>  > 山口祐二郎が21歳の「セックスボランティア」嬢に会ってきた
憂国我道会・山口祐二郎の「行動する若者たち」シリーズ

山口祐二郎が21歳の「セックスボランティア」嬢に会ってきた

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

セックスボランティアをより良くするために


yamaguchiyujiro_20160305_04.jpg

──セックスボランティアという存在に偏見が多いと思います。それはどう考えていますか?

マユ セックスボランティアという存在に、賛成、反対、はっきり分かれていますね。賛成の人は「大事なのは障がい者を想う気持ち」と言い、反対の人からは「障がい者を飯の種にしている。障がい者の性をもてあそんでいる」と言われます。反対の人の意見も、今後に生かしていこうと思っています。

──本音では、反対の人に頭きませんか?

マユ そうですね。障がい者の性の現実が分かっていませんね。綺麗事の理想を語るのは良いですが、それで障がい者は救われません。たまたま障がい者になって、そういう状態だから自分ですら処理できない、自慰行為もできない人がいるんです。私は、そういう切実な事情があるからこそ、セックスボランティアをやっているんです。

──本当にボランティアをするメンタルで取り組んでいるのですね。

マユ 一般の風俗店の方が楽に簡単に稼げますからね。障がい者の性の介助は、常識的な価値観では補えないです。セックスボランティアをしていて、淫らだとか汚いだとか言われたこともあります。でも、理屈じゃなく、私は障がい者が持っている、そこにある欲望に答えるんです。そして、私はセックスボランティアをしていて、欲望以上の世界を見ているから低い給料でもやっています。

──もう一つお聞きしたいのですが、セックスボランティアのほとんどの団体が身体障がい者だけの対応だと思います。知的障がい者に対応しているセックスボランティアは少ないですね。理由を聞いてみると、知的障がい者のお客さんは、射精介助の女性スタッフとのトラブルが多かったりするらしい。トラブルの内容は暴行やストーカー行為だったりするようですが、よくある風俗店でそれらは障がいのない人間でもたくさんしていまますよね?

マユ 私がスタッフをしている団体も、基本的には知的障がい者の方はお断りをしています。本当は受け入れてあげたいんですけどね。

──やはりそうですか。私が知人のいくつかの風俗店の店長や店員に聞いてみると、表には出さないですが、内規で障がい者の利用を拒否するような決まりになっていたりするようです。特に知的障がい者は拒否するみたいです。なぜかを聞くと、暴行などのトラブルが起きた際に、「そういうことをするのは知的障がい者だけではない」と店側が嬢側に言っても、加害者がたまたま知的障がい者だっただけで、嬢は障がい者全体に対し強い恐怖感を抱いてしまい、恐がったり嫌がったりして店を辞めてしまうことが結構あるからです。しかし、これでは知的障がい者の性は抑圧されたままです。知的障がい者の利用は拒否しているセックスボランティア団体が多いですが、そこはどうお考えですか?

マユ でも、風俗と違ってセックスボランティアのスタッフなら、迷惑行為を受けてもそこそこのラインまでなら頑張れると思います。ただ、こんなことを言うのは夢がないかもしれませんが、現実として難しい部分もあると思います。知的障がいの程度によっては可能だと思いますけど。

──セックスボランティアをしていて大変なことはありますか?

マユ やっぱり私は介護の知識がなかったことですね。様々な障がい者に対する知識がなくて、私は会話が下手なのでお客さんを緊張させてしまって、射精介助がスムーズにいかなかったり、それが原因で過呼吸にさせてしまって少しだけ危ない目に合わせてしまったこともありました。障がい者は、繊細な方が多い気がします。私の射精介助が下手なせいで、自信を失って欲しくないですね。心や身体を傷つけてしまうことは、本当に恐いことです。

──最後に、マユさんが今後はどういったことに取り組んでいこうと考えているかを教えてください。セックスボランティア以外のことでも大丈夫です。

マユ セックスボランティアは続けていきますが、今は介護の勉強をしていて資格も取ろうと思っています。将来は結婚をして、適当な年齢で風俗も上がって、老人介護施設や障がい者介護施設で働けたら良いなと考えています。

──いろいろと踏み込んだ話を聞かせていただき、ありがとうございました。


取材を終えて


yamaguchiyujiro_20160305_05.jpg

 私は新宿の歌舞伎町でもともとホストをしていたこともあるし、セックスワーカーの実態を身を持って知ってきた。今現在も、ライターとして、風俗業界はもちろん、社会問題となっている介護職の知り合いは多い。

 けれども、セックスボランティアに取り組んでいる人間は本当にわずかである。取材する前は、セックスボランティアの世界は私にとって未知の領域であった。私自身がセックスボランティアについて無学であったため、もしかしたら障がい者という社会的弱者の心の隙間につけ込み金を巻き上げる非道な連中なんじゃないかという心配すらあった。でも今回、マユさんの話を聞いて、その不安の霧は強風に吹かれたように消えた。そして疑っていた自分が恥ずかしくなった。

 マユさんは真剣に障がい者の性に向き合っている。




山口祐二郎
1985年、群馬県生まれ。歌舞伎町ホストなどを経て、新右翼「統一戦線義勇軍」幹部に。2007年に防衛省襲撃事件、2012年に東電会長宅前断食断水ハンストを起こし脱退。現在は、「全日本憂国者連合会議」議長、「憂国我道会」会長。作家・活動家として活躍。 著書に『ハイリスク・ノーリターン』(第三書館)、『奴らを通すな!』(ころから)がある。
山口祐二郎公式ツイッター https://twitter.com/yamaguchiyujiro


※写真はすべてイメージです