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FtM琥太朗のYARICHINダイアリーズ 第28回

薔薇の香りのする女編⑨「心地よいピロートークのなかで俺たちは付き合う約束をした」

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前回までのあらすじ。
伝言ダイヤルで遭遇した、気品のあるお姉さん・和美さん。とりあえずと入ったカラオケ屋で歌ってるうちに、盛り上がってきてキレイなバストに吸い付きお姉さんの虜に。もう本能は我慢ができなくなって次を求める琥太朗だった。


まだお互いのことを何も知らなかったけど

 セックスが終わり、お互いに身体のダルさをベッドに埋めていた。オレはクタクタになってしまったのもあり、和美さんに話しかけることもなく、ただベッドの上で寝転がっていた。先に話しかけてきたのは和美さんだった。

「今夜は、泊まれるんでしょ?」

 オレの方は特に次の日の用事もなかったし、既に最終電車も終わってしまっていたので問題なかった。オレは和美さんに大丈夫だと返事をした。

「良かったぁ。実は明日、付き合って欲しいんだけど良いかな?」

 オレはモチロンと言って和美さんを抱きしめた。まだ和美さんと一緒にいられる喜びと、少しは頼られている感じがして嬉しかった。このままずっと一緒にいられたら、どんなに幸せだろう。オレの頭の中にはそれしかなかった。だから次の日にどこに連れていかれるかなど、この時は全然考えていなかった。それどころか、この時はまだ和美さんの事を何も分かっていなかった。
 例えば住んでいる所や、仕事や、本名や、何で伝言ダイヤルを利用しているのかや、数え上げればキリがないほどオレは和美さんの事を知らなかったのだ。ただ惚れてしまっただけで、その他のことは全然気にならないのはオレの悪いクセだった。まぁ、多分知っていても一度惚れてしまったら、やっぱり気にならずにのめり込んでいただろうから、あまり違いはない。ただ和美さんの場合は、そんなオレの経験の中でもあっという間に物事が進んでいった。

「コタロー君は、私のこと...好き?」

 和美さんの不意の一言で、オレたちは急速に進み始めたんだ。オレは顔を真っ赤にしながら和美さんの顔を真っ直ぐに見て言った。

「和美さんの事、好きだよ! 出来れば...この先もずっと一緒にいたい。オレと付き合って欲しい!!」

 和美さんはオレの言葉を聞いて少し考えていたが、直ぐにオレの目を見た。何かを探ろうとしているかのような瞳だった。

「いいよ。付き合おっか!」

 和美さんは実にあっけらかんと答えたので、オレは一瞬何を言ったか理解できずにいた。しばらく固まっているオレの姿を見て、何が可笑しかったのか和美さんが急に笑い出した。

「なんで固まってるのぉ? 付き合おうって言ったのに、フラれたみたいな顔してぇ~。」

 オレはそれでやっと理解できた。和美さんがオレの彼女になってくれる! そう言ってくれたのに、なかなか実感が湧かなかった。でも嬉しかった。ただ、それを上手く口に出せないでいると、和美さんはオレに抱き付いてきて、まるで猫のようにじゃれてきた。

「付き合うのはいいけど...私、大変だよ? 大丈夫かなぁ...? 歳も離れているしね...」

「大丈夫!なんとかなる!なんとかするし!」

 オレは鼻息を荒くしながら力強く返事をした。そんな様子を見て満足したのか、和美さんはするっとオレの腕の中から抜け出し、ベッドから降りた。

「シャワー浴びてくるね。その後、ゆっくり話そうね。」

 和美さんは全裸を隠すこともせず、シャワールームに向かっていった。その後ろ姿がまた綺麗で、オレはずっと彼女を目で追っていた。

 


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(続く)

   

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琥太朗(こたろう) エイプリルフール生まれ。おギャーッと生れてきたは良いが、母親の腹の中にチンコを忘れてきてしまった先天性FtM(性同一性障害者。女→男)。父親の強烈な女好き遺伝子をきっちりと受け継ぎ、10代後半からその才能を開花させる。現在はホルモン注射のみの治療だが何一つ不自由なくFtMとしてエンジョイライフを送りつつ、トラック運転手として日々荷物と格闘している。

編集部から
FtMとは、Female(女性)to Male(男性)の略称で、ひらたくいうと「身体的には女性に生まれついたけれど、自分は男性である、と思っている人」のことです。水商売で働くオナベさんも広い意味ではFtMに含まれるそうですが、オナベ=FtMというわけではありません。水商売以外で働くFtMもいっぱいいるし、なかには同僚にFtMと気がつかれていない人もいます。他の社会と同様、真面目に働くFtMもいれば、そうでないFtMもいるし、モテるFtMもいれば、非モテFtMもいるのです。この連載では、現在トラック運転手として働く琥太朗が、これまでいかにして女性を食いまくってきたのか赤裸々に告白していきます!