>  >  > 薔薇の香りのする女編10「出会えたことが運命と言われ、なんとなく自分を納得させた」
FtM琥太朗のYARICHINダイアリーズ 第29回

薔薇の香りのする女編10「出会えたことが運命と言われ、なんとなく自分を納得させた」

この記事のキーワード:
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

前回までのあらすじ。
伝言ダイヤルで遭遇した、気品のあるお姉さん・和美さん。とりあえずと入ったカラオケ屋で歌ってるうちに、盛り上がってきてキレイなバストに吸い付きお姉さんの虜に。もう本能は我慢ができなくなって次を求める琥太朗だった。


やっぱり訳ありではあったけれど

 和美さんがシャワーを終え、化粧を落とし始めながらオレに話し始めた。

「あのね、コタロー君...実は私...結婚してるんだ...」

 オレは和美さんの言葉を聞いてもそれほど驚かなかった。むしろ「やっぱりかぁ」という気持ちの方が大きかった。それでも少しはショックを受けた。今しがた「付き合う」と言ってくれた彼女が、実は結婚していて旦那がいるんですって告白されても、オレには正直どうしていいか分からないし、和美さんがどういった気持ちでオレと付き合おうと思ったのか、結婚していることを告白したのか、全然想像できずにいた。和美さんはオレの戸惑いを見抜いたように話を続けた。

「別に不倫したくてコタロー君と付き合うって言ったわけじゃないよ...まぁ会ったばかりで信じてもらえないかもしれないけど...私もコタロー君のこと、好きになったから...旦那と別れようと思って...」

「あの...そんな大事なこと、ここで決めちゃっていいの?」

 オレは困惑していた。正直、和美さんがオレを思ってくれていることは嬉しいが、それで離婚するって言われても責任持てるか分からない。それに、今日会ったばかりの相手にそんな大事なことを委ねていいのだろうか?

「もう、かなり前から旦那とは別れたかったの...コタロー君はきっかけって感じかな。だから、そんなに重たく考えなくていいのよ。」

「今まで...きっかけになる人とは出会えなかったの?」

 オレはちょっとしたジェラシーを感じながら和美さんに聞いてみた。

「そうねぇ...あの伝言ダイヤルで何人か男性と会ったけど...私と合う人はいなかったかな。特にセックスの相性がね。」

 オレは男性がどれ程セックスで持続出来るか分からないが、和美さんの相手をするにはかなりの体力と精力が必要なのはオレでも分かる。その上で彼女を満足させるのは至難の技だろう。和美さんによれば、大体の男性は一度射精してしまうと、それで打ち止め終了になってしまうので、彼女は余計に欲求不満になってしまうのだという。

「その点、コタロー君は打ち止めってないから、今夜は久々に気持ち良くてすっきりって感じ♡ 私、流石に女性とエッチしたことはないけど、終わりがないってよく聞くもんね。どんな感じなんだろうってずっと興味はあったの。でも私はレズじゃないから女性とエッチしたいって気持ちは湧かないし...そんなときにコタロー君に会えたの♡」

 オレは和美さんの話を聞いていて、何となく腑に落ちない感じがあったが納得することもあった。彼女はずっと自分の性欲を持て余していた。それを満足させてくれる人をずっと探していて、今日オレと出会えた。これは運命と言っていいのだろうか。

「私はコタロー君と出会えたこと、運命だと感じているよ。だから、コタロー君から好意を持たれているって分かって嬉しかったし、付き合って欲しいって言われて、直ぐに旦那と別れることを決めたの。」

 多分和美さんはオレの事を本当の意味で好きではないのかもしれない。でも付き合って、長い時間一緒にいることが出来れば、少しづつでもオレの事を好きになってくれると、この時のオレは考えていた。この先何が待ち受けているかなど考えもせずに、オレは安易に和美さんとのこれからの薔薇色の人生に思いをはせていた。


 


kotarou0831_tum.jpg


(続く)

   

kotaro_profile01.jpg


琥太朗(こたろう) エイプリルフール生まれ。おギャーッと生れてきたは良いが、母親の腹の中にチンコを忘れてきてしまった先天性FtM(性同一性障害者。女→男)。父親の強烈な女好き遺伝子をきっちりと受け継ぎ、10代後半からその才能を開花させる。現在はホルモン注射のみの治療だが何一つ不自由なくFtMとしてエンジョイライフを送りつつ、トラック運転手として日々荷物と格闘している。

編集部から
FtMとは、Female(女性)to Male(男性)の略称で、ひらたくいうと「身体的には女性に生まれついたけれど、自分は男性である、と思っている人」のことです。水商売で働くオナベさんも広い意味ではFtMに含まれるそうですが、オナベ=FtMというわけではありません。水商売以外で働くFtMもいっぱいいるし、なかには同僚にFtMと気がつかれていない人もいます。他の社会と同様、真面目に働くFtMもいれば、そうでないFtMもいるし、モテるFtMもいれば、非モテFtMもいるのです。この連載では、現在トラック運転手として働く琥太朗が、これまでいかにして女性を食いまくってきたのか赤裸々に告白していきます!