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工藤明男コラム

著名人、芸能人のコメントなんてなんの意味もない

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『絶歌』問題に通じるものが............

『絶歌』発売以降、様々な著名人がコメントを発信しているが、この記事の映画を観たほうがよほど被害者、加害者の姿を想像できるように思う。

 虐殺事件で兄を殺された眼科医の弟が、無料検眼という建前で、現在も英雄扱いされている加害者を訪ねて回る、というドキュメンタリー映画である。くわしくは新作映画紹介サイト「シネマトゥデイ」の以下の記事をぜひ読んでいただきたい。

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「学校で教師が兄を殺す話をしていた...インドネシア大量虐殺の加害者を被害者遺族が取材する衝撃作の内幕」シネマトゥデイ 転載元はこちら

1960年代のインドネシアで起きた100万人規模の大虐殺の爪痕を、加害者の視点から描いた衝撃のドキュメンタリー『アクト・オブ・キリング』から1年後、続編と呼ぶべき姉妹編『ルック・オブ・サイレンス』が完成。来日したジョシュア・オッペンハイマー監督が、8年間に及んだ製作過程と2本の映画が世界に及ぼした影響を語った(以下略)

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「少年A」この子を生んで......―父と母悔恨の手記 著/「少年A」の父母 発行/文藝春秋

 実は僕は元少年Aのご両親が書いた著書も、被害者となった少年のお父様の著書と同じく被害者となった少女のお母様が出版された著書を読んでいる。

 だいぶ前の本なので内容までは詳しく覚えていないが、元少年Aのご両親が書いた著書は、悔恨の言葉は綴られつつも問題の本質が見えてこない、ようするにご両親側には自分たちの育て方の問題がはっきりと見えてないという印象だった。




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彩花へ―「生きる力」をありがとう 著/山下京子 発行/河出書房新社

 ご遺族の著書二作は、事件当日のこととそれから被害者の遺族となった自分たちの悲しみや想いが綴られていて、読んでいるのも辛くなるような内容だった。もう一度今読もうとしてもこれ以上は辛くて読めない。

 少年院に収容されている頃から取り憑かれたようにこの事件に関連する本を読み漁っていた僕は、他にも何冊かの関連する著書を読んだ。元少年Aの弁護人が書いていた著書や、中には取材材料が少なかったせいか想像だけで分析しているような中身の伴わないようなものもあった。

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淳 著/土師守 発行/新潮社

 それから僕は社会復帰して社会人となるとプツリとこの事件への興味を失っていた。

 他人、第三者とはそんなものなのだ、と今となって自省とともに振り返る。

 しっかりとした有識者たちが被害者、加害者双方の意見をまとめ、それを発表するかしないかはともかく、今後二度とこのような事件が起こらないための材料にはするべきだと思う。


 そういった意味で今回紹介した映画には『絶歌』問題を取り巻く状況に通じるものがあるように思えてならない。





(次回の掲載は午後7時です)





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映画『ルック・オブ・サイレンス』は7月4日よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開




元関東連合幹部、大ヒット作『いびつな絆』著者である工藤明男ならでは視点で元少年A(=酒鬼薔薇)の『絶歌』を読み解く!

緊急連載 工藤明男は『絶歌』をこう読む
第一回 工藤明男から見る六本木クラブ襲撃事件と神戸連続児童殺傷事件の違いとは? はコチラ
第二回 僕も元「少年A」だった・・・工藤明男が「絶歌」をとりまく現象を思う はコチラ
第三回 元少年A『絶歌』出版における、それぞれの視点と客観性 はコチラ
第四回 『絶歌』騒動をめぐって──工藤明男がダウンタウン松本に感じた違和感 はコチラ
第五回 工藤明男が語る「酒鬼薔薇事件を担当した元判事の意見は浮世離れしている」 はコチラ
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