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連載小説『死に体』第21回

第21話 もしやこれが「気のない男子からの誘いを上手に断るテクニック」なのか!?

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連載第22回 第一章(八)1

 散々迷ったあげく、やっと書き上げた返事だったけれど、出すものか出さぬものか、また迷わずにはおれなかった。

 返事が欲しければ「返事を下さい」と一言書き添えるだけでことは足りる。

 だが、何度読み直しても、みどからの手紙には、そんな言葉はなかった。

 しかし、だ。

 返事が要らなければ、迷惑ならば、みどの性格からして
──はっきり言って、返事は迷惑だから止めてよね──
 と、きっぱり書くはずである。

 あれから、みどとはずいぶんと会っていないが、手紙を読むかぎり、オレに対してのスタンスは当時とあまり変わっていないことがひしひしとうかがえた。

 大人の事情、暗黙の了解事項として、ただ気持ちだけを伝えたい、もしくは、みどからの手紙にかかれていたように、言わなければ気が済まない、というだけの場合、住所を記さないという技がある。

 だけど、みどの手紙には、しっかりと住所が記されているのだ。

 ならば返事を書いても差し支えなかろう、と判断できるのだが、ここに問題があった。

 記されている住所が、この拘置所の近所の県立病院だったりするのだ。

 みどの住まいが県立病院になったとは考えにくいので、なんらかの病気、もしくは事故で入院してると考えるのが妥当な線のだけれど、もしかすると遠回しに「必要以上に関わるのは勘弁よ」というサインだともとれなくはない。

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 誘っていただくことはなかったので終生、合コンなる聖域へ参加することがなかったけれど、聞いたことがある。その場で女子の方から教えてもらった番号に後日かけてみると、実は関西電気保安協会だった、なんてパターンを。

 病院と関電。これは、それに非常に類似したパターンじゃなかろうか。

 そんなことをあれこれ考えているうちに、だんだんと考えることが面倒になってきた。その場しのぎの、要するに悪質な合コンパターンなら、出した手紙がそのまま戻ってくるだけだろう。それならそれでいいじゃないか、といった気分で手紙を出すことにした。





 結局、宛先不明で戻ってくることはなかったが、みど本人から返事が届くこともなかった。




沖田臥竜
兵庫県尼崎市出身。日本最大の暴力団組織二次団体の元最高幹部。前科8犯。21歳から29歳までの8年間服役。その出所後わずか半年で逮捕され、30歳から34歳までまた4年間服役と、通算12年間を獄中で過ごす(うち9年間は独居)。





写真はすべてイメージです