>  >  > やっと理解した...ずっと前からセックスのときに覚醒剤を私のアソコに塗っていたんだ
その女が注射器を捨てるまで 第64話

やっと理解した...ずっと前からセックスのときに覚醒剤を私のアソコに塗っていたんだ

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「あたしシャブ中でした」
元覚醒剤常習犯、阿佐見玲子。
厳格な家庭に育ち、息の詰まる毎日だった少女時代。
そして男と出会いようやく幸せの糸口を掴んだかにみえたとき、魔物が心の隙に忍び込んだ。
ひとときの痛みから逃れるために手を出してしまった覚せい剤。
そこから運命の歯車は狂っていくのだった。
この物語は、そんな彼女の転落と再生の軌跡をたどった実話である。

〜第三章まで〜
 覚醒剤を射ち始めて半年、ついに逮捕された玲子。留置場で倒れて入院するも体調も回復し、執行猶予をとりつけて再出発を果たしたかに見えたのだが...。親に見捨てられた玲子の一人暮らしを世話してくれた久間木だが、シャブ中の久間木にとっては所詮玲子もキメセクのオモチャでしかなく、またも玲子は警察に追われ「覚醒剤使用」容疑で再逮捕されることになるのだった。



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<第四章① 嵌められた>


取調室で大暴れ

 出所してから、たったの四週間。執行猶予の有罪判決を受けてから一カ月も経たないうちに、あたしは再び覚醒剤使用の被疑者にされた。

「冗談でしょ?」

 今度ばかりは身に覚えがなかった。

「再逮捕なんてありえないよ!」

 覚醒剤をやめたのに、尿検査で反応が出るわけがない!

 思いつく言葉を思いつくまま怒鳴るようにぶつけても、刑事は腕時計を見ながら時間を読み上げたり、付き添いの制服を着た警官になにやら指示を与えるだけで、あたしのことなど完全に無視。

 どうして?

 強い立ちくらみがしたように、視界がぐにゃりと歪む。遠のきそうな意識をつなぎ止めるために、声を張り上げた。

「高速道路で注射したっきり、シャブなんて触ってもいないのに!」

 刑事はこちらにゆっくりと顔を向け、その日はじめてあたしを直視した。そして、洞穴のように真っ暗く無表情な瞳で、あたしを見下ろしながら言った。

「話はあとで取調室で聞くから」

 それだけ言うと、くるりと背を向けた。

 切り捨てられたような気がして、慌てて鉄格子でできたドアに駆け寄り、冷たい鉄パイプを握りしめて大声を張り上げた。

「本当にやってないんだってば!」

 勢いで鉄格子を叩いた。けれど、ドアはずしりと重かった。ガシャガシャと大きな音を立てて注意を引こうとしたのに、キィキィと小さくて情けない軋み音がするだけだった。

「ちょっと! 待ってよ!」

 いくら叫んでも刑事たちは無反応のまま廊下をどんどん遠ざかり、あっと言う間に死角に消えた。

「どうして!?」

 叫びながら畳の上に倒れ込む。
 と、ひらめくように理解した。

 あの夜だけじゃなかったんだ──。

 塗っているのを見つけて、ケンカになって部屋を飛び出たあの夜よりも以前から、久間木はセックスのときに覚醒剤を塗っていたんだ。

 それだけじゃない。

 もしかしたら、あたしの口にした食べ物や飲み物に混ぜたりもしていたかも知れない。

「久間木だよ! 久間木にやられたんだよ!」

 今すぐ刑事に聞いてほしくて、鉄格子の間から口を突き出すようにして、廊下に向かって大声を上げた。

「あたしが自分で射ったんじゃない! 久間木に盛られてたんだよ!」

 必死に叫び立てていると、

「静かにしろ!」

 監視係の警官に怒鳴りつけられた。

「すぐ取り調べになるから、言いたいことはそこで話せ!」

 吠え立てる犬が叱られるように、警官に怒鳴られた。

 イライラしながら、それでもがんばって久間木の仕草を思い出したり、考えをまとめたりして取り調べを待った。


(つづく)



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セックスしてる時にずっと使われていたなんて...




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(取材/文=石原行雄)


石原行雄 プロフィール
闇フーゾクや麻薬密造現場から、北朝鮮やイラクまで、国内外数々のヤバい現場に潜入取材を敢行。著書に『ヤバい現場に取材に行ってきた!』、『アウトローたちの履歴書』、『客には絶対聞かせられない キャバクラ経営者のぶっちゃけ話』など。
http://www008.upp.so-net.ne.jp/ishihara-yukio/