>  > アゴを動かすと記憶力がアップするという常識が松本拓也容疑者には通用しなかった
元極道の異色作家・沖田臥竜のニュース解説  「プロ」はニュースはこう読む!

アゴを動かすと記憶力がアップするという常識が松本拓也容疑者には通用しなかった

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

名古屋市のコンビニ店で総菜やガムなどを万引きした男が、取り押さえようとした近所の男性(46)の左手に噛みついて怪我をさせた疑いで逮捕されました。強盗致傷の疑いで逮捕されたのは、住所不定の無職・松本拓也容疑者(32)です。警察の調べに対し、松本容疑者は「万引きしたことは間違いないが、手に噛みついたことは、はっきり覚えていない」と容疑を一部否認しているということです。


万引き犯が強盗事件の主犯にレベルアップ!


okita_news_1110_01.jpg

写真はイメージです

 たかだか万引きで、強盗致傷にまで発展させてしまった今回のケース。

 逮捕された松本君(もちろん無職)は、万引きした事は認めつつも、ガブりと噛みついたことは、しっかりトボケてみせている。

 だが実際、そんなことはなかろう。人間、人に噛みついたことは、とっさのこととはいえ、なっかなか忘れにくいぞ。

 だって、私も20数年前、男の腕に噛みついたことを昨日のことのように覚えているのだからな。

 それは今からさかのぼること20数年前のこと、とある事件でキップ(逮捕状)が回ってしまい、私は縁もゆかりもない県外に潜伏していた。

 その街は漁師町で、至るところに気の荒い漁師がウヨウヨとおり、そして些細なことから私は、そんな漁師のおいちゃんとステゴロの喧嘩になってしまったのだ。

 まだヤクザ渡世にゲソつける前だったので、"ハッタリで場をしのぐ"という武器も装備していなかったため、文字通り私はおいちゃんとドつき合いを繰り広げることになってしまった(今思えば、よくもまあ逃亡中に街中で喧嘩なんかしてたもんだよなあ)。

 漁師のおいちゃんはとにかく馬鹿力だった。首を絞められ、危うくノックアウトされそうになってしまった私は、(こ、これじゃいかん......)と思い、起死回生を狙い、ガブリと噛みついたのだ。

 もちろん、松本君が噛んだような甘噛みなどではない。全力で噛みついた。

「あいてててててっ、離せっ! 離せっ! 離してくれ~っ!」と、おいちゃんが泣き叫ぶまで噛みつき、なんとか勝利をおさめることができたのだが、あまり綺麗な勝ち方だと言いにくいのも確かだ。

 だから、あまりこのステゴロの事を思い出したくはないのだが、松本君のように忘れてはいないぞ。20数年前のことですら、こうやって覚えているのだ。松本君も覚えていないはずがない。

 で、噛みついてまで、逃走をはかるが、すぐに逮捕。誰もが思うであろう、噛まなきゃよかったのに、と。そうすれば、被害総額1000円ほどの万引き事件で済んだのだ。メディアに取り上げられることもなかったろうし、逮捕後、起訴も免れた可能性も十分にあったはずだ。

 だけど、強盗致傷じゃあな......。起訴段階で窃盗と傷害に罪名が下がらなければ、初犯でも執行猶予すらつかないのではないか。

 チューインガムで、刑務所とは、まったくもってトホホであるが、それも致しかたあるまい。刑務所で一生懸命、真面目に作業に取り組んで、報奨金をしっかりと貯めて、出所後はそのお金で、お総菜でもハイチュウでも好きなだけ買ってもらいたい。5年も務めれば、チューインガムもいっぱい買えちゃうぞ。

 ま、刑務所に行かずにシャバで働いてれば、もっと色々な物が買えたのでは、とは思うけどな。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。現在、本サイトで小説『死に体』を好評連載中。