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【怪奇】迷宮入りとなった「東電OL殺人事件」の闇眠る町〜神泉

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被害者女性の素顔に衝撃が広がった「東電OL殺人事件」

  常々ひどく混雑している渋谷だが、長期休暇の季節になると若者が続々と繰り出してきて、平日の昼間から祭りでもやっているのかと思うくらいの人口密度になる。3月の春休み時期ももちろん同様で、いまや世界中の女子が憧れるファッションビル・SHIBUYA109の周辺は、気を張っていないと洪水にさらわれたように押し流されてしまうほどだ。
 しかし、ここに集まっている若者のほとんどが、3月の渋谷で起きた謎多き殺人事件を知らないのだろうな......とぼんやり思う。その被害者が、SHIBUYA109に通っていたことも。


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女子の聖地として君臨し続けるSHIBUYA109。(撮影=八神千鈴)


 1997(平成9)年3月19日夕方、京王井の頭線神泉駅すぐ近くのアパート・喜寿荘101号室で、絞殺された女性の遺体が発見された。現場に残されたバッグの中の名刺から、被害女性はW・Yさん、39歳と判明。慶応大学経済学部卒、東京電力東京本社勤務のエリートOLである。

 W・Yさんの自宅は神泉駅から京王井の頭線で8駅の西永福駅が最寄りで、事件現場は当時、空室だった。一見、彼女とは無関係な部屋――ところが、捜査が進むごとに仰天の真実が明らかになる。W・Yさんは昼にOLとして働いたあと、夜には娼婦としてもうひと仕事していたのだ。そして、現場の部屋を「商売」に使っていた。

 渋谷駅と神泉駅は京王井の頭線で1駅、徒歩で10分ほどの距離である。W・Yさんはいつも東電を定時退社して新橋から渋谷へ移動し、SHIBUYA109のトイレでロングヘアのウィッグをかぶると娼婦に変身。渋谷と神泉をつなぐ道玄坂の辺りで客を取っては、ラブホや駐車場や殺害現場となったアパートで夜の仕事をしたのち、自宅に帰っていたという。そんな生活を1990年あたりからずっと続けていたようだ。

 エリートOLと娼婦というあまりにもかけ離れたふたつの顔を持つW・Yさんに世間は驚き、スポーツ新聞や週刊誌は連日この「東電OL殺人事件」をセンセーショナルに取り上げた。報道が加熱しすぎて、東京法務局が人権侵害に当たると自粛を求めたほどである。

 5月20日になって、W・Yさんの「客」であり喜寿荘の隣の粕谷ビルに不法滞在していたネパール人男性が逮捕されたが、一貫して無実を主張。最終的に、遺体の爪に残された細胞片がこのネパール人男性と異なるDNA型だったため、冤罪と認められた。

 ネパール人男性の無罪が確定したのは2012年11月7日。かなり昔の事件に感じるが、実はごく最近まで争われていたのだ。そして、この結審により東電OL殺人事件は迷宮入りの未解決事件となった。