>  > 山口組実録シリーズ 「菱の血判」その33 ~繁華街における椅子取りゲームの法則~
日本の裏社会で今、なにが起ころうとしているのか?

山口組実録シリーズ 「菱の血判」その33 ~繁華街における椅子取りゲームの法則~

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 創立100周年目の山口組に起きた「別れ」という離脱分裂劇。マスコミ等では分裂理由を、主に会費の高騰、と紹介しているが、血で血を洗いながら100年間も続いた組織の分裂理由はそんな単純なものではない。
「11年前に戻っただけや」
 分裂理由の真相を知る幹部たちは残念顔でこう言った。山口組は11年前から神戸一派と名古屋一派との間で確執が生じていた。脈々と沸々と続いていたものがこの度遂に分裂というかたちで表面化したのである。六代目山口組の分裂劇とは一体何なのか? 山口組に詳しい藤原良氏に解説してもらった。


空いたスペースが必ず埋まる理由


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写真はイメージです

 六代目山口組の分裂騒動で、裏社会のパワーバランスは一気に不安定化している。なかでも現在、非常に活発な動きを見せている勢力が不良外国人組織である。とくに都市部では、アフリカ系不良外国人グループと中国系不良外国人の姿が目立っている。

 もともと彼らは日本経済の甘味を吸い尽くそうとして来日して来た。そして日本の暴力団組織とつかずはなれずの関係を築くことで勢力を拡大させてきた。今では、覚醒剤、違法ドラッグ、売春、密輸、銃器売買、人身売買、とあらゆる犯罪分野に進出している。
 
 某繁華街で古くから事務所を構えている六代目山口組系の某組幹部は、現在の分裂状況を受けて「今は静かにしているほうがいい」と動きを控えめにしている。大阪・ミナミのように、六代目山口組系の組織や神戸山口組系の組織が競い合うように巡回している地域は別として、関西圏から離れた夜の繁華街では"状況に応じた動き"を心がけている組織が多い。その結果、繁華街の勢力図は変わりつつある。

 ある繁華街では、アフリカ系不良外国人らで組織された客引きグループによる強引な客引き行為とボッタクリ騒動が頻繁に起きている。いったんは地回りの圧力で強引な客引きが減ったのだが、分裂で派手な動きを嫌うようになった山口組の現状を目の当たりにして、再び強引さが増しているのである。たかが客引き、たかがボッタクリと言っても、被害者となる一般市民は数万円から数10万円もの損害を被る。1ヶ月あたりの地域全体の被害額は数百万円にものぼるだろう。それを嫌って、その繁華街へ足を向けようとする客自体減るかもしれない。たかが客引き、たかがボッタクリと軽視すべきではない問題なのだ。

山菱とは異なる別代紋の組が戦後から縄張りとしている都内某所では、夜にもなるとアフリカ系とアジア系の不良外国人たちが路上にたむろし、とても日本国内の駅前繁華街とは思えないような混沌とした雰囲気がただよっている。地元組織が、彼ら不良外国人と組んで、覚醒剤の売買などを繰り返しているからである。だが以前は、この界隈に遊びに来た山口組系組員とトラブルになることも頻繁で、地元組織や不良外国人たちは山口組系組員たちを目の上のたんこぶのように扱い、その結果、一般市民に極端に迷惑を及ぼす回数も比較的少なかった。つまり、山口組の存在が、結果として犯罪の抑止力となっていたのだ。しかし、このたびの分裂騒動により不安定化してしまった山口組の様子を見て、今がチャンスとばかりに不良外国人たちが一斉に蠢動をはじめている。

 彼ら不良外国人は、神戸山口組と六代目山口組が全面抗争をしないのは、「喧嘩のできる人間がいないからだ」と考えている。今までは、「いる」と思っていたから、しっぽを振っていたが、結局「いなかった」と感じた瞬間から、即行動に移すのが彼ら不良外国人のあさはかさであり、この地で必ず大金を稼いで帰るのだという意志の強さでもある。

 あさはかだろうが、なんだろうが、不良外国人組織の活発化によって被害や迷惑を被るのは町の人たちである。それでもヤクザにはある程度のサービス精神もあるが、不良外国人たちには「日本の金をむさぼり尽くす」という略奪精神しかない。見た目的には、ザ・ヤクザファッションのヤクザよりもオシャレで親しみやすいが、その本性は、まさにヤクザ以下である。

 また不良外国人組織が、山口組以外の日本のヤクザ暴力団組織と結託しているケースもある。組織レベルではなく、特定の組員や特定の組幹部レベルでの結託状態かも知れないが、山口組が不安定な状態にある今、別のヤクザ組織が不良外国人を煽ってシノギの拡大に向かっているという現状もある。

 山口組という巨大暴力組織が、結果として抑止力となって、更なる犯罪を食い止めていたという歴史は今さら変えようがない。そして今、山口組自体が不安定となったことによって、その隙を突こうとする連中が露骨に動き出している。

 山口組以外のヤクザ組織としては、今が、チャンスなのかも知れない。山口組に真っ向から対抗できる国内組織はないと言われても、捨て身の不良外国人を前線に投入できれば、対抗することは可能だろう。すべてを不良外国人のせいにして、影で糸を引く別代紋の動きに、警察も世論ももっと目を向けるべきではないだろうか。

 ヤクザには「乞食の下、盗人の上」という言葉があるが、現在の状況を正確に表現するなら、「乞食以下で、盗人と不良外国人以上の位置にいるのが現代ヤクザ」としたほうがリアルかも知れない。

 以前、東京都の石原都知事就任時に、不良外国人の犯罪が横行していた(当時の)新宿歌舞伎町で大規模な浄化作戦が展開されたが、目に見えるほど顕著な浄化ができたわけではなかった。結局、体を張ってアジア系不良外国人を追放したのは、歌舞伎町を根城とする博徒系ヤクザ組織だった。その後、暴対法や暴排条例をたてに、その組織の影響力を排除したところ、その数年後には歌舞伎町にボッタクリの飲食店が乱立してしまったことは記憶に新しい。司法当局や世論はことさらにヤクザ暴力団追放を掲げるが、そのせいで、もっと理屈も文化も通じない略奪主義の不良外国人たちに活躍の機会を与えているようでは本末転倒だろう。世論や警察も、いつ起こるか分からない抗争を警戒するよりは、もう既に起きている事案に目をむけるべきなのではないだろうか。

 分裂後の山口組の不安定な状況を利用して、暴利を得ようとしている人間がいる。裏社会の第三勢力とでも呼ぶべきそんな存在に、我々はもっと注意を払うべきであろう。


(取材/文 藤原良)