>  > 山口組実録シリーズ 「菱の血判」その22 ~筋と役目~
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山口組実録シリーズ 「菱の血判」その22 ~筋と役目~

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 創立100周年目の山口組に起きた「別れ」という離脱分裂劇。マスコミ等では分裂理由を、主に会費の高騰、と紹介しているが、血で血を洗いながら100年間も続いた組織の分裂理由はそんな単純なものではない。
「11年前に戻っただけや」
 分裂理由の真相を知る幹部たちは残念顔でこう言った。山口組は11年前から神戸一派と名古屋一派との間で確執が生じていた。脈々と沸々と続いていたものがこの度遂に分裂というかたちで表面化したのである。六代目山口組の分裂劇とは一体何なのか? 山口組に詳しい藤原良氏に解説してもらった。


「筋」は、どちらにもある


 テレビや週刊誌といったマスコミでは、今回の分裂騒動と山一抗争(1984年~89年)を類似したものと見なして取りあげていたが、本連載では、はじめから「異なる物」として紹介してきた。

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『山一抗争前夜 』マイウェイ出版刊

 確かに、山一抗争も、当時の山口組が四代目山口組と一和会の2つに分裂したが、今回の分裂騒動と山一抗争とでは根本的なところからして違う。山一抗争は跡目をめぐる問題が主なきっかけで、跡目候補同士が争った結果、「分裂」→「抗争」となった。しかし、今回の分裂は跡目問題ではなく、方向性の違いによる内部対立という分裂である。

 繰り返すが今回の分裂騒動と山一抗争はまったくの別物である。よって、一和会抗争から類推して、「出て行ったほうが負ける」という見方は完全に間違っているのである。

 よく、「どちらが本当の山口組なのか?」という議論がされることがあるが、結論から言えば神戸山口組も六代目山口組も両方とも山口組である。しいて言えば"保守派"と"改革派"、もしくは"伝統派"と"革新派"に分かれた、とでも言えばいいだろうか。

 それからもう一点、「山菱の代紋を神戸山口組が使用してもいいのか?」という声も聞くが、すでに述べたように、どちらも山口組だから使用してもかまわないのではないか。

 神戸山口組は、六代目山口組側から絶縁・破門などの処分を受けた者たちの組織と言われることもある。特に、六代目山口組側はその事をやたらと強調するが、ポイントとなる部分は神戸山口組に参加している直系組織が処分されたわけではないというところである。記憶に新しい後藤組問題(2008年)の時は、組ごと、組織ごと消滅されられた組もあったが、今回はない。四代目山健組組長や二代目宅見組組長が名指しで処分されたのは事実であるが、山健組が潰されたわけでも、宅見組が潰されたわけでもない。つまり、山健組や宅見組が現在でもなお山口組である事実に変わりはない。神戸山口組に参加した他の直系組織も事情は同様である。

 そして、山健組が誰を組長にするかは山健組が決めることである。六代目執行部や山口組六代目が決めることではない。