>  > 現金欲しさに21歳の女性を殺して埋めた男女に無期求刑は遺族心情を軽視しないか
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

現金欲しさに21歳の女性を殺して埋めた男女に無期求刑は遺族心情を軽視しないか

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栃木県真岡市で、当時21歳の女性の首を電気ケーブルで絞めて殺害し、預金通帳を奪い多額の現金を引き出すなどした罪に問われている男女の裁判で、検察側は「完全犯罪を狙った冷酷で悪質な犯行」として2人に無期懲役を求刑しました。この事件は、女性が行方不明になった直後に口座から現金800万円が引き出されていたことから、防犯カメラに写っていた手面真弥容疑者(てづら・まや 25)と石崎康弘容疑者(42)の2人を詐欺の容疑で逮捕し事情を聴いたところ、「殺して埋めた」と供述したことで発覚しました。裁判に出廷した女性の母親は「娘は料理が好きで、店を持ちたいと話していた」「2人の死刑を望んでいる」と涙ながらに話したそうです。


「求刑無期」ということは判決はそれ以下だぞ


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写真はイメージです

 殺害された女性の母親が法廷で述べたという「2人の死刑を望んでいる」という言葉を、石崎と手面はどういう思いの中で受け止めたのだろうか。

 無期懲役の求刑で極刑をまぬがれ、ホッと胸をなでおろしながら聞いたのだろうか。

「娘は料理が好きで、店を持ちたいと話していた」とも言ったという。さぞや娘さんは一生懸命、額に汗して働いていたのだろう。そうでなければ、21歳の若さで800万円もの大金は貯まらない。

 そこには、夢や未来も沢山詰まっていたはずだ。頭の中では、「ああして、こうして」と想像だって膨らませていたことだろう。その尊いお金を奪っただけでも重罪なのに、この石崎と手面は娘さんの命まで奪い去った。

 文字通り、娘さんのすべてを奪った2人に対して、検察側の求刑が無期懲役。いつかは社会へと帰還する可能性を残した求刑なのである。

 もしも、この検察官に、娘がいたとしよう。その娘さんが平沢さんと同じ立場にあわされてしまったとしたら、その被告たちに対しても無期懲役を求刑するのだろうか。

 私なら無理である。いや、私だけでなく、どれだけ慈悲深い人間だったとしても無理だと思うぞ。

 それが被害者遺族の感情だろう。検察官はそういった感情を十二分に考慮しているのか。おそらく違うだろう。殺害した人の数を重視しているのではないのか。強盗殺人の場合、よほどの事情がない限り、一人なら無期、それ以上なら死刑だと、はじめっから定義付けている側面がありはしないか。

 だとしたら、裁判すべてが茶番ではないか。時間をかけて審理する必要などハナからないじゃないか。

 人の命の重さは、数では決してはかれない。一人一人尊いはずであるし、またそうでなくてはならないはずだ。

 犯行に至った2人の詳しい事情は知らない。だが、そこに酌むべき事情などあったと思えないし、判決は別としても、検察側はせめて極刑を言い渡すのが妥当であったのではないか、と私には思えてならない。

 論告求刑後、2人は罪の償いを何よりの優先事項として考えているのか、それとも死刑を言い渡されずにホッとしているのか。私は後者のような気がしてならない。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。