>  > 夫婦ゲンカ中の建築業者、妻を殺して死体をお得意様の住宅床下に埋める
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

夫婦ゲンカ中の建築業者、妻を殺して死体をお得意様の住宅床下に埋める

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京都府警は死体遺棄の容疑で同府長岡京市西の京、工務店経営者、渡辺利幹容疑者(41)を逮捕しました。渡辺容疑者は、自らが建設工事を請け負っていた南丹市園部町の他人の民家の敷地内に広子さんの遺体を埋め、遺棄した疑いが持たれています。


こういうのも事故物件になるのか?


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写真はイメージです

 工務店に新築工事を依頼したハウスメーカーも、まさか発注先の工務店の男が遺体を埋めるなど、考えてもみなかったであろう。

 好きでくっついた夫婦であったとしても、連れ添っていく道中には、様々なことがあるだろう。時には、意見の食い違いで衝突してしまうこともあるだろうし、愛だけでは、解決しがたい場面だってやってくるかもしれない。

 夫婦ゲンカがエスカレーターしてしまい、乱暴な言葉で罵りあうことだって、よくある話だ。

 だが、めったやたらに夫婦ゲンカで人は死なない

 口では、「お前なんて死んでしまえっ!」「あんたこそ死んだらいいのよっ!キッー!」と罵りあったとしても、だ。連れ添いあっている者を殺(あや)めることなど普通は絶対できない。

 だが、この工務店はやってしまった。しかも、請け負った現場に埋めるということまでやり遂げてしまった。まさか、大工仕事をしながら、そんなことを考えていたのであるまいな。

 誰が迷惑をこうむったかよいうと、いうまでもなく自分の敷地に無断で遺体を埋められた施主(依頼主)家族だろう。まさか、家を建てている工務店が、遺体を埋めるなど思いもよらなかったはずだ。

 夢のマイホームがいわくつきの物件にされたあげく、事実上ケツのもっていきようすらないのだ。

 だってそうではないか。損害賠償を求めたとしても、その相手は工務店──つまり渡辺となってしまう。事実関係をまったく把握できていなかったハウスメーカーやその営業になんの落ち度も見当たらない。で、結果的に渡辺に損害賠償請求をかけることになるのだろうが、渡辺は渡辺でこれから、長きにわたり刑務所暮らしが控えている。そんな男に賠償できるだけの能力などあるか。確実にないだろう。

 この施主家族は本当に気の毒で仕方ないが、ではいちばん誰が可哀想かといえば、施主家族や殺された広子さんももちろんだが、残された少年がとにかく可哀想でならない。

 父親の手で母親を失い、そのことによって父親もまた、失うことになってしまったのだ。

 夫婦ゲンカ自体、どちらが悪いかなんて知らない。それぞれ言い分はあるだろう。だが、少しでも少年のことを思うなら、ケンカにならぬように、渡辺もつとめなければいけなかっただろうし、ましてや嫁に手をかけるということの重大さを考えるべきであったと思う。こういう形で両親を失うことになった少年の心を、今、渡辺はどう受け止めているのだろうか。

 結果として、嫁である広子さんを殺し、少年から母親を奪ってしまった以上、渡辺に一分の言い分もない。殺すだけではなく、嫁であった人をコンクリ詰めして埋めているわけで、親としての責任うんぬんの前に人としての心がないという気もするが......。

 残された少年が、ただただ不憫でならない事件であった。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。