>  > 山口組実録シリーズ 「菱の血判」その34 ~山が動いた~
日本の裏社会で今、なにが起ころうとしているのか?

山口組実録シリーズ 「菱の血判」その34 ~山が動いた~

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 創立100周年目の山口組に起きた「別れ」という離脱分裂劇。マスコミ等では分裂理由を、主に会費の高騰、と紹介しているが、血で血を洗いながら100年間も続いた組織の分裂理由はそんな単純なものではない。
「11年前に戻っただけや」
 分裂理由の真相を知る幹部たちは残念顔でこう言った。山口組は11年前から神戸一派と名古屋一派との間で確執が生じていた。脈々と沸々と続いていたものがこの度遂に分裂というかたちで表面化したのである。六代目山口組の分裂劇とは一体何なのか? 山口組に詳しい藤原良氏に解説してもらった。


第3次分裂期ならではの動き


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写真はイメージです

 六代目山口組の分裂が起きて約4ヶ月が過ぎた。分裂当初の、書面やマスコミを通じて非難合戦を繰り広げていた時期を第1次分裂期、六代目山口組組員たちの離脱や移籍が増大した時期を第2次分裂期とするなら、事始めも済ませ、一応の落ち着きを見せている現在は第3次分裂期だと言っていいだろう。

 第3次分裂期の特徴は、これまでと比べて中間的な立場だった組員たちの動きが活発化しているところにある。

 山口組直系団体に30年以上在籍している某幹部に話をきいた。彼のことは仮にAと呼ぶことにするが、分裂当初のAは様子見に徹していた。A自身、名古屋支配管理体制を好ましく思ってはいなかったが、長年在籍している山口組を離れることまでは考えてはいなかった。むしろ、「離脱した神戸山口組の今後の存続を、元同組織の人間として心配していた」とまで言う。

 つい先日まで同じ組織だった神戸山口組側の人間の中には、兄弟分もいる。盃までは交わしていなくとも、非常に親しい仲間たちもいる。A自身、神戸山口組側に行きたい気持ちも強くある。しかし、自分が長年在籍している六代目山口組の今後がどうなるのかを気にするのも当たり前である。こういった葛藤の結果、Aは、六代目山口組の直系団体に在籍しながら、今回の分裂劇についてはひとりのヤクザとして「中立」という立場をとっている。

 様子見していた頃に、神戸山口組に対しての襲撃命令が下されていたら、「自分は走らなければならない」と決めていたという。それは組織への忠誠心というよりも、自分自身の中にある「自分はヤクザである」という生き方に沿うためである。名古屋支配管理体制に不満があるとは言え、自分はまだ六代目山口組サイドにいるヤクザとして、やるべきことをしなければならないからである。
だが、現在は考え方が変わってしまったとAは言う。

「今はもう走る気はないですわ。上から何を言われようとね」

 関西に本部のある山口組直系団体幹部のBにも話をきいた。分裂が起きてから4ヶ月が過ぎ、いまだに収拾のメドすら立たない六代目山口組の現状について、Bはこう断言した。

「いずれ、みんな神戸にいくやろ」

 実はB自身が、すでに神戸山口組内のある組への移籍が決定している。Bが移籍を決めたきっかけは、神戸山口組と六代目山口組のどちらに勢いがあるか、という損得勘定"だけ"ではない。むしろ、分裂後の六代目山口組のやり方に新たな不満を持ったことが大きかったとBが言う。

「起きたこと(=分裂)は、しょうがない。今、どうするかやないか? せやけど、なんもせんやないか。それやったら、神戸側についたほうがええ(元々名古屋支配が嫌だったのだから、ということ)」

 似たような理由で神戸山口組への移籍を決めた組員や幹部はBだけではない。分裂当初は移籍までは考えてはいなかった組員や幹部たちが、六代目山口組の「今」を見て、移籍を決めるという事実は、六代目山口組が組織体として危機に面してるということなのかもしれない。組織としての行動力や統率力、そして、決断力の著しい低下を表しているからだ。