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俺の、最後の獄中絵日記 第249回

自分のことを棚に上げて人のことをとやかく言う資格はないんだよね

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。

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身のほど

2013年(平成25年)9月14日

初犯のときだったんだけど、舎房で俺は窃盗で懲役に来ている奴のことをこう言ったんだ。
「人の物を盗む奴は嘘つくし、信用できねェ」って。

そしたら大町サンにその場で吐き捨てるようにこう言われた。
「そういうのを目くそ鼻くそを笑うって言うんだよ」って。

初めて聞くことわざだったから、よく意味がわからなかった。
改めて意味がわかってから、あの言い方を思えば頭にきたかって?
そーじゃねーよ。
頭をはたかれたようだった。
ガーンとね。

ドロボーしたことない俺は自分の罪を棚に上げて、今、なぜ俺とそいつが同じホリの中にいるかってことも忘れて、物を言ってしまったことに気がついた。
今でもあの言葉は脳に突き刺さったまま時折思い出す。
もしかして俺に言われた奴も、心の中で「俺は薬になんかだけは年を出さねェぞ、だって薬をやる奴は信用できねえ」って思ってたかもしれないしネ。
それからは少し、人に偉そうなことは言わないようにしてるし、
そんなときは、そんな風に自分が言える立場かも考えるようになったつもりだ。

ここ佐賀少年刑務所にもいろんな奴が来ていて10〜15年の不定期刑で来てるようなのがいる。
何をしたのかと聞けば、
「誰でもよいから殺したかった」
とホームで男性を突き飛ばし転落させて、その人は到着した電車に轢かれて死亡した。

なんと身勝手で恐ろしいことか。
俺の後ろに来るんじゃねェ。
頭がまともなわけは絶対ない。
お前に殺された人の家族はなあ......と、思わず説教たれそうな感じになったが、
それでもやっぱりこんな場所では俺はやっぱり他人をとやかく言える身分ではないんだよな。

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