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俺の、最後の獄中絵日記 第109回

わかってないなァ

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前回までのあらすじ
2012年10月、覚醒剤の譲渡や使用などで懲役二年四月の刑をくらった後藤武二郎は現在、北海道は月形刑務所で服役中。こんなことは今度で最後!と心に決めた武二郎は、今のみじめな境遇をいつまでも忘れないために、日々の暮らしを支給された唯一のペン=ボールペン1本で描くことにしたのだった。

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わかってないなァ


2013年(平成25年)4月22日

総入浴に通常入浴、汚染入浴ってのもあると思えば、先週から増風呂ってのも始まった。

要は、一般の工場が週に2回しか入浴できないところ3回入ることができる、という事で、汗をかく季節に対する夏季処遇が始まったということ。

まだ暖房が終わってないうちからだぜ。

まったく至れり尽くせりってのはこのことを言うんだな。

しかし、この増風呂は1週おきの隔週らしい。

今まで俺が経験した刑務所では、増風呂はどこも毎週あった。

ただし、シャンプー不可、カミソリも使わせない10分間入浴だった。

隔週だけど、普通に入れる月形と、どちらが良いのかネ。

ただ、決定的に違うのは、これまでどこの刑務所でも、この夏季処遇の増風呂が始まるのは6月の終わりか7月に入ってからだったってこと。

月形みたいに、こんな4月の中旬から増風呂が始まるなんて、ビックリもいいところだよ。

これまで刑務所に対しては、怒りと不満とで常に爆発寸前、いつもギリギリの精神状態で過ごしてきたから、懲罰行きもそりゃあ多かったさ。

しかし、ここ月形では、今まで感じてきたストレスはないに等しい。

工場で初犯の奴に教えてやったよ。

他と比べて、ここへ送られたことがどれほど楽で、運が良かったかって事をね。

すると隣に座ってたのが言ったよ。

「俺は今までに比べてここが一番厳しい」だって。

月形のどこが厳しいんだよ、チェッ、運の良い奴め。

一度、府中に行ってこいってんだ。

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