>  > とてつもなく悲しい事故だけに、徹底的に原因を調査すべきではないのか
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

とてつもなく悲しい事故だけに、徹底的に原因を調査すべきではないのか

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長野県軽井沢町の国道バイパスで大型バスが転落し14人が死亡した事故で、事故を起こしたバス運行会社「イーエスピー」(東京・羽村市)は、国土交通省が義務づけている運転手の入社時の健康診断を実施していなかったことが明らかになりました。同省は特別監査を実施して詳しい経緯を調べています。


順番を間違えたらアカン


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写真はイメージです

 ちょっと待って欲しい。これいつの間にか問題の趣旨がすりかわっていないか?

 14人もの犠牲者を出してしまったのだ。バス運行会社が責任は免れることはできないだろう。メッタメタに吊るし上げられるのも当然で、何の言い訳すらできないのはよく分かる。

 しかし、だ。事故を起こした運転手が入社したという去年の健康診断の結果なんて、今回の事故となんの因果関係があるというのだ。

 それをいうのならば、事故前に虚偽報告を見抜けなかった国交省のほうが、よほど問題ではないのか。なぜそこは問題視されない。

 だってそうではないか。この事故を起こしたからこそ書類を洗い直して、健康診断の虚偽報告が発覚したのだろう。逆に言えば、事故を起こしていなければ発覚しなかったんじゃないのか。ということは、国交省は日頃からはちゃんと調べていなかった、ということにならないのか。

 運行賃金にしてもそうだ。今回のツアーでは、ツアーを企画した旅行会社「キースツアー」が国が定めた基準(約27万円)を下回る約19万円で「イーエスピー」に提示、「イーエスピー」もその価格で契約したという。そういう調査も大事でないとは言わないが、まずは全力で事故の直接的な原因を解明すべきではないのか。今、この時間にも、全国のスキー場に向かい乗客を乗せたバスが走っているのである。万が一でも同じ原因で、事故を起こしてはならない。

 バス運行会社である「イーエスピー」は今後、大型バスの運行を取り止める。それに対して、国交省が「それだけでは済まさない」というのは分かる。かりに同社が倒産してしまったとしても、調査は続けるべきである。だけども、自分たちが見落としていたことを棚に上げて、「イーエスピー」だけを責め立てることが、本当に正しいことなのか。

 なぜ、国交省の役人はテレビカメラの前で、「我々が見落としていたばかりに、このような事故が生じてしまったかもしれません。申し訳ありませんでした」と謝罪しないのか? だって理屈でいえばそうではないか。

 これから、この事故の影響で、運送業界は徹底的に締め付けられるだろう。それは、致し方ないことだ。だが、監督省庁だって、もっと改善しなければならないことはあるんじゃないのか?


国土交通省が公開した、事故現場からおよそ250メートル手前の「軽井沢橋カメラ」の映像では、事故を起こしたバスが猛スピードでカーブを曲がっていく様子が記録されている。しかもブレーキランプも点灯したままであり、おそらくエアブレーキのエアが抜けてしまったのではないかと推測されるのだが......


沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。