>  >  > お調子者だ、おべっか野郎だと言われても、他人の声なんて気にしちゃいられないぜ
俺の、最後の獄中絵日記 第176回

お調子者だ、おべっか野郎だと言われても、他人の声なんて気にしちゃいられないぜ

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらい月形刑務所で服役中だった後藤武二郎は、ある日、たまたま目にした職業訓練募集の張り紙に深く考えず応募したところ、まさかの当選。住み慣れた北海道を離れ、九州は佐賀少年刑務所へ移ることになってしまった。


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嫌な予感というものは当たるもので

2013年(平成25年)7月2日

しかし参ったよ。

昨日の入退所式の後、工場にきたらサ、担当のオヤジが仁王立ちで待っていたよ。

運の悪い事に、嫌な予感というのは見事に的中するもので、担当は舎房でガッツリ怒られたあのオヤジだった。

チラッと目が合ったとき、不敵にニヤリとされた気がしたのは気のせいか。

訓練生12人がオヤジの前に1列で並び、
「左から番号氏名ッ!」
「声が小さいッ!」
「はっきり言えッ!」と見せしめの先制パンチを受ける。

餌食は俺だと覚悟していたら、返事の語尾が長い人に、
「返事はハイだッ! もう1回やれッ!」とハッツいている。

「この野郎! 言ってる事分からんのか。ハイだ!」
あげくは「処遇※1に連れてけッ!」まで言い出して、俺への矛先はそっちに代わったみたいで、その人に助けられた思いだ。

......と思ったら、オヤジは今後、俺に振ってきた。
「あんな返事の仕方があるかよ! えッ、ゴトー、どうなんだッ!」

俺はハッキリ言ってやったよ「ないと思いますッ!」

これが懲役を上手に乗り切るコツさ。


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※1 処遇......処遇室。他の受刑者から遮断された懲罰房などのことで、房内での姿勢を含めて多くの行動制限を伴っている。