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工藤明男コラム

元少年Aに顔を本名を晒せというのは大衆が「リンチして殺す」ため?

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 元少年A(酒鬼薔薇聖斗)は、本を出すなら顔や名前を出すべきだ、という意見がある。

 たとえば、先日もネットニュースでこのような記事を読んだ。

(前略)カンニングの竹山隆範も『たまむすび』(TBS系ラジオ/15日放送)内で、コラムニストの小田嶋進(原文ママ 正しくは小田嶋隆)と根本的な問題を指摘した。

小田嶋が「どんな人間にも前科があろうが、表現の自由があるというのはその理屈としてはその通りなのだけど、だったら顔と名前を晒して書いたらいいじゃないか」と論じると、竹山も、

「確かに、もう少年ではなく30歳を過ぎているのだから、本を出すなら、顔・名前を晒しなさい。それだったらいいよというのは、すごく理解できる。確かにその通り」と、強く同調した。(後略)
(ネタりか「元少年A(酒鬼薔薇聖斗)は、出版するなら顔・名前を出すべき」カンニング竹山も同調した『絶歌』論!より一部引用)

 この問題は表現の自由がどうこうって問題じゃないよ。もちろん表現の自由があるから出版できている訳だけど、もっと根本的なモラルの問題。

 顔と名前を晒してどうするの? それだったら良いっていう理屈の方がよっぽど理解できない。顔と名前を晒したってご遺族の方々は誰も納得しないでしょ?

 顔と名前を晒させて元少年Aがさらに生きにくくすることが目的? それって更生どころか再犯に繋がらない? もしくは、世間に顔を晒させることで、それこそ偏った思考の持ち主や暴漢に襲われることの方が考えられない? それが制裁だと言うなら、新たな犯罪を助長しているのと同じだよね。中世の魔女狩りと発想が一緒。

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『絶歌』著者/元少年A 発行/太田出版

 ご遺族は当然、制裁したいと思ってきただろうし、自分たちの手で殺したいくらい憎いと思う。その気持ちを何年も抱えながら現実と向き合ってきたこのタイミングでの書籍の出版は騙し討ちだし許されないことだと思う。

 けど、ご遺族が望んでいるのは、今はきっと法的な制裁。本の出版についても法的な処置を求めていると思う。晒し者にして暴行なんて求めていないんじゃないかな?

 だいたい『絶歌』(Amazonアフィリ)論を語る著名人ってなんでお笑い芸人かそれに近いキワモノっぽいタレントばかりなのかね? もっと教養ある役者とかのコメントが欲しい。

(サムネイル画像はセイラム魔女裁判を描いた版画 wikipediaより引用)

(次回の掲載は6月23日午後12時です)








元関東連合幹部、大ヒット作『いびつな絆』著者である工藤明男ならでは視点で元少年A(=酒鬼薔薇)の『絶歌』を読み解く!

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