>  > 詐欺を見ぬいた宇都宮市の小4女子生徒の姿からは家庭環境が透けて見える
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

詐欺を見ぬいた宇都宮市の小4女子生徒の姿からは家庭環境が透けて見える

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

栃木県宇都宮市の小学4年生の女子生徒(9)が機転をきかせたことにより母さん助けて詐欺を未然に防いだとして、警察から感謝状を贈呈されました。表彰した宇都宮南警察署によれば、自宅に戻ったところ、生徒はたんすの中にあった現金を数えている祖母(82)の姿を発見、不思議に思って事情を尋ねると「あなたのお父さんが出張先で大事なものを失くして、いますぐお金が必要なんだよ」という答えが返ってきたのを聞いて、すぐに父親の職場に連絡。電話に出た父親が祖母と話をして詐欺だったことが分かったといいます。


娘さんを見れば日頃の親の教育がわかる


okita_news_1223_01.jpg

写真はイメージです

 小学4年生にして大変素晴らしい娘さんである。

 はあちゃんがだ、家に帰るとタンス貯金していたお金を数えているのを見て、彼女は怪訝に感じたのだろう。

 小学生の頃の私だったら、間違いなくそのような場面に出くわしたとしても構わず遊びに出かけていたことであろう。てか、家族からは「家に泥棒がいてる」と言われていた私とは大違いである......失礼。私のことなど関係なかった。話を戻そう。

 お母さんによると、「家ではおっとりした子なので驚いた」とのことだが、何をおっしゃいますやら、である。

 あなたたちの娘さんは立派に育っているではないか。

 これは、親の育て方が良い証拠である。ばあちゃんが与えた愛情ももちろんあるだろう。お母さんからすれば、謙遜も含めて娘のことをそう言ったかもしれないが、その姿も飾らず美しくみえる。

 彼女はそういった家庭環境の中で、しっかりとした洞察力を養ってきたのだろう。

 家庭環境は、子供の人間形成に大きな影響を及ぼす。一概に決めつけられるわけではないが、すさんだ家庭環境で育てば、やはりそれが子供に影響してしまうのではないだろうか。

 もちろん、そういった環境の中で育っても、立派な大人になる人もいるだろう。自分自身の心の痛みを知ったことで、人の気持ちの痛みを思いやることができるようになった人もたくさんいるだろう。が、それでも親心としては、できるだけ子供に不憫な想いをさせたくないのは当たり前のことだ。

 ここで恐縮だが、私自身の話を少々。今回は小学4年生の時に母親のサイフに手を付けていた話ではなく、親となった今の私が考えていることを話したいと思うので、ご安心いただきたい。

 これまで私は一生ヤクザで生きてやろう、と考えていた。そのためには、家庭も持たず、子供を作らず、人生を棒に振ってでもヤクザとして死にたいと思っていた。

 それが嫁を貰い、子供を授かり、抱えるものがこの手に出来た時、心の中で大きな変化が生まれ始めた。嫁や子供たちだけには、不憫な思いだけはさせたくない、と。

 その時から、足を洗うことを考え始めていたかもしれない。

 そして、親分の引退という大きな節目を迎えた時、私自身もこれまで抱えていたものを降ろし、新たに家庭というものを抱えようと決めたのだった。

 今の生活は、私が望んで抱えたものである。したがって子供たちに多くは望まない。ただ私が作る環境のせいで、子供たちの心に傷を付けてはいけないとだけは思っているが、おかげさまで子供たちは、お母さんからたっぷりの愛情を受け、ばあちゃんやじいちゃんたちにもたくさんの愛情をいただいている。

 子供たちにも、この宇都宮の女の子のような子供に育っていって欲しい、と願いたくなるような今回の女の子の活躍であった。久しぶりにニュースを見て、晴ればれしい気分にさせてもらえた気がする。

 これを見て、振り込め詐欺犯たちも、少しは考えを変えてくれれば良いのだが。

 金に綺麗も汚いもない、というのは間違いで、金に綺麗や汚いはちゃんと存在している。娘さんの活躍が振り込め詐欺犯たちにも、何かを気付かせる原因になってくれれば良いと切実に願う次第である。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。