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俺の、最後の獄中絵日記 第146回

受刑者でストレス解消してんじゃないの、と思わなくもない

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。


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同じ工場の彼は吸い込まれていってしまいました

2013年(平成25年)5月30日

「吸い込み」って懲役用語の意味、分る?

掃除機みたいに、なんでも吸い込んじゃうところから来てる言葉なんじゃないかって?

うん。間違いじゃない。

今日、その吸い込みになっちゃった人が1名、うちの工場から出てしまったんだ。

午後の作業のとき、工場の奥の後ろのほうから荷物をかき分け、普段は通らないようなところからオヤジが現れた。

OA機器を解体していた彼も、まさかオヤジが自分の真後ろに立っているとは思ってもみなかったのだろう。

鼻唄歌って、リラックスしちゃったんだよ。

てっきり自分はオヤジの死角にいると安心し、それがものの見事に態度に出てたんだナ。

担当台に呼ばれて説教されたのち、オヤジは処遇課へ電話を一本。

すぐに連行のオヤジが彼を連れにやってくる。

向こうへ行って、偉いのにも説教喰らって、帰ってくるかと思いきや「吸い込み」。

要するに連行されて、そのまま懲罰房行きとなり、元いた房に帰れなくなる人のことを「吸い込み」というのだ。

その彼は事あるごとにオヤジに目の敵のように怒られ、昨日も行進で「声が小せェ!」とか怒鳴られていた。

本人も上がった※1ほうがこの先、楽と思って開き直ったのか、連行のオヤジが来るまでの態度もフテクサレたものだった。

だけど、あんなににリラックスしてるところをパチられた※2ら、さすがにやられるのも仕方ないと思うよ。

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※1 上がる......工場を変わること(当然、担当の刑務官も変わることになる)。
※2 パチられる......受刑者が不正行為、反則行為、またはそれに近いものをしているところを刑務官に見られること。