>  > 【裁判所24時】車の運転者必見!交通取締りに安易にサインしなくても大丈夫な事実!
今井亮一の「裁判傍聴バカ一代」R-ZONE出張版

【裁判所24時】車の運転者必見!交通取締りに安易にサインしなくても大丈夫な事実!

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交通違反の裁判のトリック


 「文句があるなら裁判だな!」


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いわゆる「赤切符」であるが、これに安易にサインしなくても良い方法がある。


 交通取締りに不服を言う運転者、違反切符へのサインを拒む運転者に対し、警察官はよくそのように言う。
 「裁判」と聞くと、強気だった運転者もびびりやすい。泣き寝入りしてしまいやすい。そこを警察官は狙うわけだ。
 
 ほんとうに裁判になるのか? その確率は? という話をしよう。
 
 最近、2014年版の『検察統計年報 刑事編』が公表された。
 道路交通法違反(以下、交通違反)の起訴、不起訴のデータが5年分載っている。こうだ。
 
     公判請求 略式命令請求  不起訴
2010年  9,271件  290,804件  128,805件
2011年  8,597件  261,526件  127,346件
2012年  7,586件  238,543件  129,991件
2013年  6,834件  211,103件  123,258件
2014年  7,777件  186,222件  117,790件
 
 これを読み解くには、交通違反の処理手続きを少し知っておく必要がある。
 スピード違反について言えば、超過速度が30キロ(高速道路等では40キロ)未満は軽微な違反とされ、いわゆる青切符を切られ、「反則金」の納付書を交付される。
 超過速度がそれ以上だと、悪質な違反とされて赤切符を切られ、「罰金」または「懲役」の対象とされる。
 
 それでだ、反則金は行政上の軽いペナルティであり、納付は任意だ。取締りに不服があるとかで納付しなければ、刑事訴訟法に定められた「刑事手続き」の扱いとなる。
 赤切符の場合、反則金の納付書は交付されず、最初から刑事手続きの扱いとなる。
 
 刑事手続きへ進んだ先は、検察官が「起訴」「不起訴」か判断する。
 起訴には「公判請求」「略式命令請求」とがある。
 「公判請求」とは、正式な裁判への起訴。違反者は法廷に立たされ、「被告人、前へ出なさい」とか言われる。
 ひ~。
 
 「略式命令請求」とは、略式の裁判への起訴だ。略式は法廷を開かない。略式専門の裁判官が別室にいて、書類だけ見て、罰金×万円を払えという「略式命令」を出す。
 ちなみに、略式に無罪はない。略式は、迅速・簡便に罰金を払わせるためだけの特別な裁判手続きなのだ。
 
 不起訴とは、裁判にかけないで終わらせる、という検察官の処分だ。
 不起訴で終われば、有罪も無罪も、罰金も懲役もない。反則金はどうなる? 反則金を納付しなかったから刑事手続きへ進んだのであり、今さら反則金なんぞ払おうにも払えない。
 その意味で、不起訴は、裁判が始まる前の"実質無罪"ということができる。
 
 それでだ、ここで重要なのは、略式は、運転者が「略式でけっこうです」という趣旨の書面(多くの場合、赤切符の裏面)にサインしなければできないってこと。
 言い換えれば、取締りに不服がある運転者が、
「ナニが略式だ。俺は正式な裁判の法廷で不服を言いたいんだ。取締りの警察官を証人として法廷へ引きずり、きりきり尋問してやるっ!」
 とか言って──何を言おうが言うまいが、とにかく──その書面にサインしなければ、略式では処理できないのである。