要だろう。


(取材/文 藤原良)